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123話 会談②

「帳の件はここまでとして、次だけど、他の兄弟はどうなってるか分かるか?」


他の兄弟っていうのは、もちろん邪神時代の俺の兄弟のことだ。


俺が兄弟として見てるのは、俺を含めた初めの七人。

文字では男だけだと思うが、女もいる。

いや……むしろ女の方が若干多いな。


「君の兄弟についてだけど、君が転生してから少しして後を追うように転生していったわ。何処にいるか分かんないけどね。」


「転生は俺が最後か?」


「多分。ここから君たちが神界に置いていった邪神の神格の反応がない限り、君が最後かもね。」


俺が最後か。

だったら神格を辿っていけば場所もわかるな。

早速やってみるか。


神理眼(ギネス)を神格に連携―――――接続。」


「ご主人様?」


「あぁ、自分の神格で兄弟を探知する気ね。倶利伽羅ちゃん、邪魔しないであげてね。」


「は、はぁ…。」


ホルスティと照は俺の行動に察して、黙って見届けることにして、倶利伽羅は分からないまま二人に言われて静かにした。

そしてしばらく探していると、俺は視るのをやめて頭を抱えて項垂れた。


「――――――――はぁ…」


「どうだったの?」


ため息を吐いたのを疑問に思ったホルスティだったが、俺ですら予想してなかった事を話すと、絶句することになった。


「――――全員転生してた。そこまではいいんだ。だが場所が全員地球にいるんだよ。」


「「ええ?」」


「追加で言うと日本に固まってやがるわ…!!」


「「えぇぇ…?」」


ホルスティもそうだが、横にいる照ですら引いてた。

そして俺も引いてる。


バッッカじゃねぇのか?

何で日本に固まってんだよ!

少しはバラけろよ!

何人かはこっちにおれよ!


「俺の兄弟って……もしかして全員バカか?」


「なんと言いますか……、ご愁傷さま。」


キツいな…人に同情されるのは。

まぁもうこの話はなしにしよう。

考えれば考えるほど頭が痛くなるしな。


「この件については俺で処理するとして、次だけど、奴の封印はまだ継続中か?」


「奴って……あぁ…「卑神(ひしん)」か。」


卑神って単語で、俺もそうだが、二人も顔を顰めた。

俺にとっては前世の(にっく)き相手であり、今の俺で完全に殺すと決めたかつての宿業。


「あ、あの……ご主人様。」


「ん…ああ悪ぃ。魔力を漏らしてたか?」


「い、いえそうではないのです。ただ……ご主人様たちの話が全く分からなくて、どうしたらいいのか尋ねたのです。」


そこで俺はふと我に返った。

そういえば倶利伽羅は知らないんだったな。

いや、知らなくてもおかしくないのか。

多分だけど倶利伽羅が生まれたのは400年前のイザベラによって、憤怒の化身獣として生まれたはずだ。

だからそれ以前は知らないはずだ。


二人もそうだったって感じになっている時点で、どうやら気付かなかったのは俺だけじゃなかったんだな。


「――――そうだな。お前はこれから俺のパートナーとなるんだ。お前には先に教えといた方がいいな。」


話すのはもう少し先にするつもりだったけど、この場にいる時点で部屋の外におらせる訳にもいかないし、真莉亜たちより先に俺の正体を教えとくか。


「今からずっと昔―――――宇宙の始まり(ビッグバン)が起きた時の話だ。」


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―――――138億年前

宇宙の始まりとされる「ビッグバン」が起きた時に、ある神が一緒に生まれた。


その神の名は―――――邪祖神(じゃそしん)グァーラ。


あらゆる神々の中で、一番最初に存在した神。

そして全ての宇宙を支配していた、最古の王。

宇宙といった広く暗い世界で、ただ孤高の存在として、玉座に座り続けていた。


それから数億年が経ったある時に、邪祖神グァーラは七つの支配者(こども)を産んだ。


―――――虚空邪神ゼロ

―――――終焉邪神リズ

―――――幽幻邪神ファルサリア

―――――混沌邪神ゼフィル

―――――海皇邪神シルヴァ

―――――太陽邪神ソーマ

―――――天地邪神シンシア


それぞれに名前と神格、そして自身と同じ肉体の権能を一つずつ与えた。


長男のゼロには「眼」を。

長女のリズには「手」を。

次女のファルサリアには「脳」を。

三女のゼフィルには「鼻」を。

四女のシルヴァには「口」を。

次男のソーマには「耳」を。

五女のシンシアには「足」を。


邪祖神は子供たちに宇宙の支配者を任せ、指定された場所の宇宙の管理をさせるように指示を出し、その子供たちも、母であり王である邪祖神の命令に従い、宇宙の支配者として、自分たちの任された宇宙を管理した。


邪祖神は支配など考えていなかった。

宇宙をすべて我が物にさせようとはしなかった。

ただ単に、宇宙の秩序を守るために統一していた。


宇宙が崩壊しないように。

秩序のバランスが壊れないように。

幾星霜の星が失われないように。

存在する神が同士討ちをしあわないように。

ただ守り続けた。


永い時間…――――ずっと。


何もかもが順調だった。

変わらぬ日々に安心していた。

だがある日、そのすべてが崩壊した。


突然現れたその神は、あろうことか王である邪祖神の座ってる玉座を奪い、自らを王となろうとしていた神だった。


その神は―――――【卑神(ひしん)】ニアラ。


ニアラは王である邪祖神グァーラと接触し、肉体に入り込んで王権を略奪。

そして支配者たちの権限もすべて卑神によって奪われ、宇宙の全権は全て奴の手に渡った。


しかもそれだけに収まらず、母である王の肉体を使って子を増やし続け、神格を持たせた自身の配下である659の邪神を王の肉体で作り、完全な支配を創り上げていった。


無論、その行動を知った支配者たちは激怒。

王と宇宙の全権を取り戻すために、卑神と配下の邪神に挑んだ。

同じ邪神であり、兄弟でもあったが、支配者たちは構いなしに卑神の配下だった邪神を殺していった。

たとえ同じ腹から生まれたとしても、王に対する忠誠が微塵もない以上、兄弟とは感じ取れなかったからだ。


数を減らしつつも、偽りの王である卑神のもとにたどり着いて、全員で戦った。

しかし、母の肉体に取り憑いた卑神に無闇に攻撃をすることができず、結果は敗北。

支配者たちは、何もかも取り戻せないまま宇宙を徘徊することとなってしまった。


だが支配者たちは諦めていなかった。

かつて自分たちが管理していた宇宙に一時的に散らばり、身を隠しながら策を練り続けた。

長い年月の末、ゼロは自分の管理領域にある星で、一つの存在を見つけて彼らに出会った。


その存在は―――――【星霊(せいれい)


彼らは宇宙にある星をみて、すべてを知る種族でもあり、善の神であった。


ゼロは彼らに協力を求めた。

宇宙の支配者としてのプライドなどを捨てて、頭を下げて頼んだ。

星霊たちの答えは―――――承諾だった。


星霊たちは邪祖神を崇拝していたからこそ、彼の協力要請を快く引き受けてくれた。


それから再び長い年月が経ち、ゼロは当時のパラディエス大陸と繋がってたアトランティスがある星に辿り着き、そこで最高の打開策を発見した。


それは―――――オリハルコンを使った【神殺し】の神器だった。


神の概念の破壊。

自らが諸刃の剣になると理解していても、それを使い卑神を殺す計画が始まった。


だがそこでゼロは、一つ大きな見落としをしていた。

この光景が、宇宙の全権で丸裸にされていることに。


そこからは、血を流しあう争いがその星で始まった。


外から襲来してくる卑神の配下である邪神たちは、外敵となる【神殺し】の神器を作ってたルシェ族と加担していた創造神と女神を片っ端から殺し始め、ゼロと遅れてやってきた支配者たちは、女神たちと共闘をしながら、何とか神器が完成するまで時間を稼ぎ続けた。


そしてついに、神殺しの神器であった【神話崩し(グングニル)】が完成して、再び卑神に戦いを挑んだ。


最初こそは数の暴力による攻撃が多かったが、自身の神格を長い時間の間で感じ、“神格の超越”を果たした支配者たちにとっては、数の暴力などは何の支障にもならなかった。

戦いは何年も続き、ようやく決着がついた。


目的であった卑神を殺すことができなかったが、神話崩し(グングニル)による封印は成功でき、ゼロの完全な隔離空間と化した無垢の空間に閉じ込めた。

しかし本来の全権と母を救い出すことは果たされず、ルシェ族と女神、そして星霊にも多く犠牲にしてしまったことで反感をくらい、新しい時代となって旧支配者となった邪神たちは、今の宇宙を新たな神たちに任せ、転生を果たして永い眠りについた。


☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲☲


「あれから30万年、何度も転生を行いながらバレずに身を潜め、決戦まで力を貯め続けて今に至るんだ。」


大まかな部分は省いたけど、大半を話し終えた俺は紅茶を一口飲み、一息ついて窓の外を見た。


しかしこの紅茶味が微妙だな。

リリスのアップルティーに慣れちまってるせいか、飲んでる紅茶が美味しく感じれない。

やっぱ自然神の作る茶葉と人が作る茶葉はレベルが違うな。


「そ…そんな壮絶な出来事が、昔あったのですね……。」


倶利伽羅は初めて知ることばかりで頭の中がこんがらがってるのか、話が終わってもずっと同じ姿勢で固まったように座ってしまってた。


「つまりご主人様とそのご兄弟の方たちは、その決戦のために今でも転生を続けているのですか?」


「そうだ。でもそれももう終わりだ。何時までも逃げ続けていたら、死んだエリスもそうだが、星霊たちにも顔向け出来ないからな。」


昔のことを思い出してると、倶利伽羅は俺に気になることを言ってきた。


「ご主人様、ではこの後はその星霊の方たちに会いに行かれるのですか?」


「…ッ!」 


あぁ……やっぱ言ってきたか。

薄々勘づいてはいたけど、はっきり言ってくると痛いな。

倶利伽羅も善意で言ってると思うし、どうしたものかな…。


「…………。」


「ご主人様?」


俺が返事をしない事におかしいと思ったのか、倶利伽羅が不安そうにしながら俺や二人を交互に見始めた。


「……ゼロ。」


「あぁ…分かってるよ…――――倶利伽羅、俺だって彼らに会いたい……が、もう二度と会う事が出来ないんだ。」


「え、どうしてですか?」


ホルスティから指摘されて我に返った俺は、遅れながらも倶利伽羅に返事をした。

倶利伽羅は俺の出した返答に疑問を持ってたけど、次に出す言葉で疑問は驚愕へと変わる事になった。


「星霊の一族のすべてを……前世の俺が―――――殺してしまったからだ。」

夜遅くなってしまった……すまぬm(_ _)m

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