137話 惚れたら負け
僕は芽衣さんも恋人にしたいって、他の恋人たちに相談をした。
由梨恵やアリッサ、こうちゃんはOKしてくれた。
けど、みちるだけが考えを保留にしてほしいと言ってきたのだ。
僕はみちると話をするため、彼女の部屋にやってきた。
ここは元々中古の物件だったんだけど、みんなと住むにあたり、買ったのだ。
全員がそれぞれの個室を持っており、ここはみちるの部屋。
彼女はベッドに座って、うらめしそうに僕を見てきた。
「えっち……」
「え、えっちって……なんだよ」
「だって、芽衣さんってあれでしょ、足の長い、大人な、エッチなお姉さん」
まあたしかにその認識はあってるけども……。
「ハーレムが4人じゃ物足りなくなったのね!」
「いやそういうわけじゃなくて……僕は、好きになっちゃったんだもん。芽衣さんのことも」
僕はみちるの隣に座る。
彼女はお尻を浮かせて、離れようとして……でも、近づいてきた。
ぽすん、とみちるが僕の肩に頭を乗っけてくる。
嫌っていない、とは思う。怒っても、無いとは思う。何でと言われると、長い付き合いがあるからとしか言えない。
本当に怒ってるときは、会話を拒否ってくるから。
「お願い、みちる。芽衣さんとも、付き合ってもいい?」
「……アタシに断りなんていれず、したいなら勝手にすればいいじゃん」
「そうはできないよ。由梨恵たちも、みちるも、大事な僕の彼女だし」
彼女らに黙って新しい人を入れるのは、不誠実だと思ったのだ。
「……複数人と付き合ってる時点で、不誠実もくそもないでしょ。ばか、ばかばか」
「……うう、返す言葉もありません」
みちるが何度も嫌そうに、顔をしかめた後……
「はぁ~~~~~~~~~~~~」
と、大きく息をついて、疲れ切った表情で言う。
「……わかったわ。いいよ」
「え、い、いいのっ?」
「良くないわよ。でも、あんたにお願いされたら……断れないじゃない……」
みちるが拗ねたように唇をとがらせる。
「ありがとう、みちるっ!」
ぼくはみちるの体にだきつく。
背の割に、大きな胸がぐにゃっとつぶれる。温かくて、気持ちが良い。
みちるはため息をついて、だき返してきた。
「あーあ……惚れた負けっていうけど、全くもってその通りね。断れないもの、もう……」




