100話 夜襲作戦開始
祝100話達成!
達成したけど記念はないぜヾノ∀`)
「見えてきたわ、あそこよ。」
母さんが指をさした方向を見てみると、電車ではちょっとしか見えなかった大きめのビルで、母さんの言ってた通り、外観では分かりにくいビルになっていた。
「桜姉、それに翠嵐さん、結界は最大でどこまで可能ですか?」
「九尾様が協力をするとなると……かなり大きめの結界は可能でしょうね。」
「いや、妾は異能者という輩とぼちぼち戦っていくから、結界の方にはあまり手伝わないぞ。。」
「え? それでは誰が結界を…?」
「結界を張るのはこやつらだ。」
桜姉は術式を地面に書いて召喚術を使うと、そこから桜姉のもとにいた橘花たちが召喚に応じてくれた。
俺は事前に報告を受けていたから驚きはしなかったし、いつの間にか向こうにいた橘花たちと和解もできたそうだったから、今回の結界を張るのに彼女たちの力を借りる事になったのだ。
「玉藻様、再びあなた様のお役に立てるのをお待ちしておりました。」
橘花は泣きそうになりながら桜姉に挨拶をして、桜姉もそれに答えるかのように言った。
「橘花…それに皆も、妾のわがままに付き合ってくれて感謝する。また、妾や零のために協力してほしい。」
『お任せください。』
橘花たちは桜姉の頼みにはっきりと答えてくれて、それを聞いた桜姉は嬉しそうにしながら見ていた。
「では早速だが、お前たちは彼らとともに結界を張るのに協力しろ。指示はそこにいる翠嵐から聞いて行動してくれ。」
『はい!』
橘花たちは翠嵐さんの方に行って指示を受けると、我先はといった感じで結界を張る場所に移動していた。
「それじゃあ皆の者、始めるぞ。」
―――――大規模結界「四石妖陣」!
翠嵐さんの声と一緒に結界がビルを囲うように張られていき、これで敵を外に逃がす事はできなくなったし、外から俺たちの認識ができないようになると、夏奈から説明してもらった。
「結界は無事に張ることができた。あとは君たちに任せるよ。」
「わかりました。会長、それにみんなも、外の方は頼むよ。」
「任せて、零ちゃん。」
「白崎君たちも、気を付けてね。」
「私たちの方は大丈夫だ。大船に乗ったつもりで頼ってくれ。」
外の異能者狩りは会長たちに任せて、二人の答えを聞いて安心したところで、俺は腰に下げた妖刀を抜いて指揮を執った。
「これより、異能者組織スコーピオンに突入する。地下突入部隊、全員にいう……サソリを一匹残らず始末するぞ!」
『おおおおおお!!』
「夜襲作戦、開始! いくぞ!」
零は異能者のいるビルに向かい走り出し、それを追うかのように他の全員も一緒に付いて行った。
「母さん、地下の入り口はビルの正面玄関の壁にあるんだよね?」
「そうよ。そこを壊せば地下に行けるわ。」
「トモ、俺が玄関のドアを壊したと同時に先行して壁を壊せ!」
「よっしゃ、任せとけ!」
俺はトモの指示を出してから一気に加速して、正面玄関のドアを躊躇いなく妖刀で切った。
「今だトモ! 思いっきりぶっ壊せ!」
「あれだな…いくぜ! “赫胴”!!」
トモは正面玄関の壁に向かって異能を纏わせた拳をぶつけ、壁は粉々になって爆発を起こし、地下へ行ける入り口が現われていた。
するとビルの警報装置が鳴りだして、上の方で異能者たちが下りてきている音がし始めた。
「異能者は上の方にもいるみたいだけど、そいつらは外のメンバーに任せて俺たちは地下に行くぞ。」
「中はかなり入り組んでるから、入ったらバラバラに行動するわよ。」
母さんの言葉に頷きながら地下へ行ける階段を下りようとしたところで、俺はトモが壊した地下の入り口を氷魔法で塞いで、外から侵入されないように出口を完全に塞いだ。
「ちょっと零! 出口を塞いでどうするのよ!?」
「敵の侵入をできないようにしたんだよ。脱出する時は俺の“虚空門”で全員を脱出させるようにさせる。」
俺はそう言ってから明日香の返答を待たずに地下の階段を降りて行って、その先に行った鉄の扉を開くと広い通路が三つもあって、先はどうなっているかは暗くてわからなかった。
「道は全部で三つ。俺と母さん、それと先生で分かれていこうか。」
「メンバーはどうするの?」
「俺の方は真莉亜とリベルにアジュール、それとサヨリとシルヴィアが付いて来い。母さんの方はシグレとルナ、それにレーヴェとエミリアが付いて、他のメンバーは先生の方に行ってくれ。」
俺の指示にみんなは頷いて分かれてくれて、別れて行動をする前に【戦神ノ意思】でみんなに“無慈悲の断罪”を簡単に説明させてから付与させて罪人を区別できるように見せさせた。
ちなみに俺の付与は魔法以外にもスキルも付与が可能になって、とてもありがたかった。
説明していてチートだと言われたりしたけどそこは無視する事にして、俺が正面、母さんは右、先生は左の道に行く事になってその場で三手に分かれた。
≪零サイド≫
吹き荒れる氷嵐
ぎゃあああぁぁぁ! 冷てえええぇぇぇ!
灰炎“焔”
あちちゃああああああ!!
俺が選んだ通路を進んでいくと、左右の扉から異能者が軍隊蟻のように出てきて、俺と真莉亜は待たずに先制攻撃をして再起不能にしていった。
もちろん人殺しには腕か足チョンパは欠かさなかった。
「なぁ真莉亜さんや…」
「なんですかのう零さんや…」
「この際だから言わせてもらいやすけど……敵、めっさ弱ない?」
「うん…何ていうか…これなら妖と戦ってた方がよかですわ。」
異能者とこれまで戦って思ったのは、前に戦ってた妖よりも弱すぎる。
だって全部が先制攻撃で終わってしまってるため、俺がわざと手加減で攻撃をしても終わってしまうという脆弱さで、後ろで付いて来ているみんなも退屈なせいか欠伸をしている者もいた。
「おい、お前らちょっと交代しろ。退屈すぎて死にかけてるからよ。」
「そうですね。ではお言葉に甘えて先行させてもらいます。」
俺と真莉亜はアジュールたちと交代して、先に先行させて進んで行き、閉まっていたドアを開けると、そこは何かを研究しているような感じに見えた。
「ここは…研究施設か?」
「薬品のにおいが強いから臭いわね。何のにおいなのこれ?」
薬品の強い異臭に、何かしらを入れてたカプセルが数台あって、ここで一体何をしていたのか見当もつかなかった。
「マスター、こっちに来てくれ。」
「どうした、サヨリ?」
「この資料の内容を見てくれ。」
俺はサヨリから束ねられた資料を見ていくと、そこにはあってはならない文字で書かれてあった。
「これって…パラディエスにある文字だ!」
「という事は、敵は異世界人の可能性が…?」
「…とにかく読んでいくな。」
俺はざっと資料を見ていくと、そこにはこの部屋で行われていたレポートなどもあって、日にちできれいに書かれてあった。
「この部屋、どうやら異能者を『超人化』させるための実験を行ってた場所みたいだな。」
「超人化? 聖人や仙人みたいなのと同じなの?」
「恐らくな。失敗を何度もして犠牲者を出しているみたいだけど、最後のあたりで実験の成功者がいるみたいだな。」
「見た感じ、誰が実験に成功したかは書かれていませんね。」
読み進めて言って分かった事を簡単に言っていった。
超人化の実験は数回にわたって行われており、人の限界を超えた力を発揮させるために何度も洗脳させた実験体を数人使っては失敗し、成功させたのは最初の実験から二年後になってた。
そしてこれまでこの実験によって犠牲になった人は……全員で300人は超えていた。
「酷い……」
「お兄様の世界、パラディエスより汚れてる。」
シルヴィアの言う通りだな。
この世界は汚れすぎてる。
だからこそ、俺たちで何とかしないといけないんだ。
「多分実験はここ以外でも行われている可能性があるかもしれねぇし、武器庫もどっかにあるかもな。」
「この部屋は何もなさそうですし、次に行きましょう。」
俺たちはその部屋を後にして、次の部屋に入って行った。
**********
≪彩音サイド≫
「ほいほいほ~い。」
うぎゃああああぁぁぁ…!!
「オラオラオラァ!」
ぐげっ…
ぐぎゃ…
びゅぱ…
「“水遁「水龍江牙」”」
あああぁぁぁ…水がぁぁあ…!!
右の道を選んで進んでいた白崎彩音率いる5代目勇者一行は、零たちと同じく異能者に対して本気になれないでいて退屈していた。
「チッ……弱すぎて空気を殴っているみたいだ…!」
レーヴェは異能者が弱すぎるのにイラついていて、顔には出していないが全員同じ事を思っていた。
零の方にもいた異能者と同じで、攻撃すれば一発で終わってしまう戦闘がずっと続いており、それを見ていた母の彩音も疑問を持っていたけど、それよりも目の前でイラついているレーヴェの方が心配になってきていて、どうしたもんかと考え込んでいた。
するとさっきからオロオロしながらそれを見ていたルナがレーヴェに近づいていき、イラついているレーヴェに声を掛けた。
「え、えっと…レーヴェさん、異能者というのは弱いかもしれませんけど…幹部の方は強いかもしれませんよ。」
「ルナ、確かにお前の言う通りそうかもしれねぇけどよ、その幹部が未だに出て来ていねぇ状況でそれを言われてもオレのイライラが増える一方なのは分かってるだろ?」
「そ、それは分かってます。でしたら、もっと派手に暴れていたら…幹部の方も出てくるのではないでしょうか…?」
「暴れる……なるほどな、確かにそうかもしれねぇな!」
ルナの助言で納得したのか、レーヴェは手の骨を鳴らして手甲をはめると、一気に周辺の壁に攻撃をして壊し始めていった。
「オラオラァ! 幹部だろうが誰だろうが、さっさとつえぇー奴出てこいや!!」
鬱憤がかなり溜まっていたのか、レーヴェの攻撃を誰も止めようとは思わなかった。
それどころかルナの言動でレーヴェを簡単に動かしたことに驚いていて、ルナは見た目こそ可愛いけど恐ろしい子と、彩音とシグレはそう思った。
「あの母上殿、止めたほうがよろしいのでは?」
「大丈夫よシグレちゃん、別にしなくてもいいわ。逆に目立たせれば、他が動きやすくなるだろうからね。」
「動きやすくなるというのは、主君たちがって事でしょうか?」
「えぇ。元々私たちは囮のような役目をしてるだけで、本命は零くんたちか櫻井先生たちだからね。」
「なるほど。でしたら某たちも目立つ行為をした方がよさそうですね。」
「そうね。でも今はレーヴェちゃんが頑張ってるから、彼女が疲れたら交代してあげましょう。」
「承知しました。」
それからしばらくはレーヴェが暴れてくれたおかげで囮としての役目をする事ができ、襲い掛かって来た異能者をレーヴェが片っ端から倒していくと言ったサクサクモードで進んで行った。
「オラオラオラァ……あ?」
さっきからずっと休まずに暴れまわっていたレーヴェが壁を壊したあたりで突然止まり、中を見てそのまま動かなくなっていたのにどうしたんだと思いながら見ていた。
「どうしたのかしらレーヴェ? 何か見つけたのかしら?」
「おい、コイツを見てみろよ。」
レーヴェに言われて壁を壊した場所の穴を見て見ると、そこには数多くの武器や道具などが久野はこの中に詰められていた。
「これって…武器庫ですかね?」
「アメリカ…中国…ロシア…ヨーロッパ諸国まで。ほとんどが全部外国に輸出するようにされているわね。」
「そういえば、主君が博士からスコーピオンは世界征服を企んでるとか言われてましたし、もしかしたらこれがそうなのかもしれませんね。」
「……人はどうして、争うと言った醜い行いを何度もしてしまうんでしょうねぇ…」
彩音はそう言って、かつて勇者だった自分の昔を思い出していた。
彼女は何度も国同士での争いを見てきているし、零と同じ目の前で罪のない人が死んでいくのを見ている。
そして彼女もまた…零と同じで罪人が嫌いであり、それ相応の罰を与えたいと考えているのだ。
それは親子だから同じ考えを持っているからか―――――…否、その意思は零と同じ修羅を見て来ていて、同じように罪人が他者の命を遊びで殺しているのに嫌悪感を抱いているからだ。
(零くんや真莉亜ちゃんが悪に正しい罰を与えているのは…母さんと「あの人」の意志と同じものを持っているからでしょうね。)
そんな事を思いながら見ていくと、奥で何かが動いた音がして全員が警戒した。
「誰だ…!」
音がした場所の近くにいたレーヴェが攻撃態勢のまま真っ暗な場所を見ていたが、何も反応がなかった。
「気のせいでしょうか?」
「いや、違うぜ。真っ暗だがうまく音を殺して隠れていやがる。」
「…明かりをつけるわね。」
彩音が光の球体を使って真っ暗な場所を照らそうとした次の瞬間…――――
『******!!』
「うおぁ…!」
「ひゃぁ…!」
真っ暗な中でうまく隠れていた「何か」が突然動き出してレーヴェの横を抜けていくと、そのまま空いた壁の穴から抜け出して何処か行ってしまった。
「おい、今見えたか?」
「いいえ、早すぎて何も見えなかったわ。」
「い…今の、一体何だったのでしょうか?」
その場にいた全員が何かを見たのはいいが、動きがあまりにも早すぎて誰も目視する事が出来なかったのだ。
今の一瞬で分かったのは、そこにいた「何か」の姿が50cmほどの大きさだっただけで、それ以外は全く分かっていなかった…――――ただ一人を除いては。
「―――…あ、ありえないです…」
「どうしたのルナ? 何かあったの?」
一番離れていたルナの様子がおかしかったのに気付いたエミリアが声を掛けてみると、声を震えさせながら答えた。
「わ…私…一瞬だけ見えたのですけど…あれは一体何だったのですか…?」
「どうしたのだ? 一体何が見えたって言うんだ?」
「……分からないのです…人か魔物かどっちか分からないのです…」
ルナの言葉に全員は意味が分かっておらず、それに付いて聞こうとしたが、何も言わなくなってしまった。
「まぁルナの目に何か見えたのか知らねぇけど、ここには何ももう無さそうだし先に進もうぜ。」
レーヴェの言葉でみんなもそうしようと思い、ルナにこれ以上何も聞かないでその場を離れて再び目立つように壁を壊し始めた。
(さっきの気配……「人」と「魔物」の気配が交じり合ってるような奇妙な気配だった……何だったの…今のは…?)
第三章は、初投稿から一年になるまでに終わらせる予定にしてる(適当)




