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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後7年目

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1071 星暦558年 紺の月 6日 例年の時期と言えるかも(8)

「サウナねぇ。

魔具で簡単に入れるのか?」

ジャレットが少し首を傾げながら聞いてきた。


「美顔用魔具は蒸気を薄く発生させて魔具でその蒸気と一緒に汚れを取り除く仕組みだから、ある意味蒸気を魔具で発生させることも可能だが・・・考えてみたら普通に火器コンロの上にフライパンでも乗せて石を熱して、それを持って行って少量の水を掛けて湯気を出す感じにすればいいんじゃないか?

別に魔具にする必要はない」

俺たちが提案したから魔具を使うって誤解したみたいだが、別に何でも魔具を使う方が効率的と言う訳ではない。


まあ、火器コンロは一応魔具だけど。


「なるほど。

火器コンロで済むならその方が手軽かな?

じゃあ、ちょっとした小屋を水浴び所の傍に作れば良いのか」

ジャレットが言った。


「何人用の小屋のサイズが効率的かは幾つか作ってみて試すのが良いだろうけどね。

最適な小屋のサイズが分かったら、幾つかその小屋を建てた上で火器コンロを小屋の外にでも置いておいて自分で適当に石を熱して持って入る感じにしたらお手軽かも知れない」

アレクが提案する。


王都だったら火器コンロを盗まれちまいそうな気もするが、パストン島だったら共同使用する道具を盗む住民は少ないだろうし、船乗りたちはこれから船に乗って帰るのに火器コンロを盗んで帰るのはちょっと隠し場所的に難しいだろう。

多分。


「考えてみたら港にもサウナを作って、きちゃない船乗りたちにまず垢を落とせって命じたら良いかもね~。

でもこの場合は流石に火器コンロを港のすぐそばにある小屋の外に出しっぱなしにして置いたら盗まれそうだけど」

シャルロが指摘した。


入港したばかりの船乗りたちはマジで臭いからなぁ。

今朝も、はっきり言って俺たちが連れてきた水牛よりも横の船から出てきた船乗りたちの方が臭かった。

あれを街に入る前に綺麗にするのは皆が喜びそうだ。


「確かに、溜まってこびり着いた汚れって水を浴びても余り綺麗に落ちないものねぇ。

しっかり港で綺麗になって貰う方が良いかも」

キャリーナが頷く。


「・・・入港料金を少し上げて、それでサウナの人件費と火器コンロの魔石代を賄うことにして入港直後の船乗りには無料でサウナを使わせることにするか」

ちょっと考えてジャレットが言った。


どうやら入港後の船乗りの臭いに関しては他の住民からも苦情が来ていたらしい。


なんと言ってもパストン島は交易船の補給所として開発された場所だ。

どうしたって船乗り相手の商売が多く、臭いからと言って客を締め出していたら商売にならない店が殆どだろう。


そう考えると客に最初から清潔になっていてもらうのが一番だな。

変な病気や虫が付いていても落とせる可能性が高くなるし。

まあ、病気はサウナに入っただけでどうにかなる訳じゃあないだろうが、何人かで裸になってサウナに入っていたら変な発疹とか爛れがあった場合にそれが他の船員たちの目について、ヤバい人間は街中に入る前に医者に掛かれと足止め出来る。


「ヤバそうな発疹とか爛れがある仲間の事をチクったら本人も含めて酒を一杯奢るって周知して、入港後の初診料はただってことにしたら変な病気が島に持ち込まれるのを減らせるんじゃないか?」

ついでに服の洗濯と安い着替えの販売もしておいたら変な麻薬とかの持ち込みも制限できそうだ。


「あ、洗濯用の魔具も出来たんだよ!

何だったらそれを使う?

折角体を綺麗にしても、臭い服を着たら元も子もないでしょ」

シャルロも似たようなことを考えたのか、洗濯用魔具の提供を提案した。


「そこら辺は洗濯係として働きたい人間がどのくらい居るか、調べてからだな。

最近はいつの間にか住み着いている浮浪児が徐々に増えて来ているから、単純労働は出来れば魔具を使うのでなくてそう言う連中に回したい」

ジャレットが言った。


「浮浪児??

孤児院から逃げ出したガキか?」

パストン島の住民は移住してきた農民と少数の職人や宿屋をやっている人間が多く、船乗りは居ないので稼ぎ頭の父親が死んで孤児になるというケースは余りないだろうと思っていたのだが。


まあ、それでも病気で死ぬ人間もいるんだから、孤児院の必要性はありそうだが。


「いや、孤児院は普通に真面な運営をしているし特に逃げ出す子供もいないんだが・・・東大陸のほうから来る船に密航してくる子供がやっぱ船に勝手に乗っているのはヤバいってことでパストン島で逃げ出してここで浮浪児になるのがいるんだ」

溜め息を吐きながらジャレットが言った。


「まあ、小さな子だったら孤児院に入れてあげても良いし、働く気があるなら農家で働くとか港で手伝いするとか、なんとか生きていける様に皆で手を貸しているんだけど、子供によっては大人を信用していなくて隠れちゃう子もいるし、最近は徐々に数が増えて来ているしでちょっと困っているのよねぇ」

キャリーナも溜め息を吐きながら言った。


「浮浪児上がりの奴に港での単純労働のまとめ役みたいのをやらせて、そう言う浮浪児を雇いつつ島での生活になじませる教育をするのに支援金を払う感じにしたらどうだ?」

大人に搾取されつつ一人で生きてきたガキに大人が手を差し出そうとしても、騙して売ろうとしているだけだろうと思われる可能性の方が高い。


まだ元浮浪児出身のまとめ役っぽい奴の方が信頼できる。


とは言え、そう言うのがギャングみたいのになって更なる搾取の仕組みを作ることもあるからそれなりにちゃんと見張っておく必要はあるけどな。


娼館は避妊がちゃんと出来てますw

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― 新着の感想 ―
[一言] 江戸時代式の銭湯にして、そこで三平含めて孤児の労働………先に義務教育が必要な気も。 午前か午後に勉強でもう半分は仕事にして、衣食住と賃金を担保したうえで身元保証。 ………成績優秀者は文官候補…
[一言] 浮浪児が増えるのは困るけど冷たく突き放すことも出来ないですよね なかなか悩ましい事態に
[一言] 南国でこんな作りのサウナだと、すぐ小屋がカビそう。
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