67話 特訓再開
「それにしても白鴉か……実際に存在していたらこんな感じだったのかな?」
「どうだろうな。まぁ鴉だから大きさは同じだと思うけどな。」
「お姉ちゃん、カラスって昔は白かったの?」
「え、あぁー……」
俺と夏奈が真莉亜の式神である鴉を見ていたら、香織ちゃんが鴉の事で聞いてきたので、言うべきかお互いに顔を見合いながら迷ったけど、真莉亜も来て気になっているみたいだし、仕方なしに説明することにした。
「白い鴉は今の黒い鴉と同じで、昔は普通に生きてたんだよ。」
「へぇーそうなんだ。じゃあなんで今は生きてないの?」
「……殺されてたんだよ。白い鴉だけね。」
「「えっ……」」
二人は予想外の答えが返ってきたからか、夏奈の言葉で固まってしまい、説明していた夏奈も夏奈で辛そうな顔をしていたから俺が代わりに説明することにした。
「江戸時代の時、白い鴉は嫌われた存在としてされてて、"白鴉"の言い方を変えると、"城、枯らす"って言われていたんだよ。だから昔の人は、白鴉を見かけたらすぐに撃ち殺されてたんだよ。」
「そんな……酷いよ。」
真実を知った二人は今にも泣きそうな顔になりながら白鴉を見て、鴉も俺たちが言ったことがわかったのか、悲しそうな表情をしていた。
「でもそれは昔の話だし、今はお城も全く関係ないんだ。だからこれからは普通に暮らさしてやろう。」
「…うん、そうだね。」
「カァー」
真莉亜はまだ悲しそうにしていたけど、肩に止まっている白鴉を見て、これから新しい仲間として迎え入れるためにも笑って頭を撫でてやった。
それを見てホッとした俺は、二人のスキルなどについてを思い出して、二人に聞いてみた。
「そういえば夏奈と香織ちゃんに聞きたかったけど、二人は何のスキルを取得したの?」
「私は白崎君の言ってた『身体強化・極』と『魔力強化』と『気配探知』、それと私のほうで『無限装填』を所得したよ。」
「私もお兄さんの言われた3つと、『魔法熟練者・皆伝』を取得しました。」
「OK、それだけでも充分だ。」
どうやら二人は俺が先に持ってた方がいいとすすめた3つと、自分たちで選んだスキルを所得をしたみたいだ。
「それにしても白崎君、本当に私たちは魔法とかは覚えなくていの?」
「あぁ。下手に魔法を覚えるよりかは得意分野である妖術だけで特化にした方がいいし、魔法と妖術は同じだったことは改めてわかったからな。」
俺はこの一週間で魔法と妖術の違いがないか調べていたら、俺のステータスにも出ていたようにMPとして表示され、魔力と妖力は同じという認識になっていたことが分かった。
だから二人にはスキルに妖術が無くても魔法として括られていると伝えてから、おすすめのスキルを教えてから自由にさせてあげたのだ。
「それに二人は須佐之男の加護があるから、風の妖術だけでもかなり強力だしな。」
「確かにそうだね。」
「それにしても驚きましたよ。まさか須佐之男様が嵐の神様だったなんて……私はてっきり海の神様と思ってましたから。」
「まぁ須佐之男はそっちのイメージが大きいからね。だけど神格には嵐の神もあるから、どっちでも間違ってないんだよ。」
つい最近日本神話についても調べてたから、ここでこの知識が発揮できたのは少しだけ嬉しいな。
まぁ主な理由はリラや冬華さんたちの神様がどんなものか分からないから調べただけで、全部の神様を把握してるわけじゃないからな。
「しかしこれから俺たちの式神になるんだったら、名前くらいは与えてやってもいいかな。」
「そうだね……零君はどんな名前にするの?」
「んー………よし、シラヌイってのはどうだ?」
俺が目の前にいる白狼に言ってみると、気に入って嬉しかったのか、尻尾を振りながら喜んでくれていた。
「決まりだな。それじゃあ今日からお前の名前はシラヌイだ!」
「ワンッ!」
シラヌイは俺の言葉に答えるかのように、凛々しい座り方で吠えた。
「零君決めるの速いな~…私はそうだな………ソラはどうかな?」
「カァー!」
真莉亜の鴉も嬉しかったのか、羽を広げて喜んでいるようなアピールをした。
「よし、私も決まり!」
「二人はどう?」
「私は決めました。お姉ちゃんはどうするの?」
「う~ん……私は名前の前に大きさをどうにかしたいな。」
「「「あ、あぁー…」」」
俺たちは夏奈の言葉で思わず納得してしまった。
そう、何故なら俺たちの式神で一番大きいのは夏奈の白虎で、もし家で飼うようにするなら後々面倒ごとに成りかねないから、先にそっちをどうにかしないといけないな。
「それなら大丈夫だ。大きさは主の指示で変えられると思うぞ。」
「え、桜姉それできるの?」
「おそらくな。試しに指示を出してみたらどうだ?」
「はい。えーと…少しだけ小さくなったりできない?」
「……」
ボンッ!
夏奈が怯えながら恐る恐る聞いてみると、式神である虎が突然変身をし始めて、そこにいたのは白い虎柄模様の猫だった。
「ニャー」
「「と、虎が猫に変身した!?」」
「ネコ科だからってそんなのありなの?!」
「……」
俺たちは突然の変わりように驚いていたけど、指示を出した当の本人の夏奈は何故か反応がまったくなかった。
「えっと…夏奈?」
「……かっ」
「「「か?」」」
「かわいい…!」
そういうと夏奈は猫に変身した白虎を抱きかかえて、スリスリと頬ずりをして可愛がり始めた。
「こんな風になったお姉ちゃん初めて見た。」
「そういえば夏奈って中学の時に、校舎裏にいた野良猫にこっそりエサとか与えて可愛がってたよな。そんでいなくなった時はすげぇ泣いてたな。」
「夏奈ちゃんって、もしかして猫が大好きなの?」
「まぁな。香織ちゃんが知らないってことは、知ってるのは俺とアイツらだけだな。」
「よしよし、これからよろしくね。」
「ニャー」
俺たちはそれを見ていて呆れていたら、桜姉が俺に声をかけてきた。
「ところで零。神術のほうは使い慣れたか?」
「ん?…あー…いや、まだ慣れてない。妖術も微妙だし、できれば桜姉の空いてる時間にでも、特訓してもらおうかと思ってたところだよ。」
「なら今からよろう。夏奈と香織は、他の誰かから特訓をしてもらうようにしてくれ。」
「はい。」
「分かりました。」
「なら二人の相手は私がやりましょう。久しぶりに体を動かしたいのでね。」
二人の特訓に付き合うのを名乗りをあげたのは以外にもリベルだった。
だけど俺はリベルが悪魔王だってことを知っていたから大丈夫だろうかと思ったけど、真莉亜が大丈夫だよって言ったから多分大丈夫なのだろう。
ちなみに真莉亜の相手は竜人族姉妹の二人で、少し離れた場所で実力勝負をするみたいだった。
あ、それと式神たちはもちろん、自分の主について行くかのように一緒に出ていった。
「それじゃあ零、妾たちもはじめに行くか。」
「うん、わかった。」
全員が出ていったところで俺と桜姉も外に出て、少し開けた場所にシラヌイをおらせ、さっきまで夏奈と香織ちゃんが特訓していた場所で、俺も特訓を再開することにした。
「まず確認だが、神術は全部で4つあって、零は一様それが全部使えるんだな?」
「そ。んで実戦で使ったのは『封洞 天岩戸』だけで、それ以外はまだ実戦では使ってないよ。」
「だったら今から妾が妖術で攻撃をするから、零はそれを神術でどうにかしてみてくれ。」
「了解。」
「よし、それじゃあ……『妖術 狐火三昧』!」
俺の準備が整ったところで、桜姉は俺に妖術を放ってきた。
(まずはこれからやってみるか。)
「『神術 八咫鏡』」
神術を発動させると、目の前に人のサイズはある鏡が現れて、桜姉の妖術を一気に吸収して、そのまま跳ね返した。
「『桜花白狐流 捌ノ型 八重桜』」
桜姉は自分が放った妖術をが迫ってきても焦らずに、剣技で真っ二つにした。
「……うん、今のはよかったぞ。‟八咫鏡"を初手で有効に使ったのはいい判断だ。」
「俺もどんなのか見たことは無かったけど、使い勝手は良さそうだね。」
どうやら‟八咫鏡"は反射させることができる神術みたいで、妖術や魔法にはかなり有利だけど、物理には効果はなさそうだな。
「よし、それじゃあ今度は剣技を交えながら、‟陽皇女"を使ってくれ。」
「わかった。」
俺はそう言って『収納庫』から木刀を2本取り出して、1本を桜姉に渡してから、俺は気を集中させた。
「……『神術 陽皇女』」
俺は言われた通りの神術を使うと、全身が太陽の火に覆われていき、体の奥底から力を溢れださせるような感覚を感じることができた。
前にこれを少しだけ調べてみたところ、身体向上に加えて妖術などに対する無敵状態といった、これもまたかなりのぶっ壊れたやつだった。
ホント俺ってどんどん人から離れていって……いや勇者である時点でもう人間は卒業してるか。
少なからずも人としての形状を留めているだけでもありがたいことだよな…うん。
「ふむ、‟陽皇女"も無事に発動でき事だし、妾も始めるか。」
桜姉も気を集中させて、俺と同じ‟陽皇女"を発動させ、お互いの準備ができたところで同時に構えて、お互いがお互いに見合いあって、その時を待った。
「「………。」」
……………………
………………
…………
……パキッ
「「ッ!」」
「『壱の太刀 吹雪狩り』!」
「『桜花白狐流 参ノ型 朝桜』!」
万年桜の枝が自然に折れた瞬間に同時に仕掛け、同タイミングだったからか、まず最初の攻撃はあいこになった。
「やるね。」
「そっちも。」
それからは妖術とお互いの剣技を使ってやり合いながら、‟陽皇女"が使えなくなるまでずっと休まずに木刀を振りまくった。
もちろん‟陽皇女"にも制限時間があって、使用してから20分の間だけで、その分の妖力や魔力もゴリゴリに削られていくから、実質俺の聖剣の真名解放と似たような感じだ。
「はぁ……はぁ……つ、疲れた…」
「よくやったな。これだけ神術が使えればもう充分だ。残りの『範囲浄化』については、自分でできる時にやっておいたらそれでいい。」
「ふぅ………ねぇ桜姉。」
「どうした?」
「今更思ったけど、何でぬらりひょんと戦う時に神術全く使ってなかったの?」
「それは鬼と髑髏でその後に連戦といったら、体が限界に近いのくらい分かるだろう。妾だって体力が無限にある訳じゃない。」
「だったら何でさっきから呼吸が乱れてないんだよ……」
俺はずっと剣技や神術、所々で妖術も挟みながらやっていて、桜姉も剣技と神術を使っていたから、お互いに疲れていてもおかしくないのに、桜姉は一向に疲れている素振りすらしていなかった。
まぁこっちは神術と妖術を交互に使ったりしていたから消費が激しいのは俺の方だったけど、それでも桜姉の体に汗の一滴もないのは納得いかない。
「……とりあえずまずは汗を流すか。それから後は、新しい技でも考えながら飯でも作るか。」
「あ、だったら零。今日は豚汁を作るから、他のおかずを作ってくれないか?」
「あーわかったよ。じゃあそれに合うおかずを考えておくわ。」
俺は今日の特訓を終了させて、シラヌイを連れて別荘にある風呂で汗を流すことにした。
ちなみに今リラたちが別荘と隣接して露天風呂を作っており、近いうちには完成するとの事を聞いて、嬉しい気持ちになっている俺がいます。
(露天風呂は日本人にとっては癒しの一つだからな。そこは見逃してやろう。俺も入りたいからな。)
『極限感知』で風呂に誰もいないことを確認して、俺は服を脱いで体を洗ってから風呂に入った。
「ふぅー……いい湯だ。……それにしても静かだな。」
今別荘には俺たちの従者はほとんどおらず、ほとんどみんなは各地で黙々と作業をしているみたいらしく、何の作業をしているのかは教えてくれなかった。
大方秘密基地みたいなものでも作ったりしているのだろう。
リベルに渡した建築関連の本をずっと読んでいたみたいだしな。
「大罪の悪魔……脱獄者……俺以外の二人の勇者……やる事はかなり多いな。………平和にのんびり暮らしたいな……今よりももっと平和に…」
ステータスを出してティファニスさんとエレイムさんの加護の詳細を見ながら、俺はお風呂の気持ちよさでボーっとしながら、自分の想い描いている理想を頭に浮かべながら、ゆっくりと体の疲れを無くしていった。
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「調子の方はどうかしら?」
「順調ですね。このままいけば一週間もないくらいで計画通りになりますよ。」
「そう、もうすぐなのね。」
誰もいない暗い場所で、二人の男女が何かを見ながら楽しそうに話していた。
「……待ち遠しいわ、世界を私のものにできる時が!私が神になる時が!」
一人の女性は空に点々と輝いている月を見ながら、自分の体を舐め回すように触りながら何かを待ちわびていた。
「さぁ……待っていなさい。私の力とこの魅了で、この世界を私のものにして見せるわ!」
彼らに再び脅威がやってくるのは、もう少し先だ……
来週の土曜日が、今入ってる会社の最終日になった。
そこからはずっと仕事探しになるだろう。
来週は火曜日と金曜日の深夜0時に投稿します。




