表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

875/1357

875 星暦557年 萌葱の月 2日 水除け(14)

「風を循環させるとしても、大きな庭園規模だったら全体で風を動かそうとしたらかなりの強風が必要になって、貴婦人たちの髪の毛とか服が乱れてダメなんじゃないか?」

ウチの庭程度の広さだって、片側から空気を押し込んで反対側から出そうとしたらそれなりに勢いをつける必要がある。


「う~ん、右側の下から空気を入れて、左側の上から空気を引き出す感じにしたら勝手にそよ風っぽく動かないかなぁ?」

シャルロが首を傾げながら言う。


「取り敢えずこの家の敷地で送風実験して、一応何とかなりそうならもっと大きな範囲で試してどうなるか実験してみるか」

アレクが提案した。


まあ、そうだな。

ついでに送風だけでどの程度暑さが軽減されるかも確認だ。


「折角試作機のせいで暑くなっているから、このまま風だけ動かして中の状態がどうなるか試してみようぜ」

送風関連の魔具を試作していたら時間がかかるから、取り敢えず試すために普通に術を掛ければ良いだろう。


「じゃあ、僕が裏の方から結界の中にそよ風程度に空気を押し込むから、ウィルがそっちの表側の入り口付近で空気を引き出して、アレクは真ん中に立ってどんな感じか言って?

4ミル(5分)程度で状況があまり改善しなかったら段階的に風を強くする感じで。

蒼流に僕の風の強さをウィルに伝える様に頼むから、合わせてね」

ウィルがそう言って、裏庭の方へ歩いて行った。


裏庭の出口当たりで結界に穴をあけるのかな?


俺もそれの反対側ぐらいで結界に穴を開けないとだな。


結界って破ってしまう方が全体を残したまま穴をあけるより楽なんだけどなぁ。

考えてみたら、風を通そうと思ったらそこに関してもどうやって魔具で指定した場所に穴の開いた結界を展開するか、考える必要があるな。


結界に穴をあける魔具ってあるかな?

下手をしたら違法行為に使いそうだから売り出し禁止とかになっていそうな気もするけど。


そんなことを考えながら表の方へ歩いていき、門柱の上に飛び乗って結界の上の辺に手を付けて、そっと魔力の網の目を寄せて穴をあける。

『器用なものだな。

シャルロが風を引き込んでいる。

丁度同じ程度になったら言うから徐々に出力を上げて空気を抜きだせ』

ふいっと蒼流が現れて指示してきた。


へいへい。

シャルロ側が既に風を送り込んでいるせいか、何もしなくても結界の所で風が流れ出ている感じがするが、すっきり出て行くように結界の境あたりから外に向けて風の流れを生み出す術を発動する。


『もうちょっと強く・・・その程度だ』

蒼流の言うとおりにやったら、満足したのかふいっと姿が消えた。


どうやらシャルロの方へ戻ったらしい。

すぐ傍なのに、そんなに離れるのが心配かね?


「どうだ~?」

アレクの方へ声をかける。


「少し蒸し暑いのがマシになった感じかな?

特に風の流れを感じる訳ではないが」

ふむ。

この程度の空気の動きだと、中に居る人間にとってはそよ風を感じる程度には動きが無いのか。


『清早~。

アレクが風を感じないらしいから、今の倍ぐらい風の出力を上げようってシャルロに提案して来てくれる?』

傍にふわふわ浮いていた清早に頼んだ。


『おう!』

最近は水関係の実験が多いせいかよく近くをふらついている清早にお願いする。


それこそ暇な風の精霊がいたら中の空気を循環させて温度も下げて~って頼むのが一番気持ちいい環境になるんだろうが、精霊を魔具に組み込む魔術回路はないし・・・あったとしてもそんなのは作っちゃいけないだろう。

こう、精霊の興味を引くような魔具があったら良いんだが、風の精霊は特に気まぐれだからなぁ。


まず無理だろう。


「風を少し強くしたけど、どうだ?」

清早が戻ってきたのでアレクの方へ尋ねる。


「多少は空気の動きを感じるかなって程度だな」

意外と少ないな。


「ちょっとこっちに近づいてみてくれ。

場所によって風の流れが違うとしたら、うっかり真ん中にいる人間を基準にして風を強くしても不味いだろ」

大きな結界の中で一様に気持ちいい風を吹かせるなんて無理かもしれないが。

少なくとも、防風機能も謳っている結界の中で突風が吹くのでは意味がない。


「あ~、ここに来ると少し強めかな?

手を上げると更に空気の動きを感じるが、ここまで背が高い人間はそれ程いないだろうからこの程度なら大丈夫だと思うが」

アレクが俺から2メタ(メートル)程の所で立ち止まって手を上げながら言った。


のっぽな鬘を被った人間が傍に来ないことを期待しよう。


どちらにせよ暑い時には冷風を吹かせる必要はあるだろうが、そこまで暑くない時に温室っぽくなるのを風で何とか出来そうかな?

というか、結界の遮熱とある程度の遮光も組み込んでみた方がいいだろうな。

とは言え秋の後半だったら熱が入ってきた方がいいんだろうけど。

あまり色々な選択肢から選べるようにしようと思うと魔具が複雑になって制作費が高くなるんだよなぁ。


微妙だ。

秋に庭でパーティをする必要がどの程度あるのか、後で確認してみよう。



大きな体育館とかで、対角線上の2箇所で空気を動かしたら中で微風が生じるんでしょうかね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 現代知識で言えば、太陽光の熱量の大半は赤外線なので 1)赤外線を遮断する 2)遮断した赤外線で発生した熱量を一箇所に集める 3)上部に煙突状にして熱量を集中させる 4)下部にドライミストを噴…
[気になる点] よく考えたら雨の日に陽射しの事は気にしなくても良いような。。。 [一言] >そっと魔力の網の目を寄せて穴をあける 流石は幽霊(ゴースト)!
[一言] 熱気って要な熱と水ですからねぇ………魔具にラジエーターでもつけてみるか?<外に逃がすために と寝言はさておき、そういう時のために村の人の知恵を借りることを、そろそろ三人は覚えたほうが良いと思…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ