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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第3章

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105話 神作家の力

【★お知らせ】


書籍化が3月にGA文庫様から発売されます!


挿絵(By みてみん)


もう予約が開始されてますので、ぜひ!


→ https://www.sbcr.jp/product/4815613372/


 僕は由梨恵ゆりえの悩みを聞いて、彼女のためになんとかしたいと考えた。


 お台場の夜の公園にて。


 PRRRRR♪


 スマホに着信が入ってきた。

 画面を見ると、みちるからだった。


『ちょっと勇太、帰り遅いけど大丈夫?』


 突然家を出たのでみちるが心配して連絡を寄越したのだろう。


 ちょうどいい。


「うん、大丈夫。実は……」


 僕は今起きていることを手短にまとめる。


 由梨恵ゆりえが無理矢理お見合いさせられそうなこと。


 声優業までやめさせられそうなこと。


『なにそれ! ひっどい両親ね!』


「だよね。だから僕、なんとかして由梨恵ゆりえの両親を説得しようって思ってるんだ」


『説得って……できるの?』


「わからない。でも、ただバカ正直に行っても追い返されるだけだと思う」


『まあ勇太って見た目ただの高校生だし、いくら出版業界の神だとしても、信じてくれないかもね』


 神とか以前に、

 僕ごとき小僧が突然行ったところで、みちるの言うとおり追い返されるだけだ。


「だから、僕は頼ろうと思う」

『頼る?』


「うん、信頼できる仲間とか、おとなにね」


 相手は一企業の社長だ。

 そもそもとして単なる高校生の僕が、会うことすら普通はできない。


 あくまで僕一人では、での話だ。


「みちる……。それに、みんなの力も、貸して欲しいんだ」


 僕は作戦の内容を伝える。


 電話口の向こうでみちるが息をつく。


『そりゃまた大がかりね……でも、わかったわ。とりあえずアリッサとおちびにはこっちから伝えておく』


「いいの?」


『あんたは他の準備もあるんでしょ?』


「ありがとう。愛してるよみちる!」


『にゃ゛……! へ、へんなことゆーなぁ~♡ ばか~♡』


 その後僕は【準備】に取りかかる。

 といっても、お願いするだけなんだけど。


 ややあって。


「うん、完成」


 ベンチに座っていた僕と由梨恵ゆりえ

 そしてちょうど目の前に、僕らをここに送り届けてくれた、贄川にえかわさんのお姉さんがいる。


「何が完成したの?」

「シナリオさ」


「「シナリオ?」」


 はて、と贄川にえかわお姉さんと由梨恵ゆりえが首をかしげる。


「安心して由梨恵ゆりえ。君の問題は全部解決するから」


 婚約者の件、声優を諦める件、そして同棲生活が解消される件。


 そのすべての問題は、取りのぞかれる。


「なっ!? ど、どうして……わかるの?」


「え、だって与えられた条件から、最適な展開シナリオを作るのって、小説家なら誰でもできる必須技能だよ」


「そ、そっかぁ~……」


 由梨恵ゆりえはまだいまいち信じてない様子。


「一花さん」

「なぁに?」


 僕は背後を指さす。


 ここはお台場にある公園で、僕の後ろには茂みがある。


「真後ろに多分追っ手の人がいます。上に連絡されたら面倒です。ちょっと制圧してきてください」


「は、はぁ……? 追っ手?」


「はい。たぶん由梨恵ゆりえを捕まえて、両親の元へ連れてこうとしてるんだと思います」


 一花さんは首をかしげている。


 暗くて、たぶん姿が見えないんだろう。


「お願いします、信じてください」


 一花さんは戸惑いつつも、うなずいてくれた。


「……わかったわ。あなたを信じる」


「ありがとうございます。トイレに行くフリして、時計回りに回り込んでください」


 こくん、と一花さんがうなずいて離れる。


 僕と由梨恵ゆりえだけが残される。


「だ、大丈夫かなぁ……追っ手って」


「うん、大丈夫。一花さんなら勝てるから」


 どがっ! ばきっ!


「ほらね」


 黒服の大男を引きずりながら、一花さんが茂みからでてきた。


「嘘みたい……本当に追っ手の人がいたわ……」


 ホテルで見かけたボディガードの人たちだ。

 やっぱり。


「ど、どうして追っ手がいるってわかったの?」


「まさか未来予知の超能力者……?」


 一花さんと由梨恵ゆりえが首をかしげる。


「あはは、そんなんじゃないよ。僕は単に次の展開を予測しただけ。ほら、小説を読むときって、次の展開を予測しながら読むでしょ?」


「それは……まあそうだけど」


 一花さんが首をかしげている。


「それと一緒。与えられた手札から、次のキャラクターの動きを予測する。僕のシナリオだと、これで数時間は時間が稼げる。その間に準備は整うから、悠々と、両親の元へ行けば良い」


 二人がなんだか、とてもびっくりしたような顔になる。


「え、どうしたの?」


「す、すごいよ……勇太くん。まるで神様みたい……」


「予想通りに世界を動かすなんて、本当に神作家なのね……」


 由梨恵ゆりえと贄川さんが驚いている。


 え、何言ってるんだろう……?


「僕が世界を動かす? 違うよ、単に次の展開シナリオを予測してるだけ。予測が出来るなら回避できるでしょ?」


「いやでも……それでも望む未来シナリオに変えてるんだから……すごいわよ、あなた」


 お姉さん、すっごい驚いている。


 そんなに驚くことだろうか……?


 シナリオを考えるのも、小説家の必須技能だよね?


「じゃ、とりあえず作戦開始と行こうか。大丈夫、僕は君を、すべてから解放するから」


 由梨恵ゆりえの不安げな表情は、完全には晴れない。


 でも、少しだけ微笑んでくれた。


「ありがとう、勇太くん」


 よし、じゃあ行動開始だ。


 彼女の未来シナリオは、僕が変えてやる。

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『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

― 新着の感想 ―
[一言] >与えられた手札から、次のキャラクターの動きを予測する。 炎萌「わかる」なお当事者(ry 1話の時フラれるって予測できなかったのは前提条件が足りんかったか間違ってたんやろな。
[一言] 最初に告白したとき手酷くフラれるって展開を予測出来なかったんでしょうかね。
[一言] 更新お疲れ様です さすがに天才すぎる
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