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SS智也2 VS異能者幹部E1

「オーラ!」


「はあああああ!」


「ははっ、まだまだぁ!」


俺が接近戦でE1にとにかく攻撃を仕掛けて、明日香が天穹で俺の援護をするやり方で一気に攻めにかかった。


「どうしたぁ! 攻撃がさっきから荒っぽくなってきてるぞ!」


チッ……時間が10分だとしても、あいつらが苦しんでる姿が目に入るたびに力んじまう。

今は眠っちまっているが、またさっきのように苦しんだらと思うと、焦って動きが疎かになっちまう。


「おいおいヒーロー! そんなに攻撃が荒っぽいと、守れるもんも守れなくなっちまうぞ!」


「くっそ……!」


来斗、穂花…もうちょっとだけ耐えてくれ。

こんなんじゃダメだ。

――――仕方ない、アレを使うしかないか。

使うかどうか迷っていたが、この際もうどうにでもなれ。


「明日香、お前あとどれ位まで戦えそうだ!」


「正直いって、あまり長続きは出来ないよ!」


「一回だけでいい。俺に合わせてくれ。」


「…分かったわ。」


明日香が異能で奴を翻弄させている間に、俺は動きながら右手にチャージをした。

正直今からやる攻撃は、俺が出せる最大火力だ。

ただその代わり、それが最後だ。

それを使ったら、俺は戦闘不能になるだろう。


だからこの攻撃で、結末は二つ――――

『敵が倒れて勝つ』か、『敵が生きて負けるかの二つ』だ。


はっきり言ってこれで勝てると思える所は全くない。

だけど、これに賭けるしか今は方法はないんだ。

二人のためにも、零たちのためにも、ここで勝たないといけないんだ!


「トモ、行ける!」


「あぁ! 最大火力、これが最後の一撃だ!」


俺は明日香の援護もあって、E1のガラ空きになった懐へと一気に近づいた。

チャージ時間20秒、俺が出せる全力の一撃。


躊躇いを持つな…

怖さを持つな…

罪を考えるな…


もう覚悟はできてる、博士に助けてもらったあの日から。

この拳は、敵を倒すため、仲間を守るため、親友を守るためにあるんだ。


怒りも恐怖も、何もかも全部、この拳に乗せて――――敵をぶっ飛ばす!


「受け取れ、E1! “覇拳(はけん)”!!」


俺の拳から放たれた攻撃は、奴の懐へと吸い込まれるかのように向かっていき、E1も抵抗するかのようにガードをしようとしたが、明日香の妨害で間に合わず、そのまま拳は懐に直撃した。


「がはっ…!?」


ノーガードの状態、しかも当たった部分に力を入れていなかったからか、直撃を受けたE1は猛烈な痛みに耐えきれずに口から出血し、勢いよく飛ばされ壁に激突した。

E1は壁にめり込んでからそのまま動くことはなく、それで決着がついたと思ったトモは、膝をついて大きく息を吸って吐いた。


「……やった…のか…?」


「分からない……でも、今は大丈夫みたいね。」


「…そうだ、来斗と穂花は…?」


俺は急いで二人の近くまで行って、二人の様子を見たら、今は静かに眠っていた。

だけどE1が付けた呪いと思われる刺青はまだ残っていた。


「呪いが消えてない。どうすれば…」


「れ、零なら何か分かるかもしれねぇ。とりあえずこの部屋から出るぞ。」


「出るって、どうやって? この部屋には、ドアが何処にもないんだよ。」


明日香の言う通り、ここにはドアもなければ、窓もない部屋の中だ。

でもここで呼吸ができるって事は、何処かに換気口みたいなのが存在するはずだ。

それを徹底的に探すしかない。


「何処かに外へ出られるような場所があるはずだ。それを探すぞ。」


「―――それは無理だぜ。ここは簡単には外に出られないように作ってあるんだからな。」


「「…!?」」


俺と明日香しか話していないこの場所。

来斗と穂花は眠っているから話すのはあり得ない。

それを理解している俺たちは、肝が一気に冷えたのが分かった。


「今のは……かなり効いたぜ…」


声がした方へゆっくり振り向くと、壁にぶつかって気絶していたE1がその場に立っていて、口から血を流しながら笑った顔をしていた。


「う…嘘だろ…?」


「トモの一撃受けたのに、まだ立ってられるの……?」


E1がまだ立っている事に俺たちは驚愕し、もう勝てないと思い絶望した。

今の俺が使える技の中で、最強の“覇拳”を受けても耐えて、その両足でしっかりと立っているのは、今の俺にとっては恐怖でしかなかった。


「どうした?……まだ2分あるぞ?」


一歩、また一歩、ゆっくりとした足取りでこっちに歩み寄ってきて、更に俺たちの恐怖は膨れ上がっていった。


「……明日香、まだ行けるか?」


「待ってトモ、アンタはもう…自分の異能が…」


明日香が心配しているけど、確かに今の俺は異能がしばらく使えない状態だ。

でも、だからなんだ。

ここで無様に終わる訳にもいかねぇ。

ここで立たないと、ヒーローにもなれねぇんだよ。


「俺がどうにかして奴を相手するから、今度はお前が奴に一撃を入れてくれ。」


「……分かったわ。」


兎にも角にも、明日香の異能が俺たちの最後なんだ。

俺が全く使えない以上、これでどうにかするしかねぇ。


「話は終わったみたいだな。そんじゃあ残り1分で、俺を終わらせてみせろ!」


「終わらせてやる、E1!!」


俺は奴に突っ込み、とにかく連続でパンチや蹴りをかまして、明日香へ攻撃をさせないようにとにかく我武者羅にやり続けた。


「オラオラオラァ!」


「恐怖、焦燥、無鉄砲、色んなものが交じり合って攻撃一つに一つに斑がある…ぜ!」


「くほっ…!」


やっぱ、異能でガードしてないとすげぇ痛いな。

これも何かの異能なのかもしれないな。

だけどあと少し……あと少しだ。

頼むぜ明日香、後はお前だけだ。


「チャージ完了! トモ、何時でも行けるわよ!」


「OK! あとは任せるぞ!」


明日香のチャージが完了の合図が出た所で、俺はポケットからあるものを出して、それをE1に向けて投げた。

E1に向かっていったものは、縄状へと変形していき、体に纏わり付いて動けなくした。


「おっと、こいつはやられたなぁ。」


今投げたのは、博士の道具の一つ、“バインドボール”と言って、形状は球体だけど、投げると空気抵抗で縄状になり、敵を捕らえる事が出来る優れ物なのだ。


「よっしゃ! 今だ明日香!」


「いいわ。そこから離れて!」


俺はE1から距離を置いて、明日香の攻撃で吹き飛ばされないように、来斗と穂花の近くに行って二人を守るように前に立った。

頼むぜ、これがラストチャンスなんだ。

これで倒れてくれ。


「受け取りなさい、E1。これが私の全力、“射手座の一射(サジタリウス)”!」


黄色い閃光を帯びた明日香の放った矢は、きれいな一直線を描いて、E1に向かっていった。

この技は俺のチャージ攻撃である“覇拳”と同じで、明日香のチャージ攻撃から出されるその力は、“一窮入魂”の三倍の威力があり、しばらく異能が使えなくなる代わりに、絶対破壊の一撃を発揮できる。


「こりゃあヤベェ!」


E1は危機感を感じたのか、自分の異能である“念力操作(サイコパワー)”を足に集中させて、明日香が放った矢を蹴りで弾きにいった。


「ぐっ……くぅぅぅ…!」


三倍の威力があるからか、ガードや軌道を変えたりする事が出来ないのか、苦しそうな顔をしながらも、必死に弾き返そうとしていた。


「うおおおおおぉぉぉ……らあぁぁ!!」


E1全力の蹴りは、明日香が放った渾身の矢の軌道を変えて、矢はそのまま違う方向の壁に当てって、矢の威力とは思えない程の爆発を起こした。


「……うそ…」


「マ……マジかよ…」


俺と明日香は、今起きてる現実を受け入れたくなかった。

俺たちが覚悟を決めた一撃は、どっちもE1に命中したのに、どっちもE1を気絶へと追いやる事は出来なかった。


「はぁ……はぁ……」


E1はこっちを見ながら膝をついていた。

それもおかしい事ではなく、明日香の矢を蹴って弾いた代償として、その足はパワースーツをボロボロにしていて、足からは出血をしていた。


「はぁ……10分…時間だ…」


「あ……あぁ……」


「くそっ……くそっ…!」


俺はその場に崩れて、明日香は涙を流して蹲ってしまった。

結局俺たちは、何も出来ないまま、大切な家族を失ってしまった。


……何がヒーローだ!

何も出来なかったじゃねぇかよ!

ふざけんじゃねぇ!

あぁ、でも……こんなに怒った所で、二人は帰って来ない。

俺は……弱すぎる。


「久しぶりに……満足のできる戦いができたな。」


E1を睨みつけようと見たら、さっきまでボロボロだった足は完全に治っており、ちゃんとした足取りで歩いているのを見た俺は察した。


あぁ……最初から俺たちは勝てない相手をしていたのか。


「さてと、十分やる事はできたし、ここから出してやるよ。」


「…ふざけないでよ……来斗や穂花を殺しておいて、何が満足よ!?」


明日香が激昂してE1に叫んだが、E1は呆れたかのように溜息を吐いた。


「怒るのは分かるけど、叫ぶのは二人の様子を見てから言ってくれないか?」


「……え?」


俺はすぐに二人の様子を見たら、刺青はそのままだけど、様子は完全に苦しんでいなかった。

いや、というよりこれは……


「眠ってるだけ?」


「そうだよ。呪いなんてのは嘘。その刺青は、対象を眠りから起こさせないだけの呪いで、死とか全く関係ないぞ。」


「「………え?」」


「それに、俺は一度も死ぬなんて言ってなかっただろ?」


今なんて言った?

死とか関係ない?

そんな訳……いやでも、今の二人を見たら合ってるのか?

ダメだ、訳が分かんなくなってきた。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! じゃあ、何で二人は苦しんでたのよ?!」


「あぁ、これ欠陥があってな。本当なら呪印がつくとすぐに寝るんだけど、やっぱ半端者のやるやり方だからよ、最初はどうしても苦しんでしまう副作用が起きるんだよ。」


えっ? はっ? えっ??

ちょっと待って、じゃあ最初に苦しんでいたのはその副作用で、あとは何でもない、ただ眠ってただけって事?

アレ? それじゃあ何でE1は俺たちと戦おうとしたんだ?


「E1、アンタは何でこの組織に入ったの?」


「別に、ただ強い奴と戦いがためさ。俺はこう見えて戦闘狂だからよ、戦い以外には無頓着なんだよ。」


「だ、だけどよ、お前が殺してきたのは本当なんだろ。それに至ってはどうなんだよ?」


「あぁ、勘違いしちゃ困るが、俺はE7と同じで誰も人は殺してねぇよ。ただ殺したように見せただけで、その後は隠れて回復させて避難させてただけだよ。」


「「…はぁ?」」


どういう事だってばよ……

ヤバい、頭がこんがらってきた。

ホントにコイツは、戦う事しか考えてなかったのか?


「それにしても、たった三年でここまで強くなったのはマジですごいぜ。待ってた甲斐があったよ。」


「待ってた?」


「俺はお前たちがどこまで強くなるかを見てきてたんだよ。覚えてるか、俺たちが初めて会った時を?」


「……あぁ、覚えてるぜ。」


零には黙ってたけど、三年前に何者かに襲われたって言ったけど、本当は覚えていた。

あの時、俺たちを襲ったのはE1(コイツ)だった。


別に零を騙してた訳じゃない。

ただ単に、強すぎるから危険と感じただけで、また傷ついてほしくなかったから、黙ってただけだ。


「最初はそれこそ、産まれたてのヒヨコの雄雌を選別するかのように、強いか弱いかを選別してたんだよ。言わば見極めだ。」


「見極め……」


つまりあの時、俺たちを襲ったのは殺すためじゃなく、強いか弱いかを自分の目で確かめたかったから襲ったって事か。

そうか……だから俺たちは組織に捕まらなかったのか。


「初めはハズレと同じ、弱いって認識をしていた。でもお前は、俺の答えを覆した。その時点で思ったんだよ。お前はいずれ覚醒するってな。」


「覚…醒?」


何を言ってるんだ?

覚醒って、俺の超強化(フルパワー)の事を言ってるのか?

そんなの…博士でも知らないんじゃないのか。


「まぁそういう訳で、お前たちと戦いたかったのは、三年間でどこまで強くなったかを知りたかっただけで、そこにいる二人は、お前をさらに強くさせるために勝手に協力してもらったってだけだ。」


「さらに強くさせるって、どういう事よ?」


「まぁそれはいずれ分かる事さ。それよりもまずは…――――」


―――パンッ!


E1が手を一回叩くと、来斗と穂花に付いていた刺青がきれいに消えて、二人はゆっくりと目を開けた。


「うぅん…」

「あれ……私、何で寝て…」


「「来斗、穂花!」」


俺たちが叫んで二人を抱き着くと、二人は急に抱き着いて来たトモと明日香に驚いて、どうしてそうなったのか分からないでいた。


「たった今、俺が今まで呪印を付けてきた者たちは一斉に起き上がるだろう。これで、俺がここにいる理由はなくなった。」


そんな光景を見ながら言ったE1は、壁の方へ歩き出し、隠してあったボタンを押した。

すると横の壁に同化していた扉が開いて、外に出ていこうとしていた。


「待てE1! お前は、一体何者なんだ?」


E1はトモの言葉で足を止めると、笑ってトモの質問に答えた。


「言っただろ、俺は戦闘狂。戦いに飢えた存在なんだよ。それと、俺はこの組織のメンバーじゃないから、これからは『E1』じゃなく、『グルブ・モーガン』に戻るとするよ。」


そうしてE1……グルブは外に出ていこうとしたが、何かを思い出して、四人の方に向いた。


「そうだ、忘れるとこだった。お前たちに一つ言っておかなきゃならねぇ事があった。」


「言っておきたい事?」


「異能には先が存在する。その先を見る事が出来るのは、自分の異能と向き合って、答えにたどり着いた者だけが見る事ができる。それを忘れるな。」


「先が…存在する。」


今の俺の異能の先、それにたどり着けば、今よりも強くなれるのか。

だったら、これからやる事は決まりだな。

だけどその前に、今起きてる事を終わらせてからだな。


「それと、白崎零(レイ・シラサキ)に言っておいてくれ。次に会う時は、お互い万全な状態で戦わせてくれってな。」


「……あぁ、分かった。」


「そんじゃあ言う事も終わったし、俺はおさらばするぜ。また会おうぜ、相川智也(トモヤ・アイカワ)。それと加藤明日香(アスカ・カトウ)。」


グルブはそう言い残して、部屋から出て行った。

それと同時に緊張感が消えて、トモと明日香は二人にもたれかかるかのように力尽きた。


「まだまだだったな、俺たちは。」


「でも、誰もいなくならないでホントによかったよ。」


「ははっ、そうだな。」


四人はE1であった彼との勝負に負けたけど、その顔には悔しさは全くなく、次の目標ができたという希望の表情になっていた。


「皆さん、ご無事でしたか!」


「お前は確か、零のとこの。」


「シグレと申します。怪我の方はありますか?」


「いいえ、問題ないわ。ただ私たちはこれ以上はお荷物になるから、ここで休む事にするわ。」


「承知しました。ではボクは、主君たちの戦いが終わり次第、連絡しますので、ご一緒させていただきます。」


シグレはそう言ってからその場で正座をして、上で自分の主たちの戦いが終わるのを、トモたちと一緒に待つ事にした。


「異能には先がある……か。」


E1がさっき言ってた言葉が、トモと明日香の頭の中に残り、それはこれからも一生、答えが見つかるまでずっと残り続けるだろう。

夜中にGが出た瞬間、眠気が一気に消えてイラってしまったのが一昨日の実話です。

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