188話 僕に出来る、唯一の方法
《勇太Side》
僕はみちるにプロポーズすることにした。
母さん達と話して、僕の、みちるへの素直な思いを、伝えることに決めた……。けど。
「…………」
夜、僕はこうちゃんと一緒に、実家から自宅へと向かって歩いていた。
『ぶいにい2巻、窓際編集1巻、それぞれ発売中でっせ。みんな、買っておくれまし』
こうちゃんがロシア語で話しかけてくる。
多分意味は無いからスルーすると……。
「かみにーさま」
ふと、日本語で話しかけてきた。
「どうしたの?」
「眉間に、おしわが、ありますぞ……?」
こうちゃんが背伸びをして、僕の眉間を、指でぐりぐりする。
ああ、また考え込んでたんだ……。
「どーしたの?」
「いや……」
こうちゃんに言っても、しょうがないことだよ……とは言えなかった。
「なんでもないよ」
「それは、うそ」
こうちゃんがきっぱりそういった。
「今のかみにーさま、らしくない」
「僕らしく……?」
「うぃ。かみーさま、シリアス、似合わない。神作家、らしくない」
神作家らしくない……。
どういうことだろう。
「かみにーさまは、俺つえー主人公! 凄い力……もってます! だから……ええとええと」
こうちゃんが少し考えて言う。
「かみにーさま、多分、悩んでる? つたえ方……迷ってる?」
「!?」
……本気で、驚いた。
まさか……こうちゃんに、悩みを見抜かれてしまうなんて!
「ちょ……驚きすぎでは?」
「あ、ごめん……こうちゃん、人の心の機微ってわからないかなって思ってた」
『え、それヒトデナシってこと? ひどくね!? 我ヒロインぞ!?』
あ、またロシア語に戻った。
こっちの方が落ち着く。
こうちゃんは首をふるふると横にふるって言う。
「かみにーさま、あんたは、すごい作家。その力……神のごとし! それを生かすのは、いかが?」
「作家としての力を使う……?」
「うぃ。かみにーさま、言ってた。デジマス……みちる姉さんに、読んでもらいたいから、書いたって」
「!」
……僕が小説を書こうと思った、きっかけ。
お母さんが死んじゃって、塞ぎ込んでいたみちるを、励ましたかったから。
だから、デジマスを書いた。
「今度も……そうすれば?」
「………………!!!!!」
そっか……そうだ。そうだよね!!!
一番大事な人に、大切な思いを伝えるんだ。
僕が一番得意な方法で、つたえるべきだ!
僕の一番得意……それは、小説を書くこと!
そっか……そっか、よーーーーし!
「こうちゃんゴメン、先に帰って」
「うぃ」
ぐっ、とこうちゃんが親指を立てる。
「ぐっど、らっく!」
「うん!」
僕は走り出す。
携帯を取りだして、芽依さんに連絡を入れる。
「もしもし芽依さん! ちょっと願いしたいことがあるんだ!」
みちるに思いを届ける、たった一つの冴えたやり方。
僕……上松勇太が一番得意なこと。
それは……。小説を、書くことだ!
「かみにーさまー! がぁあああんぶぁあああれぇええええええい!」
こうちゃんが両腕を上げて、応援してくれる。
ありがとう……こうちゃん! 君のおかげで、方法、思いつけたよ!
こうちゃん、家族そして僕のカノジョ達、みんなが応援してくれる……!
気持ちは高鳴っている。
僕の胸のなかには、デジマスを書いたとき以上の、衝動が渦巻いている。
みちるを元気にしたいっておもいから生まれたのが、デジマスだ。
今僕は、みちるを一生に幸せにしたいっていう、今までに無い強い思いを抱いている。
今の僕なら、最高の……。
デジマスを超える、作品をきっと書ける!
いや……書いてみせる!
【★大切なお知らせ】
好評につき、連載版をスタートしました!
『【連載版】カバンの勇者の異世界のんびり旅~ハズレ勇者と王城から追放され奈落に落とされた。でも実はカバンは何でも吸収できるし、日本から何でも取り寄せられるチート武器だった。今更土下座されても戻る気はない』
広告下↓にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://book1.adouzi.eu.org/n1872iu/




