42話 奇襲作戦 戦闘準備2
今俺たちは自分たちですぐに戦えるように準備していて、俺と真莉亜はこの世界でスキルと全部の魔法がちゃんと使えるかの確認と、お互いの武器やティファニスさんからもらった新しい力と武器の調整をしていた。
ちなみに常磐と香織ちゃんも、自分たちの力が使えるかどうか確認をしたいと言って今は外に行ってる状態だ。
そうして各自準備をしていると、ふと聖剣に目がいってしまって、真莉亜の魔剣、俺が折ってしまったけどどうするんだろうなって思ってしまい、真莉亜に聞いてみることにした。
「なぁ真莉亜。一つ気になったんだけど、武器の方は大丈夫なのか?」
「え?どうして?」
「いやだってさ、俺との戦いで魔剣折れちゃったじゃん。そしたらほかの武器で戦わないといけなくなるから気になってさ。」
「あぁ、その事なら大丈夫だよ。もう新しい魔剣は作ったから。」
「…は?」
今なんて言った?魔剣を作った?いつ?
しかも魔剣て簡単に作れるものなの?
いやでもよくよく考えてみたら、真莉亜のスキルの中に『武器錬成』があったから、それで作っていてもおかしくないけど、普通の武器ならまだしも魔剣だからもおかしいと思ってしまう。
魔剣というものは、異世界には4本あって、そのうちの1本は当時魔王だった真莉亜が持っていて、もう1本は師匠が持っていることになっており、他の2本は誰が持っているかは分かっていないが、他の2カ国の国が別々に所有しているということは聞いていて、その2カ国は王都の監視下のもと所有することを許可してもらっているから大丈夫だろうと師匠がかつて言ってたことを覚えている。
そのため今真莉亜が魔剣を作ったことになったら実質5本目になってしまうので、色々と聞いてみることにした。
「一応確認するけど、『武器錬成』で魔剣を作ってんだよね?」
「うん、そうだよ。」
「魔剣って作れるの?」
「魔剣にしたい剣に魔力を凝縮させた塊を何度か染み込ませるようなことをしたらできたよ。」
「…ちなみに、その凝縮させたやつを何回やったか、正確な回数はわかる?」
「えーと…20回の辺りまでは覚えているんだけど、それから数えるのをやめてやってたから…30回近くはやったと思うよ。」
「……」
「…?」
聞いて言っているうちに、だんだん俺の中の常識が壊れていくような音がしている…
え、ちょっと待って…つまり師匠が持ってる魔剣もそんな風にして作られたって事になるのか?
もしそんなふうに作れるって事が向こうに知れ渡っていたら、世界中で魔剣の量産が盛んになってしまって、人間同士で戦争も起こりかねないな。
そしてさっきから首を傾げてこっち見ている俺の彼女かわいいな!
「確認するけど、魔剣はそれ以上作らないよな?」
「うん、前の魔剣は拾い物であまり形が良くなかったから、今度のはちゃんと自分に合った形の魔剣にさせるつもりだよ。」
「アレ拾い物だったの!?」
まさかの新事実、魔王の剣は拾い物だった件について。
それがもし王都にバレたら大変な事とになりそうだな。
「元々は魔剣の保持者がちゃんと持ってたみたいだけど、当時の魔族に殺された際にその魔族が魔王に魔剣を渡して、それを代々受け継いでいってたみたい。」
「それじゃあ、あの魔剣が折れたって事は、真莉亜が最後の代になったって事になるな。」
「あはは…まぁ、そうなっちゃうね。」
真莉亜にとってはなりたくもない魔王になってしまって、争うをやってきていたから、そんなレッテルが一生ついて来るとしたら、嫌になるようなものだよな。
「ま、お前はもう魔王じゃないんだし、俺はそんなこと気にしないよ。それより、新しい魔剣が完成しているなら、それを見せてくれてもいいか?」
「もちろんいいよ。ふっふっふ…見て驚け、これが私の作った新しい魔剣、その名も魔剣レーヴァティンよ!」
そうやって見せてきたのは、俺の聖剣と同じ両手剣で、何よりも剣身は黒鉄が光に当たるたびに輝いていて、刃は深紅のように赤くなっていた。
真莉亜の新しい魔剣を見ていると、ふと何かに気付いた。
「あれ?これってもしかして…」
「あ、気付いた?零君の聖剣をモデルにして作ってみたの。」
「やっぱり…なんか俺の聖剣と同じ感じがしたんだよ。」
そう、なんと真莉亜の魔族は俺の聖剣と形が全く似ていた。
魔剣になったからか、それとも鉄が違ったのかは分からないけど、剣身以外の握る部分と鍔も何もかもまんまだった。
「長さはおよそ150cm強、片手でも振れる折れない頑丈なつくりの両刃の剣…完璧に俺の聖剣と同じだ。」
「ごめんね、なんか勝手にパクったような剣にしちゃって。」
「いや、別にいいよ。それにしてもよくここまで完璧に作る事ができたね?」
「元々聖剣の形は何度か見ていたから形にすることは簡単だったけど、『武器錬成』でやったら何度も鈍らなものしかできなくて、夜な夜な『夢の世界』に何度か行ってリラちゃんやリベルに頼んで一緒に作っていたんだよ。」
「そうだったのか…」
(そういえばあっちに行った時も、真莉亜に対しては普通に接していたな。)
そんな事を思っていたら、今度は真莉亜から俺にいくつか質問してきた。
「そういえば私の方は普通に魔法やスキルは使えたけど、零君の方は魔法やスキルは普通に使えた?」
「あぁ、こっちでも全部使える事はできたし、それにティファニスさんからもらった俺たちのアレも使えたしな。」
「あぁ…アレね。」
そう、実は俺と真莉亜が付き合うことになったあの日に、ティファニスさんが俺だけじゃなくて真莉亜にもいくつか新しいものを渡していたのだ。
その中で俺たちは言ってるアレは、今度活用していくかもしれないからと何度も練習して、つい最近ようやく慣れて、普通に使えるようになったのだ。
もしかしたら大型の妖になったら使うかもしれないし、実線はまだだったからちょうどいいかもしれないな。
え?どこで練習していたかって?まぁ…うん、『夢の世界』でみんなにこっそりと…
「すまない遅れてしまった。皆に渡したいものがあるから、他の皆を呼んできてくれるか?」
桜さんが庵の奥の部屋から出てきて、俺が他の三人とずっと祈りをして魔力を練っていたリラを呼んで全員が来たところで、桜さんが一度咳ばらいをして、真剣な顔になった。
「みんな、準備ができているな?」
『はいっ!』
「よし、いい返事だ。早速奇襲作戦を実行する前に、皆にはこれを渡しておこうと思ってな。」
そうやって俺たちに渡してきたのは、青く淡い光を放っている勾玉を一人一つずつ渡してきた。
「桜さん、これは?」
「それは結界石、今この庵の周辺に使っている結界を勾玉の形にして纏わせているものだ。それを持っていたら、外の瘴気に侵されることはない。ただし効果は一日だから、それ以上使ったらただの石になってしまい、瘴気を体に浴びてしまう事になるから気をつけるように。」
『はい。』
そうして俺たちは桜さんの説明を聞いて勾玉の形をした結界石を首にかけて、妖の頭がいる場所を知るために、桜さんが持って来た地図で確認をすることにした。
「まず妾が知ってる妖の頭どもの居場所だが、鵺はここから北東にある山の山頂付近にいて、鬼はここから西南西にある大木におる事は知ってる。」
「俺の家で話していた髑髏はどこにいるのですか?」
「いや、髑髏は神出鬼没みたいなものでな、どこに現れるかは分からないのだ。」
「それじゃあ、いくら探しても見つからないんじゃ…」
常盤の言葉に対し、桜さんは手で指示を出して止めた。
「確かにいくら探しても見つからない…だがその髑髏は多くの死霊が塊になったようなもので、そいつの周辺は良く冷えるんだ。だから肌で感じて探すしか方法がないんだ。」
「それで探したとしても、かなり難航しそうですね。」
『……』
その場が静寂になっていると、香織ちゃんが両手で顔を叩いて一旦冷静になってみんなを見てきた。
「ここでどうこう言ってても何も始まりません。とにかくまずはその鵺と鬼を倒してからそれを探す方法をみんなで考えましょう。」
香織ちゃんの言葉に乗っかかるように俺も笑って香織ちゃんの言葉に頷いた。
「フッ…そうだな。まずは今分かってるその二体を何とかしてから、その後に考えよう。」
そして俺に続くかのようにみんなも笑って頷き、まずは今分かっている鵺と鬼の討伐に行くことにした。
そしてみんなが行こうとしたところで、俺は一旦みんなに待ったをかけて、俺が考えたことをみんなに言おうと思った。
「この奇襲作戦だけど、二手に分かれて討伐をして行くやり方で行ってみないか?」
俺の言葉にみんな驚いた顔になって、特に真莉亜と常盤の二人が何で?って顔になってた。
「どうゆうことだ?零。」
桜さんが俺の案に疑問を持っていたみたいだから、みんなに俺が考えていることを話すことにした。
「今向こうでは妖たちの攻撃に迎撃しているような感じだと思います。ただ向こうもいつまで応戦できるか分かりませんし、俺と真莉亜の従者であるみんなも翠嵐さんたちもいつまで保つ事ができるか分かりません。だとしたらあまりこちらも時間を掛けられるようなことはできませんし、こちらも早くても二日までに終わらせた方がいいかと思います。」
「…私もそうしたらいいかと思います。」
「お姉ちゃん…」
俺の意見に賛成してきたのはさっき何で?って顔をしていた常盤だった。
「私たちもお父さんたちが心配ですし、だとして私たちが死に急ぐ事もできませんし、そうなったら元も子もないです。」
「ならなぜ、零の意見に賛成するんだ?」
「でもこのまままだ見つかっていない髑髏を探す前にお父さんたちが死んでしまったら、ここにいた私たちの意味がなくなってしまいます。それにさっきから白崎君の意見は私と違って真っすぐな言葉で話してきているので、どことなく自信に満ちたような感じに見えるからです。」
「……」
常盤の言った言葉に桜さんは少し悩んだが、冬華さんが桜さんに近づいて肩を叩いて、桜さんも冬華さんの方を向いた。
「私も賛成します。」
「冬華?」
「これ以上異界の方に進撃をしているのでしたら、敵も手薄の可能性があります。だとしたら今が好機ではないでしょうか?」
「しかし…いやでも…確かにその可能性もあるのか。」
冬華さんの言葉にまた悩み始めたが、今度は何か考えるような仕草をして、考えが付いたのか一度頷いて俺たちの方を向いた。
「零、其方の意見のように二手で分けれて奇襲を行おう。」
「言った俺が言うのもなんですが、大丈夫ですか?」
「あぁ、多少不安な点があるが、冬華の言う通り敵が今は手薄の可能性もあると考えたんだ。そう考えたら、こちらもそう言ったやり方でやっても問題ないと思ったんだ。」
「それじゃあ、二手見別れるメンバーなんですけど…」
そう言って俺が言ったメンバーは、俺とリラと冬華さんで鵺の討伐に行って、真莉亜と桜さんと常盤姉妹で鬼の討伐に行くという形にさせた。
何でこういったメンバー構成にしたかというと、俺たちの場合は俺が前衛、リラと冬華さんが後衛で援護をするという形で、真莉亜たちの場合は、真莉亜か桜さんが二人の護衛かつ前衛で攻撃といった形にした方がいいんじゃないかと思ってこのメンバー構成にした。
「それと真莉亜、これを。」
そう言って真莉亜に渡したのは青色のお守りだ。
「これは?」
「それはシグレが前に作ってくれたお守りで、それに魔力を入れればお互いに持ってるもの同士で念話ができるようになる奴なんだよ。二手に分かれる以上、それで連絡を取り合えるようにしよう。」
「わかった。」
「よし、それじゃあ真莉亜、頼んだぞ。」
「零君も、無事でね。」
「白崎君、無事に帰って来てね。」
「お兄さん、どうか無事で。」
「あぁ、絶対に帰って来るよ。行こう、リラ、冬華さん。」
「「はい。」」
俺は真莉亜たちに無事に帰ると約束して、鵺のいる北東の山に向かった。
「では、妾たちも向かう事にしよう。」
「「「はいっ!」」」
そして真莉亜たちも、桜さんの案内のもと、鬼がいる大木に向かった。
お互いの無事を祈りながら、俺たちは二手に分かれてお互いの妖たちの討伐をするために庵を後にして進むのだった。
次回からは零と真莉亜の視点でストーリーを進めていきます。
次の投稿は、余裕が出来ましたので、明日の水曜日の昼12時に投稿します!お楽しみに




