195話 成人
僕とみちるはお台場に来ている。
年明け、という忙しい時期を過ぎたはずなのに……。
「結構混んでるね」
僕らは東京テレポート駅を出て、お台場を歩いてる。
あちこちにカップルが見受けられた。
「そりゃ、だって三連休ですもの」
「あ、そっか」
土日と、祝日の月曜日を入れて3連休。
……成人の日、かぁ。
あと2年で20。
そして……今年で、高三。最終学年だ。
「高校時代って、あっという間なんだね」
「そうねえ……特に、今年はいろいろあったしね」
いろいろ……ありすぎたなぁ。
特に……うう。
「いろいろありましたね……」
僕らにとってももっとも衝撃的な出来事。
七月のある日、みちるに告り、あんたが神作家なわけないでしょ、と降られた。
あれが……一番衝撃的だったなぁ。
「そ、そうね……ごめん……」
「いや、あやまるひつようないよ。もう終わったじゃんそれ」
「うう~……ごめん……」
「もう……いいってば。ね? もう過ぎたことじゃん」
「勇太……」
そうだ。
もう終わったこと、過去のことなんだ。あんなのもうどうだっていい。
重要なのは、今なんだ。
「みちる、今日は楽しもうよ。ね? 僕……今日のために結構頑張ったんだよ?」
みちるは僕の目を見る。
小さくため息をついたあと、
「そうね。うん……ごめんね、変な雰囲気にして」
みちるが笑ってくれた。
彼女は、結構引きずるタイプの子だ。いつもだったらまた、しばらくは落ち込んでいるだろうと思った。
でも……みちるに笑顔が戻っている。
成長してるんだろう。僕も、彼女も。
「じゃ、まずはダイバーシティのほうへ行きましょう」
「OK」




