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48話 奇襲作戦 真莉亜サイド3

(何ダ、急ニ小娘ノ様子ガ…ソレニ、アノ数ノ刃ハドコカラ…!?)


樹黙僧魔(じゅぼくそうま)は焦っていた、目の前にいる真莉亜が急に変化した事に。

そして今までにないくらいの憎悪が現れた事に。


(イヤ、何ヲ焦ッテイルノダ俺ハ…コンナ事デ焦ルヨウナ俺ジャネェ。)


樹黙僧魔は焦っていた自分の精神を落ち着かせると、周囲に舞っている妖気を体に取り込ませ始めた。


『ドウヤラ、今度ハ全力ミタイダナ。ナラ俺モ全力デ行クカ…『閑穣怒愚雨(かんじょうどぐう)』!』


鬼は燃えていた体をさらに燃やして、その場から飛び上がると、体を高速回転させて、炎の雨を周辺全体に降らせた。

だけど私はまたその場から動こうとはせずに、さっき出した21本の黒剣(こっけん)で、桜さんと私に降って来ている炎の雨を簡単に防いだ。


『バ、馬鹿ナ…』


攻撃を終えて降りていた鬼は、自分の攻撃が簡単に防がれていた事を信じられなさそうに見てきた。


「どうしたの、これ終わり?」


私が挑発すると、鬼は今度は自分が挑発され始めた事に怒りを表していた。


(真莉亜、まだ大丈夫なのか?)

(心配しないでください、さっき『共鳴』で伝えた通り、まだこの場にいてください。)


そう、私はさっき桜さんと立たせようとして手を握った時に、スキルの『共鳴』を使って作戦を簡単に伝えたと同時に、お互いの心を意思疎通できるようにした。


『貴様…ヨクモ俺ニ挑発ヲ…』


「あれあれ、悔しかったかしら?さっきまでお前がやってた事を、そのままやっただけなのに。」


私は面白半分でまた挑発をすると、鬼はさらに怒って、体の炎が全身を包むかのように燃え広がっていった。


『殺シテヤル!『炎夜燻殺(えんやわんや)烈拳(れっけん)』!』


鬼が一気に近づいて来て、両手を握り拳にして連続で殴りに掛かって来た。


「遅い、『歪マセル呪詛(ダークイゾルデ)』!」


一個一個が隕石のように見えた拳だけど、私は攻撃が飛んでくる前に闇で空間を歪ませてから攻撃を横にずらし続けた。


『マダマダ!』


鬼も必死に私たちに当てに来ていたけど、一回も私と桜さんには当たらなかった。


(桜さん、そろそろ仕掛けましょうか?)

(あぁ、行こうか!)


私は桜さんにそう伝えると、お互いに剣と刀を振りかぶって、タイミングを合わせて思いっきり振って、鬼のバランスを崩して攻撃を止ませた。


『クソガ!』


鬼がバランスを崩している隙に、私と桜さんは左右に分かれて、私は零君から教えてもらった『身体強化』の常時発動をして、お互いが攻撃をしやすいように意思を繋いで連携していく事にした。


「『常闇の剣撃(ダークトルネード)』!」

「『桜花白狐流 伍ノ型 (こぼ)(ざくら)』!」


『グッ…ゴハッ…』


私は『21ノ憎悪ノ刃(ブラックジャック)』を発動させた時に出た21本の黒剣を全部操って、竜巻のように回転させながら一気に鬼の体を切り裂いていって、桜さんは、動きながらも高速の居合斬りで的確に攻撃をしていた。


『コノ野郎、イイ加減ニシヤガレ!!『牛頭炎gー


「させないわよ、『蔓延ル渦(ブラックホール)』」


『ッ!? ア、足ガ…グッ…!』


攻撃をさせないように、足元に強大な黒い渦を作って、再びバランスを崩させた。

鬼は攻撃をやめて渦から抜け出そうとしますが、全く歯が立たないで抜け出せなかった。


「それは底なし沼みたいなものだから、簡単には抜け出せないわよ。それにもう、お前には攻撃の隙すら与えないわ。」


『ク、クソ…コノ俺ガ、コンナ事デ…』


「はぁー…退屈になって来たし、そろそろ終わらせてあげるわ。」


(桜さん、トドメを刺しましょうか。)

(あぁ、この戦いに決着を着けよう。)


「死になさい、『神堕(かみおろ)し』!」

「『桜花白狐流 捌ノ型 八重桜(やえざくら)』!」


私はレーヴァティンに闇を流し込んで、それに加えて自分が使える魔法をすべて付与させるように纏わせて、今自分が出せる全力を鬼にぶつけた。

そして桜さんも、渾身の一撃で放った居合は、鬼の胴体を難なく斬り付け、そこから大量の血が流れだした。


『ゴホッ…アァァ…!!』


鬼もついに耐えかねたのか、口から血を吐き出して苦しみ始め、私が作った渦を消すと、その場に倒れ込んだ。


「はぁ…はぁ…やりましたかね?」


「いや、わからない。…まだ油断はするな。」


私は『身体強化』を一度解除して、鬼に警戒しながらも、桜さんの方に近づいた。


念のためいつでも魔法が放てるように手に魔力を溜め込んで構えなおし、樹黙僧魔を見ていたら、さっきまでピクリともしていなかった奴が、血を吐きながらもゆっくりと体を起き上がらせ始めた。


「あれだけやってもまだ死なないの…」


「ここまでくると、最早敬意を持つしかないな。」


私と桜さんは驚きつつも、今度こそトドメを刺そうと構えた。


『マダダ…マダココデクタバル訳ニハ…』


【そうか、なら少し協力してやろう。】


『…ハ…?』


鬼が急にピタリと止まって、どうしたんだと思っていたら、突然鬼の周辺に黒い靄みたいなものが出始めて、鬼を包み隠すように集まり始めた。


『マ、待テ…俺ハマダ戦エル。ダカラ…マダ…ヤ、ヤメロ…ヤメテクレ!!』


鬼はなぜか抵抗していたけど、その抵抗もむなしく靄に包まれていって、その瞬間、一気に殺意が体を襲い始めて、私は目の前の光景がやばいと感じた。


「…桜さん、兜の緒を締めたほうがいいですよ。今度は、かなりやばいです。」


「あぁ…そうみたいだな。」


『……グオオオオオオオオオオオオオ!!!!』


鬼を包み込んでいた靄が晴れて、鬼の姿があらわになると、さっきまでとは比べ物にならないくらいに殺意が膨れ上がっており、すべてを焼き殺さんとした目をしていた。


『怒リ、殺意、憎悪、蹂躙、死……スベテ、スベテ俺ガ燃ヤシテヤル!!!』


「っ!! 来るぞ!」


『死ニヤガレ、『壇駄羅地騒(だんだらじぞう)』!!』


桜さん言った瞬間、鬼はすごい勢いで回転して、まるで炎の竜巻みたいな状態になって、こっちに向かって来た。


(ただの回転なら、横に避けてー


『逃ガサン!!』


「嘘…! きゃ!」


「真莉亜!」


『次ハオ前ダ!!』


「しまっ…グハッ…!」


鬼は私が避ける方向を読んで急に方向転換し始めて、確実に私を狙って攻撃してきた。

まともに食らってしまった私は、突進によるダメージに加え、体が燃えていたせいか、数か所火傷を負ってしまった。


桜さんの方を向いてみると、桜さんも鬼の突進で飛ばされたみたいで、かなりの距離が離れてしまい、桜さんも私と同様に火傷を負って、その場で気を失っていた。


『マダダ…マダ足リナイゾ!!』


鬼は混乱しているのか、回転を止めたと思ったら、さっきから私たちの居ない方向に攻撃をし始めたり、近くの地面を殴ったりしていた。


(もしかして、さっき出た靄が原因で自我を失ったの?だとしたら、私や桜さんだけじゃなく、安全なところにいる三人も危険な状態になるかもしれないわね。)


私は回復魔法で自分の傷を癒すと、もう自我を持たない鬼を見て、只々哀れな生き物としか見る事ができなかった。


さっきまでだったらそんな事は考えなかっただろうけど、今の鬼はそんな風にしか見えない、そう考えてしまった。

だとしたらもう答えはひとつだけ、殺すのではなく、楽にしてあげる事だ。


「ごめんなさい、もうお前には何も湧いてこないから、楽にしてあげるわね。」


『殺ス、殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺すス……殺ス!!!』


「そう、じゃあ…私も本気で殺しに行くわ。『終焉ノ茨(ソーン・ダークネス)』」


私は鬼の足元から無数の茨を出して鬼にを拘束して、私が持つ最強の闇魔法を使って鬼を倒す事にした。


「極限闇魔法……『終ワリノ歌姫(ジ・エンド)』…!」 


その魔法は、私の過去の憎悪が死に変わって敵に襲い掛かる魔法で、それに当てられた者は、問答無用で死を与える…簡単に言えば、死刑宣告みたいなものだ。


『ウッ…グワアアアアアア…!!』


鬼は私の魔法に当てられた途端苦しみ始め、抵抗する勢いは勢いはだんだん弱まっていき、攻撃が終わった時にはもう鬼はすでに倒れていた。

私は鬼の方向を向かずに急いで桜さんに近づいて、何も言わないで『安らぎの歌(オール・リカヴァ)』を使って回復させた。


「……真莉亜…」


「あまり動かないでください、傷は治しましたけど、体の負担は変わらないので、そのままでいてください。」


「…あぁ…わかった。…ところで…奴は…?」


「大丈夫です、私の魔法でトドメを刺しました。」


「……そうか。」


桜さんは安心したのか、ホッとした表情になって目を閉じて休み始めた。

私は桜さんの治療が終わったのを確認してからその場を立って、鬼の居る場所まで歩き始めた。


さっき使った魔法は即死の魔法だったけど、『気配感知』でさっきから微かに反応していたから、まだ鬼は死んでいない事は分かっていて、それを踏まえたうえで桜さんには嘘を言って休ませてあげる事にした。


「まだ死んでないなんて、本当にタフだよね。」


『……俺ハ、死ヌノカ?』


「さあ、それは自分で決めたら?」


『……久しぶりだな、この感覚は。』


(…?口調が流暢になった?)


いきなり鬼の言葉が分かりやすくなった事に対し疑問に思っていたが、鬼はそれに構わず話を続けてきた。


『俺は、この世界で…俺より強い奴なんていないと思ってた……俺が…この世界で最強だと思ってた。』


「……」


『しかし…そうじゃなかった。…別の世界では…俺以上の奴がいたんだな‥‥』


「はっきり言っとくけど、私が戦った事がある奴らと比べたら、少なからずともお前は強いよ。現に私がここまで追いつめられるとは思ってもいなかったから。」


『…そうか。』


鬼は満足そうな顔をすると、私のほうに拳を出してきた。


「…何のマネ?」


『警戒するな…何もしねぇ…ただ、俺の力を渡すだけだ…』


「…どうして?私は敵なのに、なんで簡単に自分の力を渡すの?」


『昔から決めてたんだよ…俺を倒したヤツに全てを委ねるってな…』


「じゃあ私は、お前を倒した者として、その力を持つ理由があるって訳ね。」


『そうだ…』


私は罠じゃないかって考えてしまったけど、この鬼が私を見ている目は、嘘をついていないと訴えている様な眼差しをしていた。


私は少し考えた後に、フッー…と軽く息を吐いた。

そして私は鬼が出してる拳の上に手を置いた。


「…わかったわ、お前のその瞳を信じて、その力を貰うわ。」


『あぁ…感謝する。』


鬼が私に笑いながら礼を言うと、その後私の体の中に何かが流れてくるような感覚がわかり、私が持ってる炎とは別に、闘志と憎悪の混じりあったような炎が、体の中で燃え上がった。


≪ステータスが更新されました≫


鬼が渡し終えたと同時に、私の頭の中であまり聞き慣れた事のない声が聞こえた。


『フッ…俺の…いや、()()()()は、確かにアナタに渡す事が出来きました。』


私が頭の中から聞こえてきた声を気にしていたら、鬼はゆっくりと、体の至る所が塵になっていっており、それが鬼の終わりを迎えているという事のがわかった。


「さようなら、樹黙僧魔。せめて最後は安らかな死を迎えなさい。」


『あぁ…そうするとしよう。さらばだ…異界から来た者よ…』


鬼は最後に笑いながら私に別れの言葉を言って、完全に塵となって消えた。

ヒロイン、魔王に少し戻ったような口調にしています。

来週は火曜日と金曜日の昼12時に投稿予定です!

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