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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後7年目

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1037 星暦558年 赤の月 23日 ちょっと想定外な流れ(12)

ヤバい父親とちょっとお花畑な娘のどちらに脅迫の手紙を返すかと考えた結果、父親がいるところで娘に返すのが一番良さげと言う結論に達した。


娘にだけ返して、もしも父親が上手い事娘の落ち込みの真相を聞き出し損ねたらまたあの娘がどっかのアホに騙されるかもしれないし、なんと言ってもブラグナル男爵家の令息たちが野放しになるのは微妙だ。


流石に2回連続でシェイラが大切にする存在が引っかかる確率は低いとは思うが、誰かを騙して甘い蜜を搾り取った挙句に思い出をネタに脅して食い物にするような野郎はとっとと駆逐されるべきだろう。


父親に知らせれば娘を脅して不調に追い込んだ連中が誰か分かればすぐに手を打つとは思ったが、娘に知らせぬままにサクッと終わらせてしまうかもしれないのでそれはそれで娘さんが落ち着かないだろう。ということで両方が情報共有をする可能性が高そうな状況で手紙を返すことにしたのだ。


他の被害者に手紙を返している間に盗賊シーフギルドから集めて貰って買った情報によると、あの怖い父親は溺愛している娘とほぼ毎日午後のお茶を一緒にするらしい。

以前はその時間帯に娘が招かれたお茶会や夜会の出席を決めるのに父親へ色々と相談していたらしいので、お茶の時間に丁度届く様に手紙の配達を手配しておけば娘が父親に相談・・・しないまでも、少なくとも目の前で手紙を開封するぐらいの事はするだろう。


そうなれば脅された元ネタを見たらきっと動揺し、父親に色々と問い詰められるだろうと思ってギルドで雇ったメッセンジャーにしっかり封をした手紙を時間指定で届けさせた。


手紙には一応、『ブラグナル男爵家の次男から大切な人が脅されていたので、不快な手紙を取り返した際に他の被害者の手紙に含まれていたのでお返します』と書いておいたので、父親も無駄に手紙の差出人を探す手間暇かけずにあいつらへ辿り着く筈。


流石に確認を取る為にある程度は調べるだろうが、犯人が分かっていれば自白剤を飲ませるなり真偽の術を掛けるなりして確認すれば娘を騙した挙句に脅迫した張本人かどうかは直ぐに分かる。


まあ、これでシェイラが間違っていたら大チョンボなんだが・・・一応、あの家に忍び込んで娘の手書きの覚え書きを確認したら、筆跡が同じっぽい感じだったから大丈夫だろう。

シェイラってやたらと顔が広いよなぁ。

特に社交に興味がある様子でもないのに。

学生時代にでも色々と知り合いの輪を広げたのかね?


肝心の父親がちゃんと気付くか確認する為にお茶を飲んでいる場の傍に忍び込んで盗み聞きしようかとも思ったが、そこまでしなくても良いかと手を引くことにした。

これだけお膳立てしたのに気付かなかったんだったら、知らん。


と言うことで今日は久しぶりにのんびりと工房でお茶を飲んでいる。

「なんかこう、意外に過敏アレルギー体質安全用魔具に関しては何も連絡が来ないね」


シャルロがさっくりとしたリーフパイを手に取りながら言った。


「あちこちでバタバタしているせいで、毒を盛られるような立場の人間がノンビリ食事に呼ばれたりお茶を飲んでたりしている暇がなかったからなんじゃないか?」

アレクが肩を竦めながら言った。


なるほど。

毒探知用に寄越せと圧力をかけるにも皆が比較的落ち着いて平和な状況じゃないと難しいのか。

下手をしたら反逆罪に近いような大罪に問われるかもなんてバタバタしている時には『自分に有利な魔具を寄越せ』なんていう要求は後回しにされるよなぁ。


「まあ、過敏アレルギー体質安全用魔具に関してはシェフィート商会と工房で頑張って貰うことにしようぜ。

俺たちとしては・・・次は何を造ろう?」


「じゃあ・・・部屋を静かにする魔具なんてどう?

煩いと赤ちゃんが起きて泣いちゃったら大変だし、反対に赤ちゃんの泣き声がずっと続いているのも他の人にとって大変だし、どこかレストランとかで食べる時に周囲の声が煩いと会話に大声を出さなきゃいけないのも嫌だし。

こう、自分や指定した範囲だけ静かにする結界っぽい魔具があったら便利そうじゃない?」

シャルロが提案した。


沈黙サイレスの術で完全に静かにするのではなく、他からの音を遮る形にするのか」

自分が動く時に音を消す魔術(魔具も)はあるが、部屋に結界を張って外からの音が入らない様にしたり外へ音が漏れないようにするのは可能なものの、そう言う魔具は無いかも?


「会議の話し合いの内容を盗み聞きしにくい様に出来たら便利かもしれないな。

まあ、レストランでの防諜対策としては唇を読まれたら内容は漏れてしまうが」

アレクが頷きながら言った。


レストランでそこまで人に洩れちゃあいけない話はするべきじゃないと思うぜ?

せめて個室を借りてやれよ。

個室だったら隣の部屋とかで聞き耳を立てられても魔具や結界での防音対策で何とかなるだろう。


「良いかも知れないな。

結界でかなりの機能は何とかなりそうだから、普通に防音結界を魔具化するだけで良いか、それだと何か問題があるか、色々と試してみよう」

赤ちゃんの泣き声対策だったら全く音が聞こえないのも問題な気はするし。



手紙の件はこれで終わり・・・な筈w

次は防音的な魔具ですかね〜。

工事現場のそばとか、煩い音楽を鳴らす隣人が居る時とかに重宝しそうw

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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず、成功したようで。 でも、これ相手が恩義感じたらそれ相応の返礼が………多分発生しているのか?(汗) これで三人の周囲が今後も騒がしくなくなったら、それ相応のお礼がされているってこと…
[一言] >赤ちゃんの泣き声 赤ちゃんにとっては大切なコミュニケーションの手段であるところが微妙
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