119話 冬
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僕、上松勇太は高校二年生。
ラノベ作家もやってる。
僕はひょんなことから、女の子たち複数人と同居することになった。
同居スタートしたのが秋で……それから2ヶ月ほど。
今は冬。12月になった。
「うう~……さむい~……」
朝。僕が目覚めると強烈な寒さが……。
「あれ? さむく……ない?」
なんだかぽかぽかしてる。なんだろう……。
「うーん……むにゃあ……」
「って、由梨恵かぁ……」
声優の駒ヶ根由梨恵が、目の前にいた。
目を閉じて、よだれをたらし、えへへと笑っている。
……ほんとに、きれいだなぁこの子。
黒くて長い髪の毛に、ちっちゃい顔。見てるだけでドキドキする。
「ゆーたくぅーん……♡ しゅき~……♡」
……先日、由梨恵の家の問題を解決してからかな。
この子、前よりもすっごい積極的になったんだよね。家に居るとずぅっとくっついてくるようになった。
由梨恵がぼくのことを正面から。そして……。
「すぅ……ん……♡ んんぅ……♡」
僕の背後には、もの凄い柔らかい感触を覚える。
振り返るとそこには、金髪の美女。
歌手のアリッサ・洗馬だ。
由梨恵が積極的になったのと同期して、彼女もまた熱烈アタックするようになってきた。
なんというか……え、えっちぃくなった。
薄着してみせたり、谷間を見せたり……。
「ふがー……んぐー……んがぁがぁ……」
「こうちゃん……」
ぼくの右腕を枕にしているのは、銀髪の少女こうちゃんこと、みさやまこうちゃん。
こうちゃんは……前と変わらないな、うん。でもこの子も結構くっついてくるようになったんだよね。
「ちょっとあんたらー、朝ご飯よー」
部屋の扉が開くと、エプロン姿の、幼なじみのみちるが現れる。
前は、僕の他に女の子がいると怒った彼女だったが……。
今ではもう、なれた物みたいな感じ。
「由梨恵もアリッサも、朝から収録でしょー。さっさとおきなさーい」
……なんかみちる、お母さんみたい。
『こうちゃんは仕事ないですぅ~……』
「おちびは学校でしょ、ほらおーきーなーさーいー」
みちるがこうちゃんを引っ張り起こす。
「んん~~~~♡ 勇太くん! おはよっ!」
由梨恵が僕に抱きついて、ちゅーしてくる。
最初はもうびっくり仰天で、朝からドキドキだったけど……。
もうこれが日常になったので、驚きはしない。でもまあ、ドキドキはするんだけどね。
「うん、おはよ」
「……ユータさん♡」
アリッサもまた、ちゅっ、とキスをする。……やっぱり恥ずかしいや。
『情熱的すぎやん。ここ外国なん?』
「はいはい、さっさと朝の準備してー」
みちるは僕が他の子にキスされても、あまり腹を立てなくなってきた。
一緒に暮らすようになって数ヶ月経つし、見慣れたのかも知れない。
「僕も身支度しますかね」
僕はまず起き上がってパソコンを立ち上がる。
その間に制服に着替えて、キーボードをたたたたんっ、ブレザーを着て、うん、準備完了。
「かみにーさまー」
「こうちゃん」
制服姿のみさやまこうちゃん氏がやってくる。
彼女も僕と同じアルピコ学園に通ってるんだよね。
「にーさま、小説アップした?」
「うん。したよ」
「いつかいたの?」
「着替えの途中で、ぱぱーっと」
こうちゃんが呆れたように、はぁ~……と溜息をつく。
「え、僕なにかした?」
「かもーん」
こうちゃんとともに外に出る。
リビングにはみちる、由梨恵、アリッサがいた……。
だが三人とも、スマホ片手に固まっていた。
「え、なにこれ? みんな? おーい」
みちるたちは涙を流したまま、石のように固まっている。え、なにこれ?
「かみにーさま、小説ぱわー」
「え? 僕?」
「読んで感動したと思われ」
「ええー……そんな感動するエピソードだったかなぁ。今朝思いついたネタ、ちょちょっと書いただけなんだけど」
「ちなみに所要時間は?」
「んー、3秒?」
「相変わらずのばけものやでえ……」
とまあ、色々ありましたけど、今はみんなで仲良く同棲してます。
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