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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第1章

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24話 新作の宣伝にアニメを作るそうです



 編集部に呼び出された、僕と声優の由梨恵ゆりえ


 会議室に行くと、見覚えのある人がいた。


「やぁ先生! 久しぶり!」


御嶽山みたけやま監督!」


 御嶽山みたけやま まこと

 アニメ・デジマスのアニメ監督だ。


 大柄な女性監督である。


「祝賀会以来だなぁ先生。元気だったかい?」

「あ、はい。おかげさまで」


 ニッ……と笑って監督が僕の背中を叩く。


「僕心、読んだぜ。神作だったわ。さっすが先生! 名作しか作れないんだなぁ。すげえすげえ」


 がはは! と監督が豪快に笑う。


「改めてよろしくな先生。今回もお仕事一緒にできて、光栄に思うぜ」


「えっと……僕心のアニメも、御嶽山監督が作るんですか?」


「あれ? 何も聞いてないの?」


 うんうん、と僕と由梨恵がうなずく。


 と、そのときだった。


「先生ー! ごめん遅れてー!」

芽依めいさん」


 担当編集の佐久平さくだいら 芽依めいさんが、会議室に飛び込んできた。


「遅れて本当にごめんなさい!」


 ぺこぺこと何度も芽依さんが頭を下げる。


「父さんから聞きました。打ち合わせが長引いちゃったんですよね」


「じゃ仕方ねーや。ねえちゃん」


 監督も僕も、そして由梨恵も許すムード。

 でも芽依さんは何度も頭を下げて言う。


「皆さんとてもお忙しいのに、お時間割いてもらっているんです。遅刻なんて失礼なこと……本当に、すみませんでした……!」


 ……ここへ来たとき、会った2人の編集者と比べて、芽依さんはちゃんと社会人しているように思えた。


 ……良かった。

 僕の担当が、芽依さんで。


 ややあって。


「じゃあさっそく本題に入ります」


 芽依さんがホワイトボードを取り出して、きゅきゅっと何かを書く。


『【僕の心臓を君に捧げよ】書籍1巻、宣伝用アニメ作成』


「宣伝用……?」「アニメ……?」


 僕と由梨恵が首をかしげる。


「順を追って説明します。カミマツ先生の新作の書籍版1巻発売時に、宣伝用のアニメを流そうと思ってます」


「「は……?」」


 一瞬、何を言ってるのかわからなかった。


「1巻発売時に……宣伝のアニメ……?」


「ツイッターとかでよく見るだろ? 声優さんが声当てて流れる、販促用のPV。あれだよあれ」


「い、いや……それは知ってますけど……最近じゃ【イタリア語でこっそりとでれるフォルゴーレさん】って作品のPV……凄い手が込んでましたし……」


【いたデレ】だけじゃなくて、最近ではツイッターなどSNSを使った宣伝に、特に力を入れてる印象がある。


 有名声優を起用して声を当てたり、販促用のマンガをツイッターに流したり……。


「で、でも【いたデレ】のときも、絵は原作の絵でしたよね。宣伝のためにアニメ作るって事……なのですか?」


「そーそー」


 御嶽山監督、すごい軽いノリ……。


「予定では僕心の本編に即した、ウェブ限定で見れる15分の短編アニメを作ります。SNSで拡散しやすいよう、短くカットしたPV用も同時に作る予定です」


「宣伝用の短編アニメ作るって……き、聞いたことないですよ?」


「そんだけ期待されてるってーことだろ。安心しな先生。アニメ・デジマスを作った監督とスタッフが、全力で良いアニメ作るからよ」


 デジマスの製作会社は、アニメ業界では超有名な会社だ。


 数々の名作を手がけている。

 そこが、僕の書籍1巻の宣伝のためだけに、アニメを作ってくれるなんて……。


「すごいよ勇太くん! やっぱりすごい!」


「ど、どうも……由梨恵が呼ばれたって事は……もしかして……?」


「そ。僕心の主人公にキャスティングしたくってさ。打診したくて呼んだんだけど……」


 ちらっ、と御嶽山みたけやま監督が見やる。


「やります! 是非やらせてください!」


「そー言ってくれると思ったぜ」


 ちなみに事務所には、芽依さんが既に話を通してたらしい。


 事務所のオッケーはもらっている。あとは由梨恵の意思次第だったんだってさ。


「で、エンディング曲なんだけどさ」


「え、エンディングー!?」


 何言ってるの!?


「あるんですか!?」

「そりゃあるんだろ。短編とは言えアニメなんだからさ」


 いや、デジマスの会社がガチのアニメ作る時点で、だいぶ金かかってるのに……。


 どんだけ手の込んだアニメ作る気なんだ……?


「当然よ先生。僕心は、歴史に残る大傑作になるもの、手は抜けないわ」


 芽依さんが力強くうなずく。

 き、期待が……やばい……。


「で、先生。エンディング曲なんだけどさ、作ってもらいたいって人のリクエストある?」


「あ、それでしたら……アリッサ・洗馬せばさんにお願いしたいかなと」


 アリッサなら僕の作品のことよくわかってくれているし、デジマスの曲も最高だったし、安心して任せられる。


「おっけ。じゃあとで頼んでおくわ。ま、二つ返事でオッケーもらえると思うけどよ」


 御嶽山みたけやま監督が手帳にメモを取っている。


「あとなんか要望あっか先生?」

「いやもう……十分すぎます。ほんとすみません、僕ごときのタメにここまで金と手間かけてくれて……」


 きょとん、と御嶽山監督が眼を点にする。


「いやぁ、先生。やっぱあんた、すげえひとだわ」


 うんうん、と力強くうなずく監督。


「え、なんですか……?」


「いやさ、先生って全然偉ぶらないじゃんか? デジマスは大ヒット。僕心も、わざわざ宣伝アニメを作ろうってしてくれる、それだけ金と期待をかけてくれる作家なんだぜ?」


 けど、と監督が続ける。


「あんたは全然偉ぶらない。そこが、ほんとあんたすげえなって思うよ、いつもさ」


「それはあたしも思います。カミマツ先生は担当してるラノベ作家のなかで、一番売れてて、一番礼儀正しく、最高に仕事しやすいです」


 大人の人から、こんなふうに認められると……うれしいなって思う。


 でも別に、偉ぶりたいなんて微塵も思わない。


「僕自体大したやつじゃないってわかってますから。作品が売れたのは編集部が、アニメが受けたのは監督とスタッフが頑張ってくれたからです」


 芽依さんと監督は顔を見合わせて……強くうなずく。


「うっし。やるぜ! アタシ、この最高の先生のために、最高の宣伝アニメを、作っちゃる!」


「あたしも! 先生のために、たくさんの人にこの最高の物語を届けるために! がんばっちゃる!」


 由梨恵もまた真剣な表情で言う。


「私も。勇太くんの作ったキャラを、末永く愛してもらえるように……全力で演技します!」


 こうして、たくさんの人たちが、僕の新作ラノベのために、動いてくれることになったのだった。

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★新連載です★



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『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

― 新着の感想 ―
[気になる点] 自己評価低いのは散々幼馴染に低評価されてきたからなんだろうか?その割に好きだったという事はマゾ気質があるって事になるが...
[一言] 上松勇太ってお祖父ちゃんお祖母ちゃん子かもな勇太の祖父母の世代は1960年代位でしょう?この世代はイソップグリム世代で、現代の陽キャは大嫌いなので自己卑下が多いのでしょう!この世代は今の日本…
[気になる点] もう作中作品の名前から曲名まで露骨過ぎて最高w
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