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【完結】高校生WEB作家のモテ生活 「あんたが神作家なわけないでしょ」と僕を振った幼馴染が後悔してるけどもう遅い  作者: 茨木野
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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104話 由梨恵のために

【★大切なお知らせ】


書籍化&コミカライズが決定しましたー!

ありがとうございます!


詳細はあとがき&活動報告にて!



※書籍化際してタイトルが変更になってます!


旧タイトル「【連載版】「あんたが神作家なわけないでしょ」と幼馴染みからバカにされたうえに振られた~陰キャな僕が書いたWEB小説が書籍化・アニメ化・映画化までされた後に、作者が実は僕だったと気付いたところでもう遅い」



 僕、上松 勇太は、声優の駒ヶ根 由梨恵とともに、お台場の夜の公園にいる。


 お兄さんである白馬先生からの電話を受けて、彼女をホテルから連れ出した。


 由梨恵には、婚約話が来ているらしい。


「お母さんたち、ね……本当は私が声優になることも、許してくれなかったの」


 ベンチに座る由梨恵がぽそりとつぶやく。


「声優なんてくだらないって。でも……私にとっては、初めてできた目標だったの。初めて、自分でやりたいって思ったことだったの」


「両親が反対してるなら、なんで今、やれてるの?」


「お兄ちゃんが、説得してくれたの。長い時間かけて、必死になって」


 白馬先生の働きがあって、由梨恵は今、声優をやっているらしい。


「でも……お兄ちゃんの必死の説得を聞いても、両親が許してくれたのは、私が結婚するまでの間。だから……」


「そっか……結婚したらもう、声優ができないんだね」


 こくん、と由梨恵がうなずく。

 ぽたぽた……とその大きな瞳から涙が零れ落ちる。


「私……勇太君たちとの生活も、大好きだし、声優のお仕事も、もっともっとしたいの……でも……結婚したら、全部なくなっちゃう。それが、嫌で……」


 由梨恵が両手で顔を覆う。

 いつも笑顔を絶やさない彼女が、こんなにも悲しむなんて。


 そこまで、僕たちのことを大事に思ってくれてるんだ。

 声優の仕事に、そこまで、本気でいてくれてるんだ。


 ……なんだか、悲しくなってきた。


 由梨恵の両親は、どうしてこんなに、娘の意見を聞いてくれないんだろう。


 僕の家は、僕の家族は、いつだって息子の意見を尊重してくれた。

 作家を引退するって宣言した時も、否定しないで認めてくれた。


 無条件の信頼と愛を、子どもに与えてくれる。

 それが家族だって、僕は思ってる。


 だから……僕は。

 こんな子供の意見をないがしろにする、由梨恵の両親に、腹が立った。


 ……そして何より、両親に振り回されて、涙を流している彼女を、どうにかしてあげたいって思ったのだ。


「由梨恵。泣かないで。僕が何とかするから」


 彼女が顔を挙げて、僕を呆然と見やる。


「ゆうた、くん……今、なんて?」


 僕は由梨恵の体を抱きしめる。

 ぎゅっ、て、抱きしめる。


 彼女の近くで、きちんと聞こえるように言う。


「僕が由梨恵の両親を説得する。由梨恵が僕らと一緒にいられて、声優のお仕事を続けてもいいようにする」


 由梨恵が息をのむ。

 ぶるぶる……と彼女が体を震わせる。


「……気持ちは、うれしいよ。勇太君が、私のために、やってくれようとしてくれたこと。でも……無理だよ。お兄ちゃんの話すら聞いてくれないんだよ?」


 身内に耳を傾けてくれないやつが、他人の言葉を聞いてくれるとは思えない。


 由梨恵はそう危惧しているのだろう。


「大丈夫。僕がなんとかするから」


 由梨恵が戸惑ったように、僕に聞いてくる。


「どうして……そこまでしてくれるの?」

「簡単だよ」


 そう、簡単なことなんだ。

 彼女の過去を聞いて、体が動いた。それだけなんだ。


 彼女が泣いてる姿を見ているのがつらかった。

 彼女には笑ってほしかった。

 それはとどのつまり……。


「君が、好きだから」


 僕がみちるに振られてショックを受け、狭い世界に閉じこもろうとしていた時期がある。


 父さんに連れてってもらったパーティ会場で、初めて僕に声を掛けてくれたのは、由梨恵だった。


 最初に由梨恵と出会わなかったら、僕はパーティ会場を後にしていただろう。

 陰キャの僕に、きらびやかな世界は似合わないって。


 でも、あのとき。

 由梨恵が声を掛けてくれた。話を聞いてくれた。友達になってくれた。


 だから、あの場から逃げ出さないでいられた。


 結果僕は、たくさんの人たちと出会った。

 広い世界の存在を知れたんだ。

 あのときから、思えば僕は由梨恵に、無意識にひかれていたのだろう。


「僕は笑ってる君が好きだ。仕事に一生懸命な君も、みんなと楽しそうにしてる君も大好きなんだ」


 だから、そんな由梨恵から笑顔を奪う、両親が許せない。


「大丈夫、僕に任せて。君の大事なもの、僕が守るから」

「ひく……! う、うぅううう……」


 由梨恵が僕に抱き着いてくる。

 ぎゅーっと、離さないように、強く、強く。


「……勇太君。お願い……たすけて」


 そんなの、当たり前だ。

 いわれるまでもない。


 大好きな女の子の笑顔を守るのは、主人公(ぼく)の役割なのだから。

 

【★お知らせ】


書籍化が決定しました!


3月にGA文庫様から発売されます!


カバーはこちら!

挿絵(By みてみん)




皆様のおかげでここまでこれました!

本当にありがとうございます!




そのほか詳細は活動報告に書いてます!

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★新連載です★



↓タイトル押すと作品サイトに飛びます↓



『キャンピングカーではじめる、追放聖女の気ままな異世界旅行』

― 新着の感想 ―
[気になる点] [芽衣さんに連れてってもらったパーティ会場で]と、あります。けれど連れていったのは父親だったのでは?
[一言] 多分、デジマス作者の権力を使って完膚なきまでに、 クズ親叩くんだろうなぁ…
2022/06/11 14:44 退会済み
管理
[一言] 書籍化おめでとうございます〜
感想一覧
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