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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後6年目

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856 星暦557年 青の月 20日 魔術回路の素材(6)

「通信機で相手を確認して送る転移箱?

良いわね〜。

私が商売していたら絶対に買うわ!」


通信機の機能と連動させて転移箱の転移先を変えるのは、2日程度でなんとか形になった。

今度は通信機で相手と話している状態じゃないと送れないようにして、例外的にボタンを押したら相手に連絡せずに送れるようにする機能だが・・・こちらはもう少し難航していた。


まあ、まだ通信機と転移箱を連動させた試作品が昨日完成したばかりだから、そこまで時間はかけていないんだけどね。

送りっぱなし、もしくは通信中じゃないと送れないって言うのはそれ程難しくないんだけど、両方を選べるって言うのが中々難しい。


面倒な思いをしてまで新しい機能が本当に必要なのかね?ってちょっとシェイラに愚痴ったら絶対に良い!!と言い切られた。


「そうか?

紙に書いてある筆跡とか署名を見れば、誰が送って来たか大体分かるから、やたらと煩い軍部以外はどうでも良くない?」

軍部に売り込めるかどうかまだ不明だし、あっちは予算編成がなんだかんだと財務部との交渉もあるらしくて販売が決まっても実際に金(と製品)が動くまでかなり時間がかかるんだよなぁ。


「決まった相手にしか送りつけられない1対1の転移箱だったらまだしも、複数の相手に送れて、受け取れるのよ?

相手を間違えたりしたら悲惨なことになるじゃない。

第一、書類って言うのは理由があって送るの。

さっさとちゃんと直ぐに目を通してもらわないと困るんだから、確認の為にどうせ通信機で連絡を取ることを考えると、最初から一体式にして間違った転移が出来ない様にしておけば良いわ」

シェイラが指摘した。


まあ、確かに役所なんかとのやり取りのつもりで、商業ギルドとかに機密書類を送りつけちゃったらヤバすぎるか。

もしくは愛人とラブレターのやり取りをしているつもりで妻に送っちゃったり。


転移箱って間に使用人が間に入らなくて『二人だけの愛の秘密』とでも感じるのか、意外と愛人持ちの中年男性に良く売れているらしいんだよなぁ。


そう考えると、愛人へのラブレターを間違って領地の妻の方に送ったりしたら悲惨を極めるかも知れないから、しっかり通話で相手を確認しないと送れないって言うのは重要かもな。


とは言え、ボタンを押せば送り付けるだけの機能も出来るって時点でかなり危険だが。

送る前に設定してある相手方を特定する魔石を確認すれば問題はないんだが・・・魔術師以外だと、魔石の設定なんて入れてあるケースのメモ書きからしか分からないからなぁ。


魔術師なら軽く魔力を通したら中の識別情報を読み取れるんで大丈夫なんだが。

通信機の相手の設定用魔石に刻み込まれている識別情報を明示するようにでもするかね?

そう言う機能を開発したら普通の通信機にも便利だろう。

通信機を実際に使えば誰と話しているか分かるんで大した問題は起きないらしいが、時々通信相手指定用の魔石の入った箱をひっくり返して収拾がつかなくなり、整理を頼む依頼が魔術院の方に来るってアンディが言っていたからな。


考えてみたら、今後は転移箱で話さずに送るってのが出来ちゃうから問題は起きやすいかも。


「ちなみに発掘チームにも本部と連絡を取る為に転移箱があるのか?」

定期報告みたいのをシェイラが書いているのは見ているから、定期的に書類の送付はある筈だが。


「まさか!そんなのに払うお金があったら発掘の方に回しているわよ。

お手軽に売れちゃう魔具なんて『うっかり失くしました』って言って売られかねないし。

本当にうっかり失くす学者バカも多いから、嘘かどうかの見極めも難しいから基本的に売りやすそうな小型魔具の配布はないの」

シェイラが笑いながら言った。


「・・・今の転移箱ってペアで使う物だから、片側だけ売っても余り意味はないぞ?」

まあ、共鳴させる魔石を入れ直せば他の転移箱と再設定できるが。

だけどこれは学者バカには分からない情報だと思うんだが。


「そんなもん、実際に使えなくても他国に売り払って模造品を使うのに利用する分には困らないでしょ?

学者バカから上手く金で情報や物を抜き取ろうとする輩はどこにでもいるからね。

学会本部・・・というか予算を管理している財務省の方が、そこら辺は十分に気を付けて管理しているから、換金性の高い最新式小型魔具の入手はほぼあり得ないわね」

シェイラが肩を竦めた。


ふむ。

まあ、シェイラが俺の贈った魔具を売り払うとは思わんが、どちらにせよ書類のやり取りは俺とはないし、王都側の学会本部に転移箱が無いんだったらシェイラも使えないだろうから、試作品を提供してもしょうがないかな?


ラブレターを書くのは俺には難しいから、それを必要とする転移箱も持ち込みたくない・・・。



ラブレターなんて生まれてから一度も書いた事のないウィル君ですw

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ、ウィル君も学生時代編であったトラブルなんて、「色気のないXYZ案件」ばっかりだったしね(乾いた笑い)。 現代学園モノに変換しても、放課後のラブレターじゃなくて裏社会その他からのお呼び出…
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