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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第5章

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193話 白馬王子



《勇太視点》


 僕……上松あげまつ勇太は、大桑みちるに、プロポーズすることにした。

 場所は……お台場。


 りんかい線の改札で、僕は彼女が来るのを待ってる。


「…………」


 1月だって言うのに、寒さはあまり感じない。

 まあ地下鉄の改札口だからってのもあるんだろうけど。


 でも……僕の手は震えてる。

 緊張してるんだ。これからみちるにプロポーズする。


 大丈夫……だとは思う。

 けどみちるがもし、僕を拒んだら……。


 そのときだった。

 ポンッ、と誰かが僕の肩をたたいたのだ。


「え?」

「ふはは! どうした我がライバル!」

「白馬先生!」


 ラノベ作家であり、モデルでもある、白馬王子先生が、隣に立っていたのだ。

 いつもの白いスーツの上から、かっこいいコートを羽織っている。


「白馬王子だ!」「か、かっこいい!」「きゃー! 素敵ぃ!」


 あっという間に見つかってしまう。

 そりゃそうだ! 先生は有名人だもの。


 集まってくるギャラリーに対して、白馬先生が言う。


「すまない、みんな。今日は私はプライベートでね。今からこの我が友と大事なお話をしたいのだ」

「「「そっかぁ~……」」」


「終わったら! みんなにサインをする! だから、一時静かにしててほしい!」

「「「はーい!」」」


 離れていくギャラリーたち。

 相変わらず先生は紳士だ!


「え、えと……どうしたんですか? 先生?」

「我が友が、これから決戦に挑むと聞いてね。励ましの言葉を贈ろうかと」

「先生……!」


 って、あれ?


「なんで僕がプロポーズするって?」

「マイシスター由梨恵から聞いたのだよ」


 ああ、そうだった。

 先生と由梨恵は兄妹だったんだ!


「我が友、勇太くん。頑張るのだよ。今日君は、愛する人に、愛を伝えるんだ」

「はい……」


 でも、僕の顔は緊張でこわばっている。

 そこへ……先生が肩を優しく抱いてくれた。


 すごい、いい匂いがする。

 そして……暖かい。


「大丈夫だ、我が友。君ならできる」

「…………」


「私だってプロポーズのときは、緊張したものさ」

「先生でも?」


 白馬先生はこないだ、昔なじみと結婚することになったと教えてくれた。

 そんな……こんな完璧超人の先生ですら、緊張するなんて。


 プロポーズってやっぱり誰でも緊張……。


「あ」


 ようやく、僕は気づいた。

 そうだ、先生だって……ううん、白馬王子ですら緊張するイベントなのだ。


 だから……僕だって、緊張しててもいいんだ。

 そりゃそうだ。誰かの、人生を預かる、そんな大きな決断をするんだから。


「少し気が楽になったかい?」

「はいっ!」

「それはよかった」


 にこっ、と白い歯を見せて、笑顔を浮かべる。

 先生……。


「僕のために、どうして? 先生だって忙しいのに、応援に来てくれて……」

「? 友のために動くことに、何か理由がいるのかい?」

「…………」


 この人は、ほんとに僕のこと、友達って思ってくれてるんだ。

 ……ああ、優しくて、かっこよく、いい人だなぁ!


「さぁ、私にできるのはここまでだ。もうすぐみちる嬢がくるのだろう? そんなしょぼくれた顔をしてはいけない。もっと堂々と、胸を張るんだ!」


 白馬先生が後ろから、背中をばしっとたたいてくれる。

 その部分に熱が、こもる。体に力が戻り、手先があったかくなる。


「ありがとう、先生。僕……がんばる!」

「ああ、頑張りたまえ。そして、今日のこの出来事を糧に、さらにもっと大きく、作家として成長するのだ!」


 びしっ、と白馬先生が僕に指を突きつける。


「君は私の永遠の親友ライバル! 常に最強の敵として、立ち塞がってもらわないと困るからね!」

「はい! 僕も……ずっとあなたの友達ライバルでいます!」


 僕らは笑う。

 先生は手を振ると、颯爽と去って行く……。


 

「さぁ、サイン会は駅の外でやるよぉ! ほしい人はついてくるんだ!」

「「「はーい!」」」


 残っていたギャラリーが、移動していく。

 僕に注目してた人も含めてだ。


 ……先生、最後まで、ほんとうにいい人だった。

 僕はあの人と同じ時代、同じ作家として、競えてることが……ほんとうにうれしいし、幸運だなって思う。


「ありがとう……先生!」

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『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

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