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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第2章

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80話 由梨恵と夏の思い出

これにて2章終了です!



 白馬先生と買い物を終えた僕。


 彼の家、タワーマンションにお呼ばれしていた。


 相談事があるなら、じっくり話せる場所が良いだろうってことらしい。


「おじゃましまーす」

「ああ、ゆっくりしていってくれたまえ」


 白馬先生に連れられて僕は奥へと進んでいく。

 相変わらず美術館の廊下かってほどに、広い廊下だ。それに美術品がメチャクチャ飾ってある。


 ややあって、僕はリビングに到着。

 ここももの凄い広い。


「そういえば、今日由梨恵ゆりえは?」

「ああ、マイシスターなら、あそこに……」


 窓際に大きなソファがあった。ピンク色で、ブロックを組み合わせたみたいな、不思議なソファ。


「くぅ~……むにゃ~……」


 由梨恵はそこで、仰向けになって眠っていた。


「なっ!? なんで……下パンツだけなんですかっ!」


 由梨恵はキャミとパンツ姿だった!


「おそらくお風呂から上がって、そのまま寝たのだろうね」


 近くに濡れたバスタオルが置いてあった。

 白馬先生は微笑むとバスタオルを回収。

 そしてタオルケットを、由梨恵のお腹にかけてある。


 壁のエアコンの風量を弱に変える。


「さてカミマツくん。私は少し用事ができて、席を外す」


「はぁ……え!? あ、あの……じゃ、じゃあ僕、由梨恵と二人きりじゃないですか!」


 ニコニコと微笑みながら白馬先生はうなずく。


「ああ、そうだね」

「いやこんな無防備な格好の女の子とふ、二人きりなんて……」


「私が私用で外に出なきゃ行けないと、妹に伝言をお願いしたい。それに彼女が目を覚ましたとき、お腹出して冷房の効いた部屋で寝るなと注意しておいてくれないかな」


「じ、自分で言えばいいのでは……?」


「それでは君たちが話すきっかけにならないだろう?」


 ……そうか、白馬先生は、こう言っているんだ。


 由梨恵と二人きりで、ちゃんと話し合うようにと。


 僕らはあのとき、誰が本命なのか聞かれて、ギクシャクしてしまった。


 けれどそれは、他の子の目があったから話せなかっただけ。


「友達といつまでもそんなふうにギクシャクしたまま放置したら、いずれ関係は破綻してしまうよ。きちんと話し合うべきだ」


「そう……ですね」


 うん、と満足したように白馬先生がうなずく。


「では2時間くらいしたら戻るから、それまで妹を頼むね」


 白馬先生はフハハ! と由梨恵を起こさないよう小声で笑うと、出て行くのだった。

    ★


「むにゃ……ゆうたくん……?」


 ほどなくして由梨恵が目をさます。


 僕は彼女の隣に座って、起きるのを待っていた。


「ふぁ~……おふぁよ~……」

「うん、おはよ。寝癖、すごいことになってるよ?」


 お風呂上がりに、濡れた髪で寝ていたからか、彼女の髪がボンバーヘッドになっていた。


「ふぇ~……へ?」


 由梨恵がハッキリと覚醒し、僕を認識したようだ。


 かぁ~~~~~~~! と顔を赤くする。

「ゆ、ゆ、ゆうちゃむくん!?」


 誰だよゆうちゃむくんって。


「なななな、なんでどうして!?」

「白馬先生と買い物いって、その帰りに家にお呼ばれしたんだ」


「へ、へーそう! って、あ、あわわっ! どうしよ、私こんなハシタナイ……きゃー!」


 由梨恵が顔を真っ赤にして慌てまくる。


「お、落ち着いて由梨恵。とりあえず、落ち着こう」


「わ、わかった! 落ち着きます! 落ち着け、落ち着け、落ち着けビーム!」


 とりあえず落ち着いてないことはわかった。


「ふふっ」


 あわあわと慌ててる由梨恵が可愛らしくて、僕は吹き出してしまう。


「むぅ……笑わないでよぉ。髪の毛ボサボサで変なのわかってるんだから」


「ああ、違うよ。ごめん、由梨恵が慌ててるのが可愛らしくて」


「むぅー……うん。まあ、可愛いって言ってくれたから、いっか! 許しましょう!」


 僕らは顔を見合わせて笑い合う。


 ややあって。


 由梨恵はお色直しをしてきた。

 ポニーテールにして、シャツとミニスカートを履いている。


 テーブルの前には麦茶がだされて、僕らは向かい合って話している。


「あのね由梨恵。今日はその……君と話し合いたくてきたんだ」


「話したい……? うん! 私も勇太くんとおしゃべりしたかったんだ!」


「え、そうなの?」

「うん! ほら、基本的に声優のお仕事で、勇太くんと遊ぶのも、おしゃべりするのも、できないじゃない?」


 そういえばそうだ。

 由梨恵はこの夏、本当に忙しくしていた。


 確かにコミケいったり、お祭りいったりはした。


 けどそれ以外の日では、由梨恵は収録だったりイベントだったりで、全然会えなかった。


「だからねー、嬉しかったんだ。勇太くんが遊びに来てくれて」


「そう……なんだ」


「うん。だってね、私……勇太くんのこと、大好きだから」


 由梨恵が真っ直ぐ、僕に思いをぶつけてくる。


「その好きはね、家族に向けるものじゃないよ。Likeじゃなくて、Love。あなたが好きです」


 ……この子はどこまでも真っ直ぐだ。

 思えば、出会ったときから、彼女は裏表のない笑顔を向けてきた。


「勇太くんはどう思ってる?」

「……僕は、」


 僕はどう思ってるかだって?

 そんなの……決まってるよ。


「僕も好きだよ」

「ほんとっ?」


「うん……。でも、ね。ごめん……みんなも、好きなんだ」


 アリッサやこうちゃん、そしてみちる。

 僕は……みんながみんな、好きなんだ。


 由梨恵だけじゃなくて、僕の周りにいる女の子達、全員が好きなんである。


「ごめん、不誠実だよね」


 ここは日本だ。僕の好きな異世界もののラノベのなかじゃない。


 誰か一人を選ばなきゃいけない。

 けれど……誰かを選ぶことは、誰かを捨てることになる。


 そんなの……僕にはできない。


 だから、僕の回答は、真摯に思いを告げてきた由梨恵のことを、傷つけるものになると思う。


 だから……僕の家で、あのとき何も言えなかったのだ。


「ごめん、軽蔑して良いよ」


 だが……。


「え、なんで?」


 きょとん、と由梨恵が目を点にしてる。


「え?」

「え?」


「「…………」」



「「え?」」


 なんか、僕も由梨恵も、相手のリアクションが違って、困っているような顔をしている。


「あ、あの……由梨恵? なんで怒ってないの?」


「怒る? なんで?」


「いや、だって……由梨恵の思いに対して、みんな好きみたいな、こといって」


「ん? それって、怒るようなこと?」


 由梨恵は首をかしげる。

 

「だって私は単純に、勇太くんが好きだよって思いを告げただけだよ? 私があなたを好きなことと、あなたがみんなを好きなことって、別に関係なくない?」


「え、え、そ、そう……かな?」


「そうだよ! 別に勇太くんがみんな好きって言っても、私のこの思いは揺るがないもん。それに、いいじゃん!」


 彼女が笑顔で言う。


「みんな好きで!」

「は? え、え、ええーー!?」


 この子……僕が他に好きな子がいることに、すごい肯定的!?


「アリッサちゃんもこうちゃんも、みちるんもみんな可愛いし、良い子だもん。みんな幸せになって欲しいもん」


「あ、いや……で、でもね由梨恵さん。ここ、日本。一夫多妻制の異世界じゃないんだけど?」


「え? なんで、結婚の話になってるの? 別にたくさんの女の子と付き合うのは、誰も禁止してないじゃない?」


 いやそうだけど!


「世間からどう思われるかなって……」

「世間の目? なんで? 他人の目があるかどうかによって、その人のこと好きになったり、嫌いになったりするの、勇太くんは?」


 ……ならない。

 そうだよ、誰にどう思われようと……僕は僕だ。


 由梨恵も、アリッサも、こうちゃんも、みちるも……みんな好き。


 その思いは、僕は変わらない。

 由梨恵が僕のことが好きだって想いが、変わらないように。


「由梨恵は……いいの? 他の子と僕が付き合っても」


「もちろん! あ、でも知らない女の子とは、できれば嫌だなぁ。アリッサちゃんたちならOKです!」


 軽いっ。

 でも……そっか。

 ちょっと……いやだいぶ、気が楽になった。


「ありがと、由梨恵。スッキリしたよ」

「えへへっ、そっか! 良かったねー!」


 僕は由梨恵との会話をへて、確信した。


 そうだよ、僕がみんなを好きな想いは、まあ世間様から見れば間違いだろうけど……僕の思いは変わらない。


 みんな、好きなんだ。


「でもやっぱ……世間から白い目で見られそう……」


「まー、お金持ってて、人気作家で、女の子と複数付き合ってたら、ねー……でも、いいじゃん! 他人の僻みなんて、気にしない気にしない!」


 由梨恵が明るい笑顔で僕に近づく。


「勇太くん♡」


 ちゅっ♡


「だいすきっ!」


 ……こうして、僕の夏休みに、また新たな思い出の一ページが刻まれたのだった。


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『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

― 新着の感想 ―
やった!ハーレム!!(✷‿✷)
[一言] 前にアラブのハーレム王族のインタビューを見ると 私達が選んだ優秀な王子を皆で支えるので 大勢の女が居ると言ってたよ?キリスト教徒の 価値観はキリスト教徒の居ないこの国では 無意味だと言ってた…
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