表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/157

106話 大罪魔人獣

「よいしょっと。」


よし、無事に結界の外に出られたな。

後ろから他のみんなも出てきて、誰もいない者はいないな?

……よし、全員いるな。


「さてと、それじゃあ今の状況はぁ―――――…って、えっ?」


俺が向いた方向には、明らかに普通の日常にはない光景が繰り広げられてあった。


まず一つは、ビルがゴーレムに変形しているのが二体いた。

まぁその辺りは予想通りみたいだったし、その辺りに至っては別に驚きはしなかった。

問題なのは、そのゴーレムとぶつかり合ってる戦艦(・・)に驚いていた。


いやあれどうゆう状況なわけ?

何で戦艦があるの?

何で陸地であんなに動いてるの?

誰が操作してるの?

色んな事が頭の中でごちゃまぜになって、その場で固まってしまった。


「白崎君!」


「翠嵐さん。それに香織ちゃんも。」


突然外に戻って来ていた俺たちに気付いた二人が、走って俺の場所までやってきた。


「みんな、無事のようだね。」


「いえ、まだ地下でトモたちが戦っているので、全員ではないです。それよりも、あれは一体何ですか?」


俺は翠嵐さんに尋ねて、戦艦の方に指を指す。

すると翠嵐さんは困ったような、焦っているような、複雑そうな表情で俺たちに話してきた。


「あの戦艦だけど、どうやら君たちの生徒会長さんの力みたいなんだ。」


「え、会長の? つまりあれが会長の異能なのか。」


「そうです。会長さんが号令をかけてたので、会長さんので間違いないです。」


おいおい、あれが沙羅先輩の異能だって言うんなら、下手すれば異能者どころか、パラディエスの冒険者にも遅れは取らない実力だぞ。

……ケンカは絶対に売らないようにしよう。


「そう言えば、夏奈は何処に?」


「お姉ちゃんなら、あの場に向かいに走っていきました。」


「おいおいマジかよ。」


ゴーレムの方を向いて話した香織ちゃんに驚いていると、一体のゴーレムに見知った風の剣がぶつかる光景が見えて、確かにあの場にいるのが確認できた。

そして遠目で黒いヤギが見えたのが分かって、真莉亜にボコられてたクソビッチが化身獣を使ったのも確認できた。


「今更行っても遅い気がするけど、何もしないで立っているよりかはマシか。」


そう言いながら、空間内に入れてた人質を取り出した。

俺が人質になってた人たちを出すと、翠嵐さんは焦って声をかけてきた。


「白崎君……こ、これは…!?」


「地下で実験にされてた被害者です。意識はありますので、彼らをお願いしてもいいですか?」


「あ、あぁ、分かったよ。」


さてと、ここからだと思ってたより距離があるなぁ……あ。

そうだ、俺も自分の化身獣を召喚させればいいのかか。

俺も憤怒を持ってるんだし、ステータス状にあったドラゴンを召喚させれば、あそこにひとっ飛びは出来るだろう。

そうと決まれば早速やってみるか。


「ごめんみんな、俺も化身獣を召喚させるから、少し離れるよ。」


俺の言葉で知ってる奴はみんな理解したみたいで、あとは任せるって感じで、その場に留まった。

さーて、一体どんな姿をしてるかなー?

俺の予想としては、昔戦った事がある火竜に近い感じかな。

ま、とにかく召還してみましょうか。


「――――化身獣、「ドラゴン」召喚。」


俺が召喚術式を展開して、憤怒の魔力を流した。

魔力を流した術式はどんどん赤くなっていき、闇の魔力を放出すると同時に高熱の熱風が吹き出した。

ってかアッツ!!

焼ける! 皮膚が焼ける!

これ召喚を終える前に、俺が熱風に上手に焼かれちまうよ!


俺が吹き荒れる熱風に耐えていると、術式から赤い球体が出てきて、それは徐々にドラゴンの姿へと変わっていった。

ドラゴンの体は全体的に黒い姿をしていたが、全身にある刺青のような線は赤く、そこからは熱を放出させていた。


「グルルル……グオオオオオオォォォォ!!!」


熱風が止んで、ドラゴンの咆哮がその場に響き渡った。

鼓膜が破れそうになるよりも前に、熱風で俺が焼け死にそうになったからマジで危なかった。

いやホントに危なかった。

危うくこんがり肉になるとこだったよ。


「何はともあれ、無事に召喚が成功してよかった。」


俺が自分に回復魔法をかけていると、ドラゴンはこっちを向いて睨んでくると、俺が主人だと分かったのか、頭を低くしてその場に跪いた。

何でだろう、ドラゴンならかっこいいイメージが多いのに、コイツは何故かかわいく見えてしまう。


「さてと、早速君には仕事を与えようと思う。」


「グルルル……」


何でしょう?って言ってるのかな。

まぁとにかくちゃんと聞いてくれてるみたいだし、指示を出してみますか。


「あれを見ての通り、今あそこでは戦場となってるんだ。俺をあそこまで連れて行って、一緒に戦ってくれ。」


俺の言葉に答えるかのように、頭を一回縦に振ると、背中に乗りやすいように頭を地面につけてくれた。

ふむ、やっぱ憤怒の化身獣だからか、聞き分けがよくていい子じゃないか。

それじゃあ早速ドラゴンの背中にライドオンしましょうかね。


「よいしょっと。よし、無事に乗れた事だし、行くぞ!」


「グオオオオオオォォォォ!!!」


ドラゴンは俺の言った場所まで飛ぶために羽ばたかせると、体は宙に浮きだし、空を飛んでその場所まで一直線に向かいだした。

おぉ、速い速い。

物が一瞬しか見えなくなるくらい速い。

思ってたよりも早かったから、目的地上空に5秒で着く事ができた。


「そんじゃあまずは、今目の前にいるゴーレムに“竜の息吹(ドラゴンブレス)”を放って攻撃をしてくれ。後のカバーは俺がしてやる。」


「グオオッ!」


ドラゴンは俺の指示通りに“竜の息吹(ドラゴンブレス)”を口から吐いて攻撃をして、ゴーレムは直撃を受けて爆発四散した。

そんで俺は壊れたゴーレムの瓦礫が下に落ちないように、空中にある間に一気に“虚空魔法”で塵にさせていった。

あ、それと俺の“虚空”だけど、神格を取り込んだおかげでさらに扱いやすくなって、ピンポイントでその場所に攻撃ができるようになりました。


「はい終了っと。うん、計画通りに事ができてよかったよかった。」


そんでもう一体のゴーレムは―――――…あっ、終わっちまったよ。

沙羅先輩の戦艦が突進して壊れちまったよ。

ついでにあっちの瓦礫も塵にさせておくか。


「ほいほいほいっと。はい終了。」


空中にあった瓦礫の除去は完了っと。

とりあえず下が静かになってしまったし、下りて俺も参戦するとしますかね。


「よっと……よっ、真莉亜。見た感じ、ちゃんと自我を完璧に持った状態で維持できてるみたいだね。」


「…………」


「―――――…アレ?」


何でみんな静かなの?

何で敵さんも静かなの?

何でみんな何も言わないでこっち見てるの?

おっかしいな、別に俺はゴーレムを倒しただけで、他は瓦礫の駆除以外はないもしてないんだけどなぁ。


「ねぇ、零君。」


「ん? どうしたの?」


「後ろのドラゴンって……?」


「ん? あぁ、コイツは憤怒の化身獣だよ。」


「化身獣……あぁ、化身獣ね!」


おい、今何と勘違いした?

完全に俺の後ろにいるドラゴンの事をペットか何かを勘違いしただろ?

てかアリアとシャルルは竜人なんだから、ほとんど親戚みたいなもんだろ!

何でお前らまで息を呑んで見てるんだよ。

そんで照と皇も! お前ら女神と神徒だろうが!

その辺りは把握してるだろ!


『そ…そのドラゴンは……まさか、赫怒の竜!?』


だんだんみんなの意識が戻ってきた辺りで、ヤギになってるクソビッチも戻ってしまった。

てかまた人外と戦わないといけない訳?

ぬらりひょんの時は蛇で、今度はヤギと来ましたか。

……なんか見てたら腹減ってきたな。

これ終わったら夜食でも作るか。


「おいクソビッチ、お前の洗脳していた部下は全部終わったんだ。さっさと諦めて降参してくれたら命は取らんぞ。」


『…ハッ…ハハハハハ! 私が諦める? ふざけんじゃないわよ! 私の計画を全部ぶち壊しておいて、ただじゃ済まさないわ!』


「成程、抵抗するのか。だったら俺たちは、武器(コレ)で迎え撃つしかないよな。」


罪人ならば裁きを与える。

抵抗するなら鎮圧する。

俺のやり方は何処に行っても変わらないのだからな。


「零君。」


「悪いな、真莉亜。それに照や皇も、こっからは俺も参戦するぜ。」


「零ちゃん。」


「本当なら、暴食の時みたいに譲ってやりたいんだが、コイツはどうやら俺にも関わりがあるみたいだからな。」


最初に目にした時から何かしら違和感があるなって思ってたけど、まさか『アイツの子』なんてな。

それにあの時リベルからの説明から考えて、どうやらコイツもあの化け物の腹から生まれた存在なんだろう。


「零君、それってどうゆう事?」


「説明は後だ。まずは今の状況を終わらせる事にするぞ。」


俺と同じ方向を見た真莉亜は、ジョルメの様子がおかしいのに気付いた。

奴は苦しんだかと思うと、突然胸のあたりを一気に押さえ始めた。


『もう…世界征服なんて…どうでもいいわ……全部壊してやる…全部全部全部……壊しつくしてやる!!』


いきなりヤギが雄たけびを上げると、ヤギの体がどんどん黒くなっていき、球体になっていった。

いや元が黒ヤギなのにさらに黒くなるのかよ。

ボディービルダーでもびっくりだわ。

そんなに黒くなってどうすんのよ。


てか、化身獣の体が球体になって、クソビッチのジョルメも一緒にあの中なんだよな。

そうしたって事はアレだよな。

かつて怠惰と戦った時に知ったあの形態。


その名前は確か――――――


大罪魔人獣(トリニティビースト)。」


昔暇な時に王都にあった大図書館で知った事だったかな?

大罪の魔人を知った時に一緒に覚えたんだっけな。

特徴は獣人とあまり変わらないけど、効果が『身体能力上昇』と『大罪スキル強化』だっけな。

となったら先輩たちは危険だな。


「先輩方、こっからは俺たち四人でどうにかしますので、結界の外に移動させますね。」


「えっ…しかし四人では危険すぎるぞ?」


「先輩たちは色欲に耐性がないから危険なんですよ。だから耐性がある俺たちでどうにかしますので、どうか見守っていてください。」


「……わかった。」


少し渋ってるけど、どうにか説得ができたな。

そんじゃあ俺の虚空門(もん)でさっさとみんなを外に出しますか。

どうやら時間もなさそうだしな。


「零、これだけは言わせてくれ。」


「なんですか?」


「…絶対勝て。そして無事に帰ってこい。」


先輩、普段のおやじギャグが無ければカッコイイんだけどなぁ。

アレがあるせいであまりカッコよく見えない自分がいる。

ホント、陽菜先輩を見習ってほしいわ。

まぁでも、後輩思いなのはポイント高いんだけどな。


「心配しないでください。だって俺、負ける気しないので。」


それだけをみんなに言って、俺は全員を結界の外に出した。

残ったのは、俺と真莉亜と照と皇の四人。

あぁ、あとドラゴンが一匹。

もう少し言っておいても良かったけど、これだけ言っておけば先輩や桜姉たちも心配はしないだろう。


「照、これはお前のだろ?」


「こ、これって、私の…!」


俺が照に渡したのは、かつて照が使ってた武器、『神双剣エクリプス』。

え? 何で俺が持ってるのかって?

神界に行った際に時間を止めてこっそり持って来たんだよ。

決して盗難ではない。

元の主に返しただけだ。

だから俺は悪くない。


「それと皇、お前って専門武器は何だ?」


「え? わ、私は槍ですけど。」


「そうか。だったら念のため、これを使っとけ。」


槍なら俺が持ってる絶槍でいいだろう。

普通の人間なら重いだろうけど、見た感じ重さは心配無さそうだな。


「さてと、そろそろかな。」


タイミングが良かったのか、黒い球体がひび割れ出して、中から黒ヤギと融合したクソビッチが出てきた。


【おめでとう。ジョルメは黒ヤギの獣人に進化したよ。】


うん、どう見ても普通の獣人にしか見えない。

そしてあまり強そうにも見えない。

何なら俺の後ろにいるドラゴンが強そうなんだけど。


『アッハハハハハ!! これになった以上、もう貴様らが勝てるのは不可能よ! 一人一人、皮膚からきれいに引き裂いて…――グビャ!?』


不意打ちの右ストレート。

え? 別に悪くないよね?

試合じゃあるまいし、待つのはなしだもんね。

それに殺し合いが始まってる時点で、すでにゴングは鳴ってるんだよ。

さーてと、出番なしだった聖剣を登場。

そんで前回に引き続き“勇ましき者への福音(エンデヴァー)”も起動。


「さあフルボッコの時間だ!」


「零君、不意打ちをかますとは…いいセンスね。」


「勇者が不意打ち…それってありなの?」


「悪法も法なり。勇者だからって不意打ちはダメってルールはないからな。」


「まあ確かに、そんなルールはないですけどね。」


そう、殺し合いにルールなんて存在しない。

何もかも自分がルール何だから。

それにしても、まだ帰ってこないのか?

そろそろ戻ってきてもいいのに。


『キサマァァアアアアア!!!』


あっ帰ってきた。

むっちゃ怒ってるけど、やっぱり怖くない。

これなら獣人王のほうがマシだ。

だってあっちは威圧が激しいから。


『ここまで私をコケにしたんだ! 本気でぶっ殺してやる!!』


「お前が俺をぶっ殺すのなら、俺は貴様をジンギスカンにしてやるよ。」


だってヤギだから当然だろ?

別におかしくはないもん。

それに腹減ってきたし。


「ジンギスカンか。それっておいしいのかな?」


「だったらアイツで試してみるか。」


『…え?』


ちょうどそこにヤギがいるんだから、問題はないもんな。

肉ドロップしてくれるかな?

出来たら万々歳なんだけど。


「それじゃあ真莉亜、あとは分かるな?」


「もちろん。お腹が減ってるから…」


「「こいつを捌いて味見してみるか。」」


刃物はある。

火はここにある。

鍋は終わってから作ればいい。

さあ、捌きの時間だ!

真夜中に腹減るやつは……太る!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
https://narou.nar.jp/rank/index201_0.php
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ