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124話 会談③

「――――殺した…? ご主人様が…?」


俺の口から殺したと出てから、倶利伽羅は言葉を失うかのように呆然としていた。

それを見て俺はこうなったなって思い、もう一つ付け加えるように話した。


「正確には、卑神に操られた俺が殺したんだよ。」


「卑神に…!」


卑神と出た瞬間、今度は微かに怒りの感情が視えてきて、手は膝にあったが、両手とも握りこぶしになってた。


「……その卑神は、どうやってご主人様を操ってたのですか?」


「頭の中に寄生虫みたいなのを埋め込まれて、それで俺の体を操ってたんだ。恐らく最初に戦ったあの時だろうと思ってるよ。」


実際は分からないけど、可能性があるならその時だろうな。

星霊の殺害は二回目の決戦の前だったし、接触したのはその二回だけだから、ほぼほぼ確定だろうな。


「つまりご主人様は、卑神によって操られて、かつての盟友とも呼べた星霊の一族を滅ぼしたのですか?」


「ああ、そうだ。卑神は自分が戦うのをかなり嫌ってたからな、自分の手で戦ったのは、二回目の決戦だけ。一回目もずっと玉座に座り込んでただけで、ほとんど手駒であった邪神だけで俺たちと相手してたよ。」


「何ですかそれ、……そんなゲス野郎が宇宙の王? 下劣な行動しかやってない輩が神!? ましてや王を乗っ取り玉座に座るなど、そんな奴が神など名乗らないでほしいです!」


倶利伽羅は自分の魔力を体の外に漏らしながら激昂した。

その姿は、かつての自分である憤怒の化身獣に相応しい形をしていて、憤怒の名に相応しい怒りを出してた。


その怒りは俺に強く伝わってきて、かつての自分を見ているようだった。

本当なら主である俺が止めないといけない。

だけど倶利伽羅が俺のために怒っていたから嬉しくて止めるに止めれなかった。


「―――はっ! も、申し訳ありません! 自分の怒り感情が高ぶってしまい、つい叫んでしまいました!」


倶利伽羅は我に返ると、俺たちに迷惑をかけたと思ってしまい、ソファーから立ってすごい勢いで頭を何度も下げてきた。

それを見た俺は倶利伽羅の頭に手を置いて、そのまま優しく撫でた。


「ありがとな。そうやって怒ってくれるだけで、俺も少しは救われてるように感じれるよ。」


「そうね、あんなゲス以下のドブ野郎に怒りを覚えるのは、とてもいい事だよ。」


俺に合わせるように、照もここぞとばかりに卑神の事を貶すようにして言って、それを見ていたホルスティは笑いだし、倶利伽羅の近くに来て俺と同じように頭を撫でた。


「ゲス野郎はいい表現だわ。ゼロ、どうやら今回の転生は、随分といい子に恵まれたわね。」


「あぁ、そうだな。」


今回は恵まれた。

この人生は、無駄にはさせない。

全てに決着をつけるために。


俺は今の人生を改めて実感して、ホルスティにいつも転生してから言ってる質問をした。


「ホルスティ、これで最後だ。次はもうないから言わせてほしい。」


「言いなさい。私も真実を告げるから。」


「じゃあ言うよ…――――星霊に、生き残りはいたか?」


俺が転生をして最初にホルスティに聴いてた質問。

今回は話題が多かったから後ろになったけど、この質問に対しては、本気の目で言うのが決まり。

俺が作ったルールでもある。


ホルスティは一度目を閉じると、ゆっくりと俺の質問に答えた。


「―――生き残りは……いたわ。それも一人だけ。」


「……ッ!」


俺は消えかけていた希望に、一つの灯火があることが分かると、俯きかけていた顔を上げてホルスティの顔を見た。


「……いたのか?」


「いたわ。」


「何処にいるんだ?」


「地球よ。偶然とは思えないくらい衝撃だったわ。」


「そうか……、そうか…。」


最後の答えを知った俺は、それ以上は何も言わずにまた俯き、湧き出てくる歓喜を黙って抑え続けた。


―――やっとだ。

やっと……償える。

永年ずっと持ってた罪を、ようやく償えそうだ。


「俺からの話はこれで終わらせるよ。ステータスは正直言って自業自得みたいなもんだし。」


「どういうこと?」


「いやさ、ステータスって【神】になった奴は図れない仕組みになってるからさ、スキルを試す前に邪神に戻っちまったからそのまま消滅してしまって、結局どんなスキルだったのか分からないまま俺の中からサヨナラしちまったんだよ。」


こればかりは俺の凡ミスだわ。

二千年ぶりだから完全に忘れてたし、よし使おうとか考えていて結局後回しにしちまったからな。

昔はこんなことしなかったんだけど、やっぱ精神的に歳なのかもな。


「消えたのはスキルだけ?」


「いや、魔法以外は全部だ。微かに日本で手に入れた天照神の加護が残ってるくらいで、あとは俺の回帰の覚醒の養分になってもうたわ。」


「スキルが使えない訳じゃないよね?」


「まぁな。今でも使い勝手があるスキルは俺たちの特権で戻すつもりだよ。」


今のところはさっき戻したばっかりの“創造作成”に、武器の方でのサポートが必要だから“武器錬成”は戻しておくか。

他はまぁ…今はいいか。

急に必要になるようなスキルも限られてるしな。


「失礼します。お待たせしました。倶利伽羅様のお召し物が出来上がりましたので、どうぞこちらを。」


ドアをノックして入ってきたのは、倶利伽羅の服を作りに行ってたシェチルで、出来たばかりの服を両手で抱えて倶利伽羅に渡した。


てか早くね?!

まだそんなに時間は経ってないぞ!

しかも畳んである状態でもわかる、クオリティが凄すぎる!

これをわずかな時間でやってのけたのかよ!


「まぁせっかく作ってもらったし、倶利伽羅も着替えな。俺は廊下で待ってやるから。」


そう言ってソファーから立って、廊下の方に出て待つことにした。

窓から王都の景色を見てて、ちょうど下の訓練場では生徒たちが魔法の実技をやっているところで、魔法の練習をしていた。


「うん、みんな一生懸命に魔法の練習をしてるな。でも…やっぱオリジンは誰も使ってないか。」


今見てる中で全員が使ってるのは基礎魔法。

誰も俺やメリッサのように、自己的にオリジン魔法を使っている者はいなかった。


「これから帳を解放するから、本来の魔力量を得る事になるだろうけど、基礎魔法はこれからの時代にあってはいないな。」


基礎魔法は今の異世界人に合わせた魔法だから、魔族など強力な敵に対して有効打にはならない。

だとしたら必要となるのは、結局オリジンになってしまう。

だが今の状態でオリジンを教えても、納得もしないし、急に自分のオリジナルで魔法を作らせても失敗にいなるから意味がない。


「それに加えて、今の王都はかなり戦力が失われるだろうな。」


王都の防衛などをしていた俺の従者やシルヴィアがいない時点で、戦力が低下してるのは明確だ。

多分今でもシルヴィアの捜索はしてるだろうし、王都はパニック状態かもな。


「用事を済ませたら、大半のメンツを王都に戻して戦力の補強をさせとくか。多分暇になって体が鈍ってる奴もいるだろうし、真莉亜の方の従者にも頼めばおおよそのカバーはできるな。」


のんびりしながら考えてると、後ろのドアが開いて、照が廊下にやってきた。


「お待たせ、もう入って大丈夫よ。」


「おっ、ようやくか。それじゃあお言葉に甘えて拝見させてもらいますか。」


照に言われて部屋に戻ると、着替え終えた倶利伽羅が立って待ってくれていた。


「ど、どうでしょうか…?」


倶利伽羅は俺の感想待ちだったみたいで、体をモジモジさせて少し恥ずかしそうに聞いてきた。


作ってもらった服は、赤と黒をメインとした巫女服に似た服装で、倶利伽羅が動きやすいように下の袴は普通の巫女服よりも短くしてあった。


はっきりいって、似合ってる。

嘘なしで結構似合ってる。

髪が黒いのもあるけど、顔立ちが日本人っぽいからそれっぽくなってしまうのが良い。


「充分似合ってるじゃんか。照もそう思うだろ?」


「もちろん。これで似合わないって言う奴がいるなら張り倒してやるわ。」


「てなわけだから、俺たちもその服に好評価をしてるから、恥ずかしがらずに堂々としな。」


そう言って頭を撫でてあげると、似合ってると言われて嬉しかったのか、満面の笑みになって新しい服をフリフリさせながら喜んだ。


「助かったよ。これで安心して外に出られる。」


「私は神徒としての役目をしただけです。服はグリーンワームの繭を使いましたので、強度は充分にありますので、戦闘での破けるなどはごく稀だと思います。」


「グリーンワームか。あれの繭は火や刃物にも強かったから、鎧の代わりにはなってくれるだろうな。まぁ竜だからいらないだろうけど。」


喜んでる倶利伽羅を他所に、俺はシェチルに礼を言ってソファーに座った。


「さてと、俺の方は一応これで問題ないな。次は照の方だな。」


「あら、フォルトナも用があるの?」


「そうみたいだぜ。内容は俺も知らんから、聞いてくんなよ。」


俺は照の方を向き、本人の口から言ってくるのを待って、ホルスティも俺と同じように黙って照を見た。


「………。」


「「…………。」」


「あっ、もう終わったの?」


「とりあえず終わったよ。今はそっちの用事待ちだ。」


自分の番だとわかってなかったみたいで、慌ててソファーに座って身だしなみを整えて始めた。

倶利伽羅も邪魔をしないように静かに俺の横に座った。


てか照お前準備してなかったのかよ。

しとけよ、身だしなみくらいは。

仮にもお前の前にいるのは母親だろうが。


「こ…コホン。お母様、まずは自身の身勝手で転生し、女神の責務を外れるような行為をしてしまい申し訳ありませんでした。」


照はフォルトナとしての責務から逃げたことを謝罪し、頭を膝に着けるくらいまで下げた。

確かに女神の責務から逃げるのは重罪。

神としては恥の極みと言える行為だ。

本来ならここで死を覚悟してもいいだろうが、ホルスティの場合は、違うだろうな。


「大丈夫よ。あなたが元からメンタル面が脆いのは知ってたし、最高神としてかなり不遇な立場だったからね。無理も言わないわ。」


ほらやっぱり、怒りは微塵もなかった。

元々ホルスティは怒りを知ってるのか分からないほど慈悲深い神だ。

多分今回の照がやったのは、本人からしたらイタズラと変わりないことだろう。


「ありがとうございます。つきましては、私は自身の弱さを知り、その弱さに打ち勝つために、しばらく人間として暮らし、自信を見つめ直そうと思っております。」


おっと、これは意外だった。

てっきり(ほとぼり)が冷めたら神界に戻ると思ってたけど、どうやら俺の予想とは違った答えを出したな。

まぁ華怜のこともあるし、俺からしたらそっちの方が助かるけどな。


「―――理由は、他にもあるんでしょ?」


「………はい。」


ん?なんで今の一瞬の間で俺を見たんだ?

俺が何か関わってるのか?

でも特に何もないから検討がつかない。

うーん…実に分からない。


「いいわ。人になってこそ、新しい自分を見つけられるし、自分に足りなかったものを探せるいい機会だし、存分に羽を伸ばしてきなさい。」


「ありがとうございます。ではこれより私は、「優越神フォルトナ」の名を伏せ、「白崎照」として地球で生き、しばらく人間として活動をさせてもらいます。」


どうやら決まったみたいだな。

しばらく人間として暮らすってことは、パラディエスじゃなくて地球で過ごす意味になるよな。

またしばらく夏奈に頼むか?

いや、あまり迷惑も掛けられんし、いっそ家と夢の世界(シープ・ワールド)を繋げるドアを創るか。

どうせ母さんや華怜も知ってるし、問題はないだろう。


「それにしてもいいのか? 最高神の席を一つ空席にさせて。」


「別に問題ないわ。この子がいなくなってからずっと空いてたんだし、仮に誰かが座ったら他の子達の逆鱗に触れることになるだろうしね。」


「……確かにアイツらなら有り得そうだな。」


優越神(フォルトナ)LOVE勢の女神集団なら、優越神の席は空席のままにするだろうし、平和的解決ができるなら口出しは無用だな。


「照、用事はそれだけか?」


「うん。用はこれだけだから、この後は帰るだけだよ。」


「そっか。なら先に帰っていいぜ。俺はあと一つ用事があるし、帳は俺が見届けるから。」


「そう。なら先に帰ってるね。」


照は自分の足元に帰宅用の転移術式を展開させて帰り、俺と倶利伽羅、そしてホルスティとシェチルの四人だけが静かな部屋に残った。

仕事のせいで投稿する頻度が弱くなってきてる……


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