139話 お引っ越し
僕、上松勇太は、複数人の女子と付き合って、暮らしている。
そこにまた新たなメンバーが加わることになった。
佐久平芽衣さん。僕のラノベの担当編集さんだ。
足がすらっと長くて、かっこいい、大人の女性。
「ごめんね、先生。引っ越し手伝ってもらって」
今僕は芽衣さんの家に居る。
……け、結構物であふれていた。
今日彼女はうちに引っ越すことになっているのである。
付き合おうっていったら、芽衣さんがじゃあ同棲しましょ、と。
は、早い……展開が、早すぎる……。
「あの、芽衣さん」
「んー? とりあえず要らないものバンバン捨ててって、引っ越したら必要な物買おうかなって思ってるけど」
「あ、いや、そうじゃなくて」
僕は……恋人となった芽衣さんに言う。
「先生はその……やめてほしいなあ、なんて」
「!」
かぁ……と芽衣さんが顔を赤くする。
「そ、そうね! あたしたち……その、付き合ってるもの、ね」
もじもじ、と芽衣さんが身じろぎする。
さっきまでの大人でカッコいい雰囲気からいってんして、照れて、恥ずかしがってる姿は、なんだか普通の女の子していた。
そのギャップがちょっと面白かった。
「あ、なぁに? 笑ってさ」
「いや、なんかおかしくて。芽衣さん大人なのに、動揺してるのが」
「もぅっ、しょうがないでしょ、男の子と付き合ったことないんだから」
「え、そうなんですか?」
意外。
芽衣さん凄い美人だから、引く手あまただと思ってたのに。
「学生時代はスポーツに打ち込んでたからね。上京してからは仕事仕事で、恋愛してる暇なかったわ」
「へ、へえ……そうなんですか」
じゃあ僕が初めての彼氏ってことか。
なんだろう、光栄だなぁ。
「そうなのよ、先生……じゃなくて、うーん……うん。ゆーくん♡」
い、いきなりあだ名!?
距離の詰め方が、早い!
こ、これが大人の恋愛だろうか……。




