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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第2章

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51話 超有名歌手は、彼を独占したい



 上松あげまつ 勇太の家に、彼を慕う女子達が泊まりに来ている。


 その日の夜、アリッサ・洗馬せばはふと目を覚ます。


「…………」


 彼女がいるのは勇太の妹の部屋だ。


 声優の由梨恵ゆりえと神絵師のこうは、勇太の両親の寝室を使っている。


「……ユータさん」


 愛しい彼の姿が脳裏をよぎる。

 彼を思い出すだけで胸の中に温かな気持ちが流れ込んでくる。


 ……だが、それと同時に不安な影も落とすことになった。


 今日出会った、幼馴染みを自称する女のせいだ。



「…………」


 アリッサはユータと話がしたくなり、ベッドを抜け出す。


 彼の部屋の前までやってきて、ノックする。


「……ユータさん。夜分にすみません。少々お話があるのですが……」


 しかしノックしても反応がない。耳をそばだててみたが、中に人が居る様子もなかった。


「…………」


 いけないことだとわかっていても、アリッサは彼の部屋のドアを開けてしまった。


 だが思った通り、中にユータの姿はない。

 いったん部屋を出て、彼を探しにいく。


 2階には人気が無かった。

 1階に降りて……アリッサは目撃してしまう。


「……ユータさん……あっ」


 彼がいたのは、リビングスペースだ。

 ソファの背を倒してそこにシーツを敷き、その上に……あの幼馴染みの少女がいた。


「…………」


 勇太はみちるの看病をしているようだ。

 先ほどの夕飯のとき、みちるはパニックを起こして気を失った。


 勇太は大慌てで彼女を介抱した。

 それだけでなく、終始心配そうにしていた。


「……ユータさん」


 胸がぎゅっ、と締め付けられた。

 勇太のみちるに対する特別な対応を見て、そこからふたりの積み重ね……歴史を感じ取れた。


 きっと彼は幼馴染みと、長い時間を共有していたのだろう。


 ……一方で自分はユータと出会ってまだ間もない。

 彼にとってみちるは大事な存在なのだろう。


 だが……自分は?

 自分は彼にとっての……何?


「…………」


 きゅっ、とアリッサは下唇をかみしめる。

 胸の中にあるのは、あの幼馴染みの女に対する激しい嫉妬だ。


 なぜあんな女を大事にするんだ?

 だって……この子は……勇太のことを……。


 と、そのときだった。

 大桑 みちるが目を覚ましたのである。


「……勇太?」

「あ、みちる。起きたんだねっ」


 彼の弾んだ声音と、安堵の表情。

 それらがさらに、アリッサの胸を締め付ける。


「アタシ……あのあと……」

「気を失っちゃってたよ」


「そ、そう……あ、あのさ。さっきの、あれは……忘れて」

「はいはい、わかったよ」


 みちるは拗ねたように頬を膨らませる。

 だが彼の笑顔を見て……ふっと表情をほころばせた。


 ……仲の良い2人の姿を目撃し、アリッサは耐えきれなくなってその場を後にした。


「……ずるい」


 アリッサがむかう先は自分にあてがわれた寝室、ではなく、勇太の部屋だった。


 彼の使っているベッドに潜り込む。


 彼の優しい匂いがした。

 彼の布団を頭からかぶると、彼に抱きしめられている気持ちになる。


「……………………ん」


 アリッサは布団の中で丸くなり、彼に激しく求められる妄想をする。


 大好きな人のベッドで横になってると思うと余計に興奮した。


 勇太にはハシタナイ女と思われたくなくて黙っていたが、大桑 みちると同様に、彼女もまた勇太を思って自分を何度も慰めていた。


 彼女がみちるの好意に、そしてみちるの行為に気づけたのは、簡単だ。

 自分と同じ……つまり、同族だから。


 みちるを毛嫌いするのもまた、同族嫌悪の感情を起因とする。


 すなわち、勇太を心から愛してる者同士だから。


「……ユータさん。……あぁ……ユータさん……」


 ……だが、妄想の中で彼に抱かれるほど、むなしさが募る。


 特に今日はさみしかった。先ほど幼馴染みと一緒に居るときの、勇太を目撃してしまったから。


「……好き……♡ 大好き……もっと……もっと……わたしを見て……わたしだけを……見、てぇ……」


    ★


 え、どうしてこうなった……?


 僕、上松あげまつ 勇太は、目の前の状況に困惑するしかなかった。


 みんなが泊まりに来た夜、僕はリビングにいるみちるが気になって、一度降りてきた。


 みちるの無事を確かめて、自分の部屋に戻ってきたんだ。


 ……そしたら中から声がした。

 どうしたんだろうと思って部屋のドアを開け、覗き見た。


 ……中では金髪の美少女アリッサが、その……あられもない格好で、アクロバティックに行為にふけっていた。


 具体的な描写は避ける。

 なろうなら一発でBANされるようなことが、繰り広げられてた。


 うん。どうしてこうなった……。


「と、とりあえず見なかったことにしよ……う、うん。そうしよう」


 こっそりとその場を後にしようとした……そのときだ。


「ふぁー……かみにー……さまぁ〜……?」


「うぉっ!」


 突然声をかけられて、思わずその場に尻餅をついてしまった。


 廊下に立っていたのは、こうちゃんだった。

 眠たげな表情でこちらを見上げている。


「ふにゃ……どうしたのぉー……?」

「な、なんでもないよ。そっちこそどうしたの?」


「おトイレぇー……してきたのぉー……」

「そ、そっか……おやすみ」


「ふぁーい……」


 ぽてぽて、とこうちゃんが歩いて行って、部屋の中に入っていった。


「ま、まずい……バレてる? い、いや……バレてない……よね」


 僕は中を確かめる勇気が無かった。

 このまま出て行こうとした……そのとき。

 ドアが開いて、中から勢いよく腕を捕まれた。


「え!? ちょっ……!」


 僕は部屋の中へと引き寄せられる。


「わわっ。えっと……え?」


 僕は部屋の床に尻餅をつく。


 見上げるとそこには、アリッサ・洗馬がいた。


 薄手のネグリジェ1枚だった。

 彼女が着ていたはずのパジャマは、ベッドの上に脱ぎ捨てられていた。


 つまりこの、黒くてスケスケのエッチなネグリジェは、パジャマの下に着ていたってわけで……。


 彼女の大きな乳房が、薄い布一枚を隔てた向こうにある。


 月明かりに照らされたその美しい裸身は、まるで女神のように見えた。


「こ、こんばんは……」

「…………」


 がちゃりっ。


 アリッサは部屋の鍵を後ろ手に閉める。


「あ、あの……アリッサさん?」

「……見て、いらしたんですね?」


 彼女の青い瞳が僕をジッと見つめてくる。


「え、えっとぉー……な、なんのことかな?」


 彼女はしゃがみ込んで、僕のお腹の上に乗る。


「あ、アリッサ!?」


「……見ていらしたんです、よね?」


 彼女が四つん這いになって顔を近づけてきた。


 ……甘い。

 果実のような甘酸っぱい匂いが鼻腔をくすぐる。


 いつも良い匂いのする彼女だが、特に今は甘い香りをただよわせる。


 うっすらと額に汗をかいていた。

 さっきまでの行為の激しさを物語っている。


 美の化身とも言える整った顔つき。

 長い金髪の向こうで、彼女の起伏に富んだ女性的な裸身がちらつく。


「……正直に、おっしゃってください」


「あ、はい……えっと……見ました。……ごめんなさい」


 彼女は起き上がると、ベッドに腰を下ろす。


 自分の隣を、ぽんぽんと叩く。

 す、座れって事かな……?


 気まずさはあるけど、逃げられる雰囲気ではない。


 僕はアリッサの隣に座る。


「……ハシタナイ女だと、ゲンメツなさったでしょう?」


「ま、まさか! 全然そんなことないよ!」


 そりゃ、帰ってきたらいきなりあんなことになってて……驚きはしたけど……。


「……ユータさんは、優しいです。本当に……誰よりも……」


 きゅっ、とアリッサが唇をかみしめる。


「……だから、嫌なんです」

「え? わっ……!」


 アリッサは僕を横から抱きしめる。


「あ、アリッサさん!?」


 彼女は強く強く僕を抱きしめた。

 逃げようとしても、逃げられない。


 彼女からは僕を離すまいという、強い意志を感じられた。


「……わたし、あなたが大好きなんです」


 アリッサの声が震えていた。

 

「……あなたが好きで好きで、あなたのこと一日中考えてます。あなたに会えないと辛くて……あなたに会えると心がぽかぽかして……あなたと別れるとさみしくって……毎晩あなたに抱かれる妄想をして自分を慰めてました」


 先ほどベッドでの彼女。

 あれは、今日に限った話ではなかったんだ……。


「……でも、足りないんです。全然満たされないんです。ユータさん……ああ……ユータさん……」


 彼女が僕に顔を近づける。


 すごい、近い……。


 心臓の鼓動が伝わってくる。

 激しく脈打っていた。彼女が興奮しているのだろう。


 僕もアリッサに抱かれて、顔が近くにあって……ドキドキしっぱなしだった。


「……あの幼馴染みのことなんて、見ないでください。あなたがあの子を見てるだけで胸が痛いんです……」


 真っ直ぐに僕を見てくるアリッサ。


「……わたしだけを見て。わたし以外を見ないでください」


「いや……でも……心配だったし……」


「……嫌なんです。わたし、だれにもあなたを譲りたくないんです」


 彼女の青い瞳が涙で濡れていた。

 興奮しているのか、顔は真っ赤で、呼吸は荒い。


「あ、アリッサ……いったん冷静になろう」

「……冷静になったら、わたしとお付き合いしてくれます……?」


「いやそれは……」


 と、そのときだった。


 アリッサは目を閉じて呼吸をすると……ぐいっ、と僕を抱き寄せる。


 ちゅっ……♡


「え?」


 僕の唇に、彼女の唇が重ねる。


 え?


「……ユータさんに、キス……しちゃいました」


 …………え?


「……ファーストキス、です」


 ………………えぇええええええ!?

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★新連載です★



↓タイトル押すと作品サイトに飛びます↓



『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

― 新着の感想 ―
[気になる点] アリッサと初対面でキスしてんじゃん 今回二回目じゃん
[気になる点] なんかモテすぎ主人公の話すぎてシラけてきました。
[良い点] 素直になってくれたアリッサが素敵です! 面白く見ています! [気になる点]  勇太にはハシタナイ女と思われたくなくて黙っていたが、大桑 みちると同様に、彼女もまた勇太を【おかず】にしていた…
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