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49話 奇襲作戦 真莉亜サイド4

「はぁー…何とか勝てた〜」


鬼が消滅して周囲に敵が居ない事を確認したところで、私は緊張の糸が切れて、その場に座った。

といっても体感では2時間以上戦っていたんじゃないかって思うくらい体が重かった。

あぁ、体重じゃなくて疲労でね。


(そういえばここまで力を出したのって、零君との最終決戦以降ないんじゃないかな…)


ふと考えてみれば二回目の転生をしてから一回もまともに体動かしてなかったから、こっちのほうにブランクが発生しているかもしれないな。

ということは零君も同じような感じじゃないかな…私と同じで剣も振り回してなかったから…


「まぁ今はそんな事を考えている暇じゃなかった、早く桜さんを担いで二人のもとに行かないと。」


『お主、樹黙僧魔(じゅもくそうま)を倒したのか…!?』


「え?」


私の背後から声が聞こえたと思ったら、一羽の鴉が私の後ろにいた。


「鴉?…あれ、さっきの声は久遠さんの声、でもどこから?」


『今お主の見ている鴉から吾の声を繋げているのじゃ。』


「…え?」


再びさっきと同じ声が聞こえてきて、今度は鴉のほうを見てみると、鴉が普通に人の言葉をしゃべっていて、そこから久遠さんの声だ聞こえてきた。


「か、鴉がしゃべった!?」


『む、お主たちの世界では鴉はしゃべらないのか?』


「いやいや、普通はしゃべりませんからね!?しゃべる鳥はいますけど、鴉はしゃべらないですよ!?」


『ふむ、そうなのか。いや、今はその事は気にする事ではなかったな。奴との戦いが終わったのなら、吾の居る場所まで来てほしい。一度合流をしよう。』


「あ、はい。だったら私が桜さんを担いでそっちにーーっ!?」


『…?どうした?』


「きゅ…急に頭の中に…何かが!?」


私が頭を押さえていると、頭の中に部分ごとに映像が流れ始めた。


そこに映っていたのは、広い草原で、一人の法師がその草原を見て微笑んでいた映像で、その人は怪我をした子供や病に(かか)ってしまった人、老若男女問わず多くの人を救ってきて、多くの人に愛されていた人だった。


だけど突然現れた謎の老人によって、多くの人たちが殺されていって、その人も殺されると思っていたら、謎の老人に何かされた瞬間、法師の体が燃え上がり始めた。


【お前は使える、妖にさせて儂の手駒にさせてやろう。】


「グッ…アァァ…!!」

(体が熱い…なぜ、なぜ私が…こんな目に…!!)


「だ、誰か…助けてくれ…」


その言葉を聞いた瞬間、私の意識は戻って、さっきまで膝をつくほど痛かった頭痛はなくなっていた。


『おい、大丈夫なのか!?』


「い、いた…痛い痛い痛い!」


意識が戻って状況を確認しようとしたら、久遠さんの鴉がずっと私の頭の上で突いてきて、思わず頭を押さえた。

ていうか私ずっとこの鴉に頭を突かれてたの、めっちゃ痛いんですけど!

旋毛(つむじ)の所だったけど…私、ハゲてないよね…


『急に返事をしなくなってしまったから何かあったんじゃないかって思ったぞ。』


「だけど頭をずっと突くのはどうなんですか、さっきからずっと痛いんですけど?」


『返事をしなかったお主が悪い。それよりお主と桜は動けるのか、動けぬのなら我の式神を数羽そっちに送るが?』


「い、いえ、大丈夫です。私が桜さんを担ぎますので、今どこにおられるか教えてください。」


『うむ、招致した。ならばついて来い。』


鴉が飛んで行こうとしたので、私も急いで桜さんを担ぎ、急いで鴉の後を追った


(それにしても、さっき頭の中に映った者って…もしかして、あの鬼の記憶なのかな?)


私は付いて行きながらも、さっきの事を思い出しながら考えていた。

多分私の中に流れ込んできた映像は、おそらくさっきの鬼、樹黙僧魔の記憶だと予想している。


それがもし当たっていたら、あの鬼は元々は人間だったって事になる。

そうなったら、他の妖の頭も何かしら理由があるんじゃないかって思ってしまった。


(私もそうだけど、零君の従者たちは何かしらの事情があったから、それと同じ可能性があるかもしれないな。)


そんな事を考えながら歩いていたら、大樹に行く際に通った林の入り口付近で久遠さんが二人を安全な場所で休ませてあげてるところが見えたので、私は久遠さんに手を振ったら、向こうも気づいたみたいで、こっちに早歩きで近づいてきた。


「おぉ、お主も桜も無事じゃったか。」


「久遠さんも、二人を安全な場所まで非難させてくれてありがとうございます。」


「お安いことじゃ。二人も気絶していただけで、そこまで深い傷は負っていなかった。だから安心せい。」


「わかりました。」


私は二人が無事である事に一安心して、桜さんを近くの木に座らせた。


「一応念のために二人に治療をしておこう、『安らぎの歌(オール・リカヴァ)』」


「う…ううん。」


私が二人に治療を行っていたら、委員長のほうから声が聞こえてきた。


「ここは…私は…どうしてここに…」


「常盤さん、気が付いたのね。」


「神崎さん…はっ、お、鬼は!?」


「大丈夫ですよ、ついさっき勝ちました。鬼は完全に消滅したので、奇襲作戦は成功です。」


「そ、そうですか…」


私が簡単に説明してあげると、常盤さんはなぜか喜ばずに、逆に落ち込んだ表情をしてしまった。


「どうしたの常盤さん、勝ったんだから喜ばないと。」


「喜びたいのはわかるのだけど、結局私と香織は足を引っ張ってしまったなって思ってしまって。」


「え、どうして?」


「だって、私と香織は鬼の一撃であっさりとやられてしまったのよ。…しかも私たちができたのって、ほんのわずかだけで、それ以外は何もできなかった。」


「……」


「私…だめだな…何もできないんじゃ、お父さんも守ることもできない。」


「…常盤さん、ごめんね。」


「え?」


「ふん!」


「ぎゃん…!」


私は常盤さんに先に謝ってから、頭にチョップをきれいに入れ込んだ。


「さっきからどうしてそんなにウジウジしないといけないの。全然そんな風には見えなかったよ、私自身の感想は!そういったことはね、気にしなくていいの!二人がいなくなっても実質勝つことができたのだから、それで終わりなの!わかった!」


「え、あ、その…」


「返事!!」


「は、はい!」


常盤さんは涙目で頭を押さえながら私の言いたいことを聞いてくれて、多少説教紛いなものになってしまったけど、私が言いたい事は全部言える事はできた。

常盤さんが起きてからしばらくして香織ちゃんも桜さんも意識が戻り、この後の事を話し合う事にした。


「さて、まずは無事に鬼の討伐をすることができた。これはここにいる全員が居たからこそ成すことができたのだ、ありがとう。」


「そうじゃな、これは吾ら巫女の三人が今までできなかった事をようやくやり遂げることができたのだ。同じ巫女として、本当に感謝する。」


「頭を下げないでください。まだ完全には終わっていないのですから、お礼を言うのはこれが全部終わってからにしましょう。」


「あぁ、そうだな。」


「さて、これから吾らは庵に戻るのじゃが、吾は一度向こうの確認をしてみようかの。」


「向こうって事は、鵺のところに行ってる三人の事ですか?」


「あぁ、そうじゃ。実はというとあっちにも数羽の式神鴉を居らせておったのじゃ。向こうは気づいてないみたいじゃがな。」


久遠さんは少し悪い顔になっていたが、そこはあえて触れないでおこうと思った。

まぁ今は久遠さんが零君たちのほうを確認しているって事なので、その間に私は少し前に起きた鬼の記憶が見えた事を三人に説明した。


「うむ…鬼の記憶か…しかも記憶には一人の法師が映っていて、謎の老人によって鬼にさせられた可能性がある…か。」


「桜さん、もしかしてですけど、謎の老人の正体って…」


「あぁ、ぬらりひょんの可能性が高いな。」


「「「…ッ!」」」


私が話した記憶で桜さんに一つ気になってた謎の老人の事を聞いてみると、あの時映っていたのがぬらりひょんだったことが分かった。


「あの、つまりさっき戦ってた鬼って…もしかしてその法師さんって事だったんですよね?」


「そうゆうことになるね。」


「そ、そんな…」


常盤さんも香織ちゃんも本当の事が分かってしまい、絶望していた。

まぁ、こんな風になってもおかしくない。

実際に人が妖にされてるって真相を知ったら、こんな風にもなるか。


「そういえばお姉さんは、記憶を見たって言ってたわよね?」


「うん、そうだけど?」


「ということは、ぬらりひょんの顔は見る事ができたんですか?」


「ううん、ちょうど顔の部分だけ靄がかかったかのようになってたから、顔は見ることはできなかったわ。」


「そうなんだ…」


香織ちゃんは私にぬらりひょんの顔の事を聞いてきたけど、いい答えが出てこなくて明らかにショックを受けてた。

だけど私の中には、ぬらりひょんの正体になるヒントは一つだけあった。


「でも、これだけは分かった事は、ぬらりひょんの声と顔以外は知る事ができたのはかなり大きいかもしれないね。」


「でもそれだけじゃ、まだわからないんじゃないですか?」


「…これはまだ私の推測だから確定じゃないけど、一人だけ似てる人がいるんだよ。」


「っ!? 本当なのか、一体誰だ!」


私の言った事で、桜さんも二人も活気に溢れたかのように私に顔を近づけてきた。

いや冗談なしで顔が近い…

そこまで顔を乗り出さないでもいいのに…


「これはあくまで推測です。合ってるかどうかも分からないのですよ?」


「いや、可能性でも何かの答えに繋がるのだったら言ってくれ。」


「…わかりました。その正体ですけど…」


「…どうゆうことだ?」


私が一人思い当たる人の名前を言おうとしていたところで、久遠さんから聞こえてきた声で、みんなそっちに意識が向いてしまった。

私がようやく言おうとしていたのに、どうしてこのタイミングで全部そっちに行っちゃうのかな~?

怒っていいよね、私?


「どうしたのだ、久遠?」


「…今までずっと冬華たちの後を付いていったのだが、おかしいのだよ。」


「? 何がおかしいのですか?」


私が久遠さんに聞いてみると、汗をかきながらも久遠さんは私たちに衝撃の事を言ってきた。


「寄りたい場所があるって言ってたから、念のため偵察にまわしていた鴉から見ていたんじゃが……冬華と他の二人の反応が消えたのじゃ。」

これにて真莉亜サイドは終了です。

次回からは再び零のほうに戻ります。

次の投稿は金曜日の昼12時です。

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