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11話 魔王とデート2

その後俺たちはフードコートに着いたけど、今食べるには違うなって思ってしまい、別のフロアにあった食事処にあったカフェに入った。


「うん、美味い。」


「このグラタン美味しい。ここで正解だったね。」


「あぁ、そうだな。」


グラタンを頬張りながらカフェラテを飲んでた真莉亜を、俺も頼んだスパゲティを食べながら言うタイミングを探してた。

まだ昼前でも客は俺たち以外いたけど、近くのテーブルにはいなかった。

言うなら今のタイミングがいいかな。


「なぁ、どうしても確認したい事があるから聞いてもいいか?」


俺は持ってたスキル、“消音(サイレント)”を使って周囲に声が聞こえないようにさせた。


「周りの音が聞こえなくなったけど、何かしたの?」


「俺のスキルだよ。それで両方からの音を遮断したんだ。」


「成程。それで、確認って?」


真莉亜が持ってたスプーンを皿に置いたのを確認して、俺は今の真莉亜に問いを投げた。


「お前ってさ、転生するのはこれで2回目か?」


俺の答えで彼女の正体がわかるはずだ。


首を縦に振れば俺の予想通りに。

逆に横に振れば俺の勘違い。


答えはもう決まってるけど、間違ってたら恥をかくのは俺だけだ。

真莉亜には何も影響はない。

さぁて、どっちだ。


俺の問いに答えようと、手元にあったカフェラテを一口飲んで、口を開いた。


「そうだよ。今回の転生は2回目。1回目は地球から異世界に行くときにしたわ。」


「…やっぱりか。」


あっさり答えたって事は、隠す気はなかったんだな。

ぁ、最初から地球に住んでましたよってアピールを全力で出してたし、彼女にとっては久しぶりの地球だったんだろうな。


「何時頃から気付いたの?」


「家に来てリビングにいた時だ。普通に出してあったお茶を平然と飲んでた辺りから疑問になってたんだ。ほぼ確信的になったのは、さっきの会計だ。」


「レジを見ても何も感じなかったから、そこで確信になったのね。」


「あぁ、そうだ。」


多分だけど、ここで少しでも真実を知らないと、このデートは何もないまま終わるかもしれない。

だからせめて、ほんのわずかでもいいから彼女を知りたい。

何がしたかったのか、何が目的だったのか。

これは勇者としてじゃなく、自分の意志で知りたい。


「少しだけ過去の話をするね。前世……魔王になる前で人だった時はね、ある山で起きた転落事故で異世界転生したんだよ。」


「転落事故?――――――それって、何年前か覚えてる?」


「今の西暦だと……18年前になるかな。」


「…あぁ……当時は生まれてないから知らないけど、その事故は俺も知ってるよ。ニュースで一度見たのを覚えてるからな。」


今から8年前だったかな。

いつものように朝にニュースを見て天気を確認していた時、そのニュースが流れているのを見ていた。

その事故の要因は、運転手の飲酒運転だった。

まだ酔いが覚めてない状態でのバスの運転で、多少の運転はできていた。

でも山に入って峠の辺りで、運転手はハンドルを切るのが遅かったせいで、バスは谷底に落ちた。

運転手は重傷で済んだが、乗客は全員死亡。

当時運転していた運転手は飲酒運転の容疑で今でも檻の中にいる。


「あの転落事故の中に、当時のお前がいたのか?」


「そうよ。あの時の感覚は今でも覚えてるよ。」


「お前……今日バスでここに来たのに、よく乗る事ができたな。」


「アハハ…実は乗ってる時、ホントは怖くてね。少しだけ零君にくっついてたんだよ。」


「……そうか。」


成程、バスの中での密着がやたらと大きいなって思ってたけど、それが理由なのか。

でもなんでだろうなぁ……今の俺は複雑だ。

だってバスの中で俺は自分の煩悩と戦ってたんだ。

ホントは離れてほしかったと何度も思った。

でもそれが理由なら、怒るに怒れねぇし、文句も言えない。

結局俺だけが不憫な思いをしただけなのか。


「その事故で死んだ後は、どうなったんだ?」


「どうやら向こうの何かしらの手違いか何かで、私は魔王になれる力を持った魔族の子として転生してしまった。それからは嫌々ながらも、魔王を受け入れて今まで生きてたのよ。」


「そして俺と戦って、負けて人間にまた転生してもらえるようにしてもらったって事か。」


「そうよ。それが魔王マリアベルの真実よ。」


そういう事だったのか。

だからあの時、「支配になんて興味がなかった」って言ったのか。

支配に興味がなかったのは、生まれが人間だから襲う必要がなかった。

でも魔王であるが故に、その座から離れる事ができなかった―――――それが答えだったのか。


しっかし女神が転生をミスるってどんな事件だよ!

珍事件じゃなて大事件だよ!

そのせいで俺は勇者をしなくちゃいけなかったのかよ!

なんて日だ!


「じゃあ聞くけど、魔王軍の幹部が人間を襲っていたのは、お前に反逆をしたからか?」


「あぁ…うん。勝手に私が決めたのに納得しなかったバカが多かったからね。零君には申し訳なかったと思ったから、私も微量ながら協力はしてたんだよ。」


「協力? 何かしてたのか?」


「一部の幹部を私の従者に頼んで倒してもらって、少しでも楽にさせてたんだよ。」


「そういえば、何故か人間を襲ってた魔族が突然行方が分かんなくなってた事が多々あったけど、あれってお前がやってたのか?」


「うん、私が指示を出してた。」


なんか、話す度に異世界で起きた謎が知れていってる気がするな。

しかも魔王本人が指示を出して裏切りの魔族共を倒してたなんてな。


………ん? 従者?


「今従者って言ったよな?」


「え? うん、言ったよ。」


「従者って俺と会ってるか?」


「みんなは知ってるけど、零君の前には現れないようにって頼んでたから、零君は一度も会ってないよ。」


「その従者って、幹部とは全く別の存在か?」


「うん、私の本当の側近だもん。」


じゃあこいつも、俺と同じように従者と別れをしたんだな。


従者か……

あいつら、元気なままでいてほしんだけどな。


「お前ってさ、魔王は何年くらいしてたんだ?」


「……多分、10年以上かもしれないね。」


「10年……人からしたら長いもんだな。」


もし俺が同じ立場だったら、その座を離れてでも人間と交流をしていただろう。

でも彼女はそうしなかった。

その運命に抗えなかったから。

魔王が人間と交流をするなんて考えないと、人の思考が勝手に決めていたからだ。


「……解除。」


俺は自分たちに使ってた“消音(サイレント)”を解除にして、周囲の音が聞こえてくるようにした。

俺が解除した事で、真莉亜も周囲の音が突然聞こえてきたのに少しだけ驚きながらキョロキョロしだした。


「え? 音が聞こえ……あぁ、解除したの?」


「あぁ。食事も終わったし、俺の中にあった不安材料もなくなったんだし、今度はちゃんとしたデートでもしようか。」


「え?」


「え?…じゃねぇよ。もう俺はお前に警戒も何もない。仮初のデートも関係ない。今からやるのは、これからの人生を楽しむための第一歩だ。」


「第……一歩…」


「魔王マリアベルは死んだ。ここにいるのは神崎真莉亜なんだ。二度目の人としての人生、これからジジババになるまで楽しい思い出を何個も作って、一生後悔しない人生を作ろうぜ。」


もう俺の中には、魔王に対して憎悪もない。

地球に戻ってきても魔法が使えたりするのなんてどうでもいい。

ただいまは、真莉亜を幸せにして見せたい。

ただそれだけでいい。


「…うん、そうだね。よーし、それじゃあ残りは思いっきり遊んで終わりにしようかね。」


「よっしゃ! そうと決まればゲーセンで思いっきり遊んでもいいかな?」


「いいともー♪」


会計の領収書をもってレジに向かって、俺は二人分のメシ代を払った。

流石に二回目は俺が払う。

これは男として当然の行いだからな。

俺は意気揚々と金を払って、真莉亜を連れてゲーセンに向かった。


その時の顔は多分、久々の楽しみで笑ってただろう。









「…やっぱり、あなたに救ってもらえて良かったよ。」


その時少女は、彼に聞こえない声量で言って、彼の後を追いかけるかのようにゲーセンに向かった。

当然、その声は彼には届いていない。

というわけで魔王さんこと真莉亜ちゃんは『転生者』という秘密を持っている設定にしてみました。

デート回のあとに真莉亜ちゃんの過去話もやっていこうと思います。

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[一言] 魔王可愛い
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