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窓から富士山を眺めながら俺は…  作者: 白い黒猫


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9/14

浅い眠りの中で

 ピッピピーピー!


 悩んでいたら病室のアチコチから電子音が響く。検温の時間だったようだ。

 検温の時間は六時、十時、十六時、二十時の四回。

 患者は各自、体温計を渡されており、自分で測れる人は自分で測り用紙に記録して報告する事になっている。

 俺も測ろうと思いサイドテーブルを見るが微妙に離れた場所に体温計があり届かないので諦めた。

 外は明るいので六時と二十時という事はないだろう。

 翌日の十時ならば身体をある程度動かしても良い筈だが、手術をした同日の十四時だとまだ絶対安静していないといけない時間帯。

 困ったことに時間の感覚が全くないというか、自分の感覚があてにならないし、今結論を出すだけの確証に至る根拠がない。

 検温の時間ということは看護師さんを呼ばなくても血圧等を図るために来てくれる筈なので待つことにした。

 その間も背中が痛くて、モゾモゾと動かすが少しマシになるようだが直ぐに辛くなりまたモゾモゾと身体を動かすしかない。


 カラカラとカートを動かす音がする。ようやく患者さんのチェックに看護師さんがきてくれたようだ。助かることにすぐに俺のところに来てくれた。手術したばかりなので一番この部屋で気がかりだったこともあるのだろう。

 看護師さんが九時頃に自己紹介された日勤の人のままであることから、日付は跨いでいないようだ。


 術後五時間は仰向けの状態から身体を動かしてはいけない仰臥位安静だという。五時間つまりは夜の九時頃まで。


 出来ることは、ベッドのヘッドと足部分を高さを若干動かしでベッドと身体の接触面を変えることで身体の負担を軽減するだけ。そして時々少しだけ腰を浮かして身体を動かし腰や尻のストレスを分散させる。

 絶対安静というのは実はかなり辛い状況だということをここで実感する事になる。

 まだ寝てやり過ごせれば良かったが、麻酔がすっかり覚めてしまったのか目は冴えているし、身体が痛くて寝ている場合ではない。

 看護師さんに買ってきて貰ったペットボトルのミネラルウォーターを二本と引き出しから出して貰ったスマホを、ベッドの上を跨ぐようにセットされたテーブルに、取ってもらったスマホと共に置いてもらうことで、飲み水と気が紛れるものは確保はできた。

 しかし寝たままという事が身体を苦しめていく。寝返りや軽い伸びによるストレッチがいかに人間にとって意味あることだったのかに今更のように気がついた。

 さらに病院のベッドのヘッドやフット部分が上げ下げできる事の意味に改めて気がつく。床擦れ予防の為にこまめに高さを変えて対処する為のもの。

 俺はモゾモゾ身体を動かしたり、高さを変えて耐える。

 一番困った事は、俺のベッドだけ何故かベッドの高さを変えるボタンを押すと「ヘッド部分を上昇します」「フット部分を上昇します」とアナウンスの声を出す。その為にものすごく煩くて周りに申し訳ない。他の人のベッドはジーと起動音は出すもののそんなことは無い。これは最新式のベッドなのか、旧式なのか分からないが、その宣誓機能はありがた迷惑。


 一日ぶりの食事も楽しいものでもなかった。起き上がれない為に看護師さんにアーンの状態で食べさせてもらうので申し訳ない気持ちになるし、こぼれてもいいように胸にタオルで保護されて食べていると赤ちゃんのようで情けない。少し角度をつけて起こしているとはいえ横になった状態で物を咀嚼して飲み込むというのは意外と辛い事を知った。


 九時過ぎ仰臥位安静は解除されたものの、ベッドでの安静は変わらずあまり大きく動かないようにというのは変わらず。下手に動いて傷口を広げて怖い事になるのも嫌…

 歯を磨くのもベッドの上で看護師さんが用意した器に濯いだ水を出すという感じ。

 この五時間で覚えた身体が安定し易く、少しの力で身体を動かしやすいベッド高さで固定し何とか朝まで頑張ることにした。

 ウツラウツラと寝るが直ぐに身体の強ばりで目を覚ましもモゾモゾと動かしまた浅く眠る。それを繰り返し解放の朝を待った。


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