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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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116話 王子に至る物語

【★お知らせ】

神作家、コミカライズスタートします!

挿絵(By みてみん)


ヤングガンガン様で連載です!

5/6スタート、つまり、明日発売!

https://magazine.jp.square-enix.com/yg/new/



めちゃくちゃ面白くなってます!

ぜひ!読んでほしいです!




 神作家の同僚……白馬王子の過去。


 大学時代、彼は愛する女性を見つけた。だが彼女には思い人がいた。


 それは彼の親友……岡谷おかやという男だった。


 白馬は彼を応援する一方で……愛する女、贄川にえかわ一花への秘めたる恋心を抱いていた。


 彼女に、少しでも振り向いてもらえるため、彼は小説を……ライトノベルを書いてみる決意をしたのである。


「おお、これがラノベ……」


 王子は大学近くの書店へと足を踏み入れていた。


 ラノベを書くのならば、まず、ラノベを知らねばならない。


「しかし世の中……これほどたくさんのライトノベルがあるのか……」


 本屋の一角には、カラフルに装丁されたラノベが置いてある。文庫本だけでなく、大判のものもあった。


「ジャンルも多い……多種多様だ。これは……理解するのに骨が折れるぞ」


 王子はラノベやアニメと言った、いわゆるオタク知識がまるでなかった。ゼロからのスタートと言える。


 普通なら無理な道程。

 だが……彼は諦めない。


「失礼、そこのレディ」


 書店員に声をかける。

 ばっ、と懐から財布を取り出し、上限無しのクレカを取り出して言う。


「そこのラノベ……すべて一冊ずついただこう!」


 白馬は、白馬製薬という巨大企業の御曹司であると同時に、モデルの仕事もしていた。


 親の金ではなく、自分で稼いだ金で、彼は本を大量購入。もちろん他のお客さんに迷惑にならないよう、1巻の、一冊だけ。


 本屋を回ってたくさんの、世に出ている本を買い……そして読んだ。


 彼は学業、モデル業、そして友達との時間。そのすべてをこなしながら、空いてる時間を利用して、読んだ。


 ひたすらにラノベを読み、研究する。

 分析する。


 いったい世の中で、何が求められているのか。何を書けば、みなが喜んでくれるのか。


 天才カミマツと違って、彼は凡人だった。


 何も考えずに書いたデジマスという神作品が、大爆発ヒットを起こす……タイプの作家ではない。


 世の中の人たちが、望むものを、調べて書く。


 彼に才能があるとすれば、その財力、そして……分析力だった。


 彼は世の中のラノベのほとんどを読んだあと、次にやったことは、なろうのアカウントを取って、小説を投稿することだった。


「インプットだけでは駄目だ。仕入れた情報をアウトプットせねば……」


 投稿サイトにアカウントを取って、その日のうちに投稿。


 だが……。


「くっ……! ゼロポイント。だが……面白い! この白馬王子が、この程度で諦めるとでも思っているのかい!」


 彼はモデルとしての知名度を、利用しなかった。名前を伏せて、純粋に、ゼロからお話を作り上げた。


 空いてる時間を執筆にあて、投稿。

 失敗、投稿……失敗……。


 そんな日々を繰り返す一方で、小説を読み、研究する日々……。


 彼は努力を努力と思っていなかった。これは必要なプロセスだと思っていた。


 この業界において自分が一番下だと思っていた。

 だから誰より努力するのは、当然。


 結果が出ずに苦しむ日々を送りながらも、少しずつ……彼はファンを増やしていった。


 そして、ある程度ネットでの人気が獲得できるようになってきた、ある日。


 彼は一本の投稿作品を作り上げる。


「ネットでの評判もいい。これなら……!」


 王子は一度ネットにアップしたそれを、手直しして、ラノベレーベルTAKANAWAの新人賞に応募。そして……。


 ラノベ作家を志して、一年後。

 二年生の夏。


「わ、私の作品が……大賞、ですか」


 それは編集部からの連絡だった。

 自分が書いた投稿作品が、見事、新人賞を獲得したという連絡だった。


「やった……やったぞ……! ついに……!」


 ずぶの素人だった彼が、たった一年で、大手出版社の新人賞を獲得するまで進化した。


 恐るべき進化速度。

 誰もが彼を天才だと称した。


 さらに、ネットにあげて連載していた物語の書籍化まで決まった……!


「やった……やったぞ! これで……少しは一花くんも……!」


 自分を、見てくれるだろう。

 喜びいさんで、彼は一花に報告しにいこうとした。


 だが……。


「あ……」


 王子は、見てしまった。

 うなだれる、親友……岡谷おかやの姿を。


 それは大学のカフェ。

 岡谷はひとり、テーブルに小説雑誌を広げている。


 それは……自分が投稿した新人賞の、一次選考の結果が載ってる雑誌だった。


 王子は雑誌を見る前から、自分が大賞を取ったことを知っている。


 どこの新人賞も、とても才能のある作品は、すでに選考して結果が出ているのだ。


 そう……。


「我が友よ……まさか、その新人賞に、応募したのかい?」


 岡谷は小さくうなずいて、弱々しく言う。


「……駄目だったよ」


 残酷なことに、白馬には才能があって、親友には……まったく、小説家の才能が無かった。


 そして……悲しいことに。


「そうかい……残念だった。なぁに、次があるさ!」


 白馬王子は、悲しいくらいに、白馬に乗った王子だった。


 友達が落ち込んでいる一方で、自分の結果をみんなに祝って貰おうとするような、人間ではないのだ。


 誰かが悲しんでいるなかで、自分だけが幸せを享受できるような人間ではない。


「一花くんと私、そして光彦。三人で旅行へ行こう! 元気を出したまえ!」


 彼に女を奪うという選択肢はない。

 彼は王子だから。


 自分の手柄をひけらかすことはしない。

 そう……彼は、王子だから。



【★お知らせ】


新作の短編、書きました!



「Sランクパーティの器用貧乏な俺は追放され、念願だった国家錬金術師となり、田舎で店を開きたい」


https://book1.adouzi.eu.org/n7507hp/


よろしければ是非!


広告下にも↓リンク貼ってあります!


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★新連載です★



↓タイトル押すと作品サイトに飛びます↓



『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

― 新着の感想 ―
[良い点] 王子、格好いいです。
[良い点] 何回も王子ということにより強調していて、いい表現なんだろうけど、その中になんとも言えない儚さを感じました! [一言] 白馬の執念(?)を親友の岡谷も知らないと思うと、すごく悲しくなる( ;…
[一言] あ、これ後でバレて修羅場なるやつや
感想一覧
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