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114話 神友との再会

待たせたな!(´□ω・`)

色欲との交戦を終えて少し経ったある日、俺は一人で再び神界に来て、ある場所に向かっていた。

今回は神界召喚といった面倒な術式は使っておらず、自身の神格である「虚空」で神界にやってきていた。

何でまた神界に来ているのかっていうのは、憤怒の中にあった前世の記憶にある、かつての二柱(ふたり)の神友に会いに来ていたからだ。


「みんなには、もう少し後になって話すかな。」


俺の記憶を知ってるのは、フォルトナであった照とティファニス、それにクロノアの3人だ。

それ以外のみんなは知らない。

いや、知らないというよりかは、謎になってるのか。

あの時ジョルメに言ったあれで疑問に思ってるはずだから、話すのは時間の問題だな。


本当はすぐに俺が話すべきなのだが、どうしても躊躇ってしまう。

隠したくない訳じゃない。

ただ言ってしまったら、今の関係が壊れそうで怖かったからだ。

だからまだ言わない。

でも隠すつもりは無いから、必ず話す。

いずれ教えよう。


「ここは、昔と全く変わってないな。」


そして俺がいる場所は、辺り一面が木で覆われており、日本で言う白神山地と同じくらいの大自然の森にいた。

この森は管理者である女神以外の女神や神徒があまり踏み入れられないからこそ、自然がキレイなままで存在している。

そのためここには、神界にいる動物や精霊たちはほとんどここに住んでいる。


「相変わらずこの森は、精霊が数え切れないくらい多いな。」


精霊たちは俺の事を木に隠れながら見て様子を窺っていて、俺も精霊たちに手を振って危害は与えないよってアピールをしながら進んでいる。

精霊たちも俺が無害だと分かったのか、近づいて来ては俺の体を触ったり、周りをぐるぐる飛んだりしている。


もちろん、今の俺はここに来るのは初めてだ。

ただ前世の記憶の半分を思い出したからこそ、ここが懐かしいと感じとれてしまっていた。


「それにしても、やっぱりここは静かで気分が安らげれるから好きだな。」


森だからこそ景色もいいし、風が気持ちよくて今にも眠りそうなくらい心地よかった。

夢の世界(シープ・ワールド)も自然があって良かったけど、ここは別格。

疲れが一気に吹き飛んでいきそうなくらい、心が楽になっていってた。


最近は忙しかったからか、俺の体はかなり疲れ切っていた。

慣れない激務で体が壊れるんじゃないかって思うような所が何度もあったからか、今の俺の体は休みなさいとずっと警鐘が鳴っていた。

だけどここに来てからか、疲れた体は少しずつ癒えてきていて、最初の時とは大違いだった。


やっぱ自然は大事だ。

疲れた時にこうやって自然の景色だけでも見るだけで違うもん。

日本、自然を大事にしよう。

そして時々自然の風景を味わおう。


「そろそろ着くとは思うけど……っと、見つけた。」


森の中を進んで行って、ようやく開けた場所に着いたのと同時に、俺が会いたかった女神が茶会の準備をしていた。


後ろ姿でもすぐに分かった。

俺の過去の記憶に強く存在している女神。

外様であった俺を蔑ろにしなかった神友。

それが俺の目の前にいるのが嬉しかった。


「お茶会をするなら、一人追加してくれないか? 俺も参加するからさ。」


俺はゆっくり歩いて近付き、彼女の茶会に参加するかのように声を掛けた。

すると彼女も俺の声が聞こえたのか、俺の方を向いて驚いた顔をして見てきた。


「……ゼロ?」


「あぁ…久しぶりだな、リリス。」


彼女の名前は―――自然神リリス。

この森の管理者であって、数少ない前世の俺の神友だ。


「ゼロ!」


リリスは俺がゼロだと分かった瞬間、嬉々とした表情で走ってきて、俺に抱き着いた。

今の俺は真莉亜と夏奈がいるけど、ここで引き離すのはダメなのは自覚してるし、何より過去の俺からしたら久しぶりの再会だ。

離すことが出来なかった。

離したくなかった。


二人に心の中で謝りながらも、俺はリリスを抱きしめた。

浮気がダメなのは分かってはいる。

でも仕方なかった。

何せリリスと再会するのは、もう二千年(・・・)も前だ。

どんな形であっても、俺が会いたかった人物なんだからな。


「元気そうでよかったよ。」


「ゼロの方こそ、最後に会ったあの時とは全然別人だよ。」


「あははは……。そりゃあ、あの時みたいに重い重圧なんて全部無くなっちまったからな。随分肩の荷が軽くなったよ。」


昔の俺は今じゃありえないくらい暗かったからな。

寡黙だったし、なりより女神と仲が良かったのはほとんどいなかったから一人でおるのが毎日だったからな。


あれは黒歴史確定だな。

嫌な思い出でしかないし。


「ゼロがここに来たって事は、お茶会に参加したいのかしら?」


「あぁ。折角の再会だし、俺も参加するよ。」


「まぁ嬉しいわ! でもどうしようかしら。お茶はたくさんあっても茶菓子が少ないかもね。」


「それだったら大丈夫だよ。俺も二人のためにいろんな菓子を持ってきたから。」


そういって収納庫(アイテムボックス)から一つのバスケットを取り出して中身を見せた。

中には二人が昔から大好きだったアップルパイとクッキーが入ってた。


「わぁぁ! こんなにたくさんあるのなら十分ね! それに嬉しいわ。私たちの大好きなお菓子を持ってきてくれて。」


「ずっとお茶会をする時には、この二つは欠かせなかったからな。今日は神友に会うために張り切ったんだよ。」


「まぁ、ゼロが作ってくれたのね。それにちょうどよかったわ。今日は彼女もここに来るんだから。」


おっ、今日ここに来るのか。

となると、あいつは自分の仕事は今日は控えめなのか。

だったらちょうどよかったな。

この茶会を終えたら、俺はあいつの領域に行かないといけなかったし手間が省けた。


「それじゃあ、俺はバスケットの中にあるアップルパイとクッキーを出すとするかな。それ以外は何か手伝う事はないか?」


「大丈夫よ。もう一つカップを出せばいいだけだし、少し待ってて。」


リリスは森の中へと走っていった。


「あの方向だと住んでる場所は前と変わってないんだな。」


あっちの方向にはリリスの住んでる家があったはずだから、そっちに行ったのだろう。


さてと、俺も早々に準備でもするかな。

中にナイフやフォークも入れてきてるし、皿も多めに持ってきたから問題はないだろうしな。

それに、「虚空」も日に日に体に馴染んでいってるおかげで、俺の収納庫(アイテムボックス)も拡張されたからな。

またたくさんの荷物が中に入れられそうだな。


「さてと、後はリリスとあいつがここに来るのを待てばいいのかな?」


「…………ゼロ?」


「ん?」


声がした方を向くと、木に手を当ててこっちを見ていた神友がいた。


言ってたそばから来たみたいだな。

少し弱弱しい言い方。

昔と変わらない静かな気配。

全くあの時から変わってない。


そして思ってしまう――――また逢えたって。


「二千年ぶりだな、レイラ。」


俺はしっかりとそいつの顔を見て笑った。

パラディエスにある冥界の管理者であり、俺のもう一柱(ひとり)の神友である――――冥界神レイラだった。


「ゼロ…!」


レイラはリリスの時と同じように俺に近づいて、抱き着いてきた。

そして俺もリリスの時と同じように抱きしめた。

レイラを近くで見てから思ったけど、こうやってくっついて来るのは初めてだな。

それどころかスキンシップ自体を知らない。

結構大胆になったな。

昔はこういった性格じゃなかったのにな。


「元気そうでよかったよ、レイラ。」


「ゼロも……前より顔色が健やかになってる………元気な証拠…。」


「そりゃあ転生したら生活も一気に変わるし、健康にもなるだろう。」


確かに昔は、()との戦いで負傷して体がボロボロになったし、女神といざこざがあったから治療も出来ずに自然治癒をしてたりと、過去は色々とありすぎたからなぁ……。


そう考えると、今の俺ってかなり健康になったよ。

いやマジで。

冗談なしでね。


「リリスは何処に…?」


「あぁ、今は俺の分のカップとかを持って来てもらってるから、もう少ししたら来ると思うぞ。」


「お待たせー。」


っと、いた側から来てくれたな。

カップにリンゴや紅茶の葉。

お、どうやら今日はアップルティーが主役になりそうだな。


「あら、レイラも来てたのね。」


「ついさっきな。わざわざ持って来てくれてありがとな。」


「大丈夫よ。それより早く始めましょうか。」


リリスに言われて座る俺たち。

慣れた手つきでアップルティーを入れてくれてるリリスを見ていると、懐かしくて視界が潤んでしまいそうになった。

だってこの空間を味わうのは二千年も前になる。

そんな長い年月もの間、二柱(ふたり)は俺との約束を守ってくれた。

それがホントに嬉しい限りだ。


「できたわよ。」


俺の前に置かれたカップ。

それを取って俺は中にあったアップルティーを一口飲んだ。


うん、美味い。

そして懐かしい。

転生してからコーヒーとかしか飲んでいなく、紅茶とは無縁の生活を送ってきていた。

いやティファニスに飲まされてたな…………強制的に。

でもリリスが入れたアップルティーは美味かった。

多分、市販の紅茶はもう飲めないだろう。


「懐かしいな。このアップルティーは。」


「フフッ、昔からずっと変えてないからね。」


リリスは嬉しそうにしながら、俺が作ってきたクッキーを食べた。

そしてレイラも、俺が切り分けていたアップルパイを取っては皿に乗せ、一口サイズにして口に入れた


「……美味しい。」


「良かった。初めてだったからどうかと思ったけど、レイラが美味しいって言ってるなら安心だな。」


「あらホント、これ美味しい! リンゴの甘みがしっかりしてるわ。」


レイラが美味しいを言うなら、リリスも同じだ。

二人の共通点は、甘いものが大好き。

そして好きなものも全部一緒だって事だ。


俺と会う前はお互いにあった事がないって程、初対面に近い関係だった。

でも話していくうちに趣味や好きなものが一致していって、そのうち二柱は神友と呼び会う仲になった。

昔からこうしてお茶会を月に一度だけ開いて、一緒に仲良く話したりなにがあったかを語り合ったりするのが定番だ。


「ねぇゼロ。この際だから人間に転生してからの生活の話をしてくれないかしら? それに勇者だった時の話も。」


「…私も…知りたい……ゼロの生活。」


「そうだな。せっかくの再開だし、俺の生活の話をしようか。」


今日のお茶会の主役は俺の人生。

俺が生まれて、今に至るまでの生き様をストーリーみたいにして二柱に話していこう。

何せ場面(チャプター)は多くあるんだからな。

新章 第四章 神話今昔編①始まります!


もちろん①なのでいずれどこかで②もやります!

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