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75話 幼馴染の異能

「…………」


「先生、大丈夫ですか?」


「あぁうん、ちょっと色々と情報がありすぎて整理してるの。」


まぁ先生が頭を抱えてこうなってもおかしくはなかったのだ。

俺が持ってる情報はどれもこれも濃い情報ばっかで、何より今現在、俺が持ってる神の加護が三つある事に対して、驚きは隠せないみたいだった。


「えーっと1から言っていくと、神崎さんが白崎くんの時の魔王でありながら元人間であって、委員長である常磐さんは妖術師で一緒に“暴食”を持ったぬらりひょんを討ち倒して、あなた達三人は神の加護を持っている……でいいのかしら?」


「はい、それで合ってます。」


「はぁ……まさか私やあなた以外にもいたなんて。これを5代目勇者である子が聞いたら、今の私みたいになりそうね。」


「多分……いや、間違いないかと思います。」


俺が先生と同じ立場だったら多分今みたいになってるはずだろうし、話していた自分が言うのもなんだけど、はっきりいって情報量が多すぎる。


「しかもあなた自身の持つ極限魔法の一つが、まさか時間を止めれるなんて……時空神様はよく許してくれたわね。」


「元々俺が悪用しないとわかってるような感じでしたし、言われても使いすぎないようにしろだけでしたしねぇ。」


「確かに去年からあなたを見てきていたけど、あなたの素行からしたら、問題ないと言ってもおかしくはないわね。」


櫻井先生は去年も俺の担任として一年間見てくれたし、俺自身も先生の事はかなり信頼はしている。

ただ勇者ですって言われた時は流石に疑うしか無かったけどな。


「それにしても、先生は俺が古代魔法を持ってる事には驚かないのですね。」


「そのあたりは私自身も古代魔法を一つ持ってはいるし、私自身も“贈与(ギフト)”という魔法を作った張本人でもあるから、何も気にしなかったわ。」


「えっ、古代魔法を持ってるのですか?」


「正確には貰ったと言うべきかしらね。聞いた感じあなたが持ったから他の勇者にも渡さないといけなくなったって言ってたわね。」


あぁ、そういえば手紙にそう書いてあったな。

なんか贔屓しないように俺と先生、あと5代目勇者にも渡すようにしたんだったな。


「ちなみに先生はどんな古代魔法を?」


「私は“幽幻(ノーデンス)”を持ったわ。白崎くんは?」


「俺は“虚空(アカーシャ)”です。ちなみに真莉亜の分の古代魔法は俺が持ってます。」


「“虚空”……白崎くんはかなり強力な力を持ったわね。」


「そういう先生も、“幽幻”を持ってるのでしたら同じですよ。」


「……それもそうね。」


古代魔法の一つである“幽幻(ノーデンス)”、別名は幻覚魔法とも言われていて、相手だけでなく自分をも幻覚にさせてしまうほどの力を持っていて、他にも最強の支援(サポーター)として、味方を助ける事もできたりするほどの魔法だ。


「それにしても、黒幕がまさか魔女王イザベラだなんて……だとしたら厳しい戦いになっていくでしょうね。」


「前に戦ったぬらりひょんですけど、“暴食”との適正率は推測で80%だったと思いますし、この異能の元凶である“色欲”も、それと同じくらいの適正率があってもおかしくはないですね。」


「そう……ならこれから先は気が抜けられないわね。」


俺も先生も、これから長い戦いになるのを見越して、お互いにできる限りの情報を流していくのを約束しあった。

その時ふと部屋にあった時計を見て見ると、時間もちょうどいい事になってきたから、俺は先生に教室に戻ると伝えてから、その場を後にしようとした。


「白崎くん、自習の課題は今日の放課後まででいいからね。それとこれを渡しておくわ。」


部屋から出て行こうとした俺を止めた先生が、一枚の紙切れを俺に渡してきた。


「これは?」


「そこに私の携帯の番号を書いているわ、それでお互いに連絡を取り合いましょう。」


「わかりました、それでは失礼します。」


先生の電話番号が書いてある紙切れをポケットにしまってから俺は教室に戻り、戻ってきてからドアを開けると、一度先生が戻って来たと思ったクラスの全員が一斉に俺を見てきて、違った事が分かってから再びもらった課題に目をやっていた。


(こいつらちゃんと課題やってるのか? やってなかったらヤバいだろうに。)


ま、これから俺も課題をやらないといけないし、さっさと終わらせますか。


――――ツンツン


「ん?」


先生からもらった課題を出してやっていこうかと思ってた時に、隣にいた真莉亜が心配そうな顔で俺の肩を突いてきて、周りに聞こえないように小声で俺に話しかけてきた。


(零君、大丈夫だったの?)

(とりあえず昨日の件じゃなかったのは確かだよ。むしろかなり有力な情報を手に入れたよ。)

(有力な情報? それっていったい何?)

(まぁそれは昼休みになってから話すよ。どうせお前にも渡しとかないといけない物があるからな。)

(そう、わかった。)


零の言葉に冷静さがあったのが分かったからか、真莉亜はその後は何も言わずに課題に目を向けて、そのまま昼休みまで待つ事にした。


それからは何事もなかったかのように時間が過ぎて行き、昼休みになって早々に零は真莉亜を連れて、まだ人気の居ない屋上に向かった。


「それで零君、自習の時に何があったの?」


「それを話す前に、まずはこれを渡しておくよ。」


そう言って“収納庫(アイテムボックス)”から古代魔法の入った巻物を取り出して、真莉亜に手渡した。


「これって、もしかして零君が持った古代魔法?」


「そ、ただ中身は俺のとは違うと思うけど、とりあえずまずは先にそれを開けて。」


「う、うん、わかった。」


彼の言われるがままに巻物の紐を解くと、零の時とまったく同じ光が出てきて、そのまま真莉亜の体の中に入り込んでいった。


「よし終了。とりあえずステータスを確認してみて。」


「わかった。」


そう言われてステータスを確認すると、零と同じように固有魔法の欄に一つ古代魔法が入っているのが分かって、無事に持てたことに安心した。


「古代魔法“混沌(カオス)”か……へぇ、これ持っとけば光魔法と闇魔法が同時に使えるようになるのか。だったら今の真莉亜にはもってこいの魔法かもな。」


「確かにこれを持ってれば、最近手に入れた“天邪鬼”が有効に使えるし、対魔人に対しての打開策ができて嬉しいわね。」


彼女にとってはこれから相手するのは一時期だが同じ魔族に近い存在だから、弱点である光魔法か聖魔法がどうしても欲しかったから、それを古代魔法を持ったおかげですぐに解決ができたから嬉しいの言葉だけだろう。


「まずは一つ終わりで、先生に呼ばれたことだけど、実は先生が4代目勇者だったんだよ。」


「へぇー4代目勇者……はいっ?!」


「驚いた?」


「いや驚かない方がおかしいでしょう! てか本当に先生が4代目だったの!?」


「うん、聖剣も見せてもらって本物だったし、しれっと“見極め師”を使って見たけど、俺より魔力が多かったから間違いないよ。」


「うっそ~ん……」


まさか身近に勇者がいるなんて思ってもいなかったからか、真莉亜は呆然として立っていた。


「でまあ今のところ、あのストーカーが持ってた異能を持たせた黒幕が“色欲”の仕業が浮かび上がってきたし、当分はまた情報探しになるだろうな。」


「“色欲”って、色仕掛けばっかしてくるビッチだよね。」


「例えが酷いけど間違ってはないな。俺もビッチとか言ってたし。」


最早二人の中では色欲=ビッチとして浸透してしまっていたから、誰もこの事に関してツッコミを入れる者がいなかった。

零が真莉亜に情報を教えていると、後から追いかけてきたかのようにトモと明日香と夏奈が弁当を持ってやってきた。


「お前らどうしたんだ、急にそそくさと出て行きやがって。」


「あぁ悪い悪い、ちょっと俺たちで話し合わないといけない事があったもんでな。」


「ふーん、まぁいいけど、早く食べましょう。もうお腹が空いて仕方なかったから。」


「お前また朝食抜いてきたのか?」


「違うわ、ただお腹が空かなかったから食べなかっただけなの。」


「いや普通に朝食食べてねぇじゃねぇかよ。」


そんな零のツッコミをスルーするかのように、明日香が弁当を開いてから食べようとしていたから、四人は何も言わないで弁当を開いてから食べる事にした。


(こいつらが異能かどうか分からないけど、とりあえず言っているか。)


「……? どうした零、こっちばっか見て?」


「トモ、それに明日香、お前らに聞くけど、まさかお前らって異能を持ってたりしないか?」


「「……!」」


突然零から異能を持ってるかと言われた二人は、顔にはあまり出ていないが、幼馴染の勘で焦っているのはすぐにわかってしまっていた。


(二人の反応からして、黒だな。)


「白崎君。」


夏奈が心配そうに見てきているし、あっさり答えがすぐにわかった俺は、焦ってる二人に対して手を出して待ったを掛けた。


「あぁ心配するな、誰にも言わないつもりだし、ぶっちゃけお前たちが異能を持ってるってなら、俺もお前らに隠してる秘密を話すからよ。」


「……なぁ明日香、どうする?」


「……諦めよう。はっきりいって零に隠し事は無駄だと思うわ。」


「そうだな。零、お前の言った通り、俺たちは異能を持ってる。」


トモの言った言葉を聞いて、何故か安心したかのように気分が楽になった。


え、なんで気分が楽になったかって?

幼馴染である俺に嘘ついてたらコブラツイストキメるつもりだったからだ。


だって俺たちは幼馴染(しんゆう)なんだから、相談とかがあったら簡単に乗ってあげるし、なんなら協力だってしてもいいと思ったりしている。

それなのに隠して二人で何とかしようとか考えてたら重罪だったからな。

まぁ骨を折るほどの事じゃないけどな。


「やっぱり持ってたか。」


「その反応からして、薄々勘づいていたのかしら?」


「まぁな。伊達に幼馴染の勘は侮れないって訳だ。」


「そうだよな。俺たちは十年以上の仲だし、隠し事はない方がお互いのためにもなるよな。」


零の勘の鋭さに呆れながら笑っていたトモは、諦めて全部話す素振りになった。

夏奈と真莉亜も黙って俺たちの話を聞くかのように食べるのをやめた。


「まず先に俺から聞くが、持ったのは何時からだ?」


「三年前、俺と明日香が同時に休んだ時だ。」


「あぁー、あの時か。」


これは俺もそうだけど、夏奈もこればかりはよく知っていた。

トモと明日香はこう見えて健康体でもあって、学校を休むことは滅多にないというほどのケースになってしまっていていた。


そんな二人だが中学の二年の時、その日は大雨でかなり気分がすぐれずにいた俺と夏奈だったが、二人が珍しく休んだ事に気になってた当時の担任が親に連絡したところ、どっちもすでに登校しているって連絡があって、嫌な予感がすると思った担任がすぐに警察に話をして捜索を頼んだら、川沿いの土手で二人が倒れていたと連絡があった日だった。


「でもあの時は倒れてたって聞いたけど、二人は何かしらの影響で倒れたりしたの?」


「いや、異能が発言したのは登校中の時で、学校に向かってる途中で何者かに襲われた時に目覚めたんだ。」


「何者かに襲われた……なるほどな。」


襲ったのは十中八九色欲の洗脳にかかった下っ端あたりだろうな。

多分俺の予想として言うなら、何かしら異能だけに感知が発動する何かによって特定されて、その後部下に任せてから連行させて色欲の支配下にさせるってやり方をしたかのだろうな。


「相川君と明日香ちゃんに聞きたいけど、二人ってどういった異能が使えるの?」


ずっと黙って聞いてた夏奈が、二人に何の異能が使えるのかを訪ねた。


「俺の異能は“超強化(フルパワー)”って言って、文字通りの怪力技でB級だ。」


「私は“天穹(アーチャー)”って言って、弓矢を自分の腕を使ってから円より攻撃ができる異能でA級よ。」


トモがパワー型で、明日香が遠距離型か。

まぁバランスとしては悪くないけど、どうしても気になっていたことがあった。


「なぁ、さっき言ったAとかBっていったいなんだ?」


「あぁそれだけど、異能は強さによって格付けみたいになっていて、S,A,B,Cの四段階で決められてるの。」


「じゃあお前らの異能は、その中でも真ん中に値する異能なんだな。」


「まぁな。異能自体はメールに書いてあったが、自身の潜在能力を活性化させてから発現させるようなものだから、強さは人によって違うんだよ。」


二人の簡単な説明を聞いてる限り、幼いころから持った潜在能力を具現化させて武器するって感じだろうな。


例えば小学校からピアノとかを弾いてたなら音楽系の異能とかを持ったり、サッカーをやってたなら蹴りなどによる身体強化系の異能を持ったりするのだろう。


そしてトモは幼いころから空手をやっていて、明日香は弓道をやっていたから、そういった異能に目覚めたのだろう。


「ちなみにお前ら以外に異能を持ってるのは知ってるか?」


「少なくとも三人だけいる。だけどそのうち一人は戦闘などには不向きな人だ。」


「その人の異能はサポート系の異能なの?」


「わからん。ただ俺たちを狙っている組織にはかなり敵視している人だ。」


「そうか。」


という事はその人とは協力者としてみても大丈夫そうだな。

はっきりいって前の桜姉の時みたいに、ひょっこり現れて一緒に戦いましょうみたいなのはあまりできないだろうし、そうなった場合はこいつらに頼んで干渉した方がいいな。


「まあとりあえず俺たちが言えるのはこれだけだ。次はそっちの秘密を教えてくれるか?」


トモが俺に聞いてきたところで、俺は夏奈と真莉亜に目をやって確認を取ろうとしたけど、二人もわかっていたのか、お互いに頷いて言ってもいいと目線で言ってきていたから、俺たちの秘密を話す事にした。

昨日ジムで張り切りすぎたせいで腹筋が筋肉痛になってしまった。

そのせいか咳やくしゃみで腹がずっと痛い。


来週は火曜日と金曜日の深夜0時に投稿します。

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