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95話 探していた

「そうら、燃えな燃えな。」


「ぎゃあああああ!! あちちちちち!!」


「熱そうだな。キンキンに凍らせてやるよ。」


「ぎゃあああああ!! 冷てええええ!!」


「吹き荒れろ、暴風!」


「うわあああああああああああ!!」


「貫け、閃光。」


「ゴブァボッ……!?」


うん、このサクサクモード。

真莉亜が燃やして、俺が凍らせて、シルヴィアが風を起こして、アジュールが閃光で貫くという無双。


再び異能者狩りを再開した俺たちは、周辺を探してすぐに異能者の集団を見つけ、当たりかハズレかを区別してすぐに行動に取り掛かって、四人で連携しながら次々と異能者を相手していった。


「今日だけで結構な数は片付けたな。」


「そうだね。でもやっぱりおかしいよね?」


「あぁ。明らかに数が多すぎる。」


既に何人やったのかは忘れたけど、二人で合わせても200近くは相手したと思っている。

普通ならかなり数を減らせたと言って喜ばないといけないけど、範囲からしたら2割もいってないのにこの数はおかしいと思ってしまったのだ。


シルヴィアも加わって行動している分、俺たちもかなり負担がなくなって助かってるけど、このまま減らしても時間が掛かると思い始めてしまい、一度どうするか話し合う事にした。


「このペースでいくと、千人は確実に超える計算になるよね。」


「偶々この辺りに固まって行動していたかもしれないし、見張りという役目であったかもしれないけど、このまま進んでもこっちの体力が減る一方だし、何より今幹部と鉢合わせちまったらマズイな。」


「でしたら、お兄様が言ってた夜襲まで待ちますか?」


「そうだな。時間も7時になるし、母さんもすでに行動しているかもしれないから、一度照たちの様子を見に行った方がいいかもな。」


「そうだね。それじゃあ瑞風神社に行こうか。」


俺たち三人はその場を後にして、照たちの様子を見に行くために瑞風神社に行く事にした。

シルヴィアには移動する前に、あまり前に出て話さなくてもいいからなとだけ言って、シルヴィアも分かったみたいで頷いて応答した。


「それじゃあ早速、“空間転移(テレポート)”で移動しますか。」


俺は二人を引き寄せてから“空間移動(テレポート)”を使って移動して、瑞風神社まで距離があるから小刻みに移動していき、何とか無事に瑞風神社に着く事ができた。


「はい、到着っと。」


「何だかあっという間だったね。今度私も覚えてみようかな。」


「やめておいたほうがいいよ。俺もこれを覚えるのにかなり時間がかかったし、座標を間違えると壁や地面にめり込んじゃうから。」


「……やっぱり覚えなくてもいいわ。」


「うん、そうしてくれ。」


石段を登りながら話をしていると、本殿には夏奈と照たちが三人で何かしらしゃべりながらのんびりしていた。


「おーい照に皇、元気にしてるか?」


「あっ零ちゃん、それに真莉亜ちゃんも。」


照が答えてから二人も俺たちに気付いて手を振っているのを見ていて、どうやら大分本調子になってきたなっていうのが分かった。


「夏奈、皇はまだしも照が迷惑になってないよな?」


「大丈夫よ。二人とも私たちの手伝いをしてくれるから助かってるわ。」


「ねぇ零ちゃん、今の言葉の意味を詳しく聞いていいかな?」


照が俺の言葉に物申してこようとしてたけど、俺は手で冗談だとだけして抑えて、様子を見に来たついでにあの事で話し合うことを全員に話した。


「様子を見に来たのは事実だけど、それともう一つどうしてもお前と話をしておきたいと思ってな。」


「話しておきたい事?」


「まぁここで話すのはマズいから、どっかの部屋で話し合いたいけどいいか?」


「いいよ。ただ一つ聞きたいけど、後ろにいる彼女は?」


夏奈は俺の後ろにいたシルヴィアに目線が行ってるのがわかって、俺はすぐに答えた。


「あぁ、彼女の件についてもこれから話すから、先に部屋のほうへ行ってからでいいか?」


「わかったわ。付いて来て。」


俺は夏奈に頼んで部屋に案内をしてもらって、奥の空いてた部屋に入ってから話す形になった。


「もう単刀直入に言うけど、照。お前があの時言ってた異能って言って出した炎は異能じゃないんだろう?」


「え!? な、なに言ってるんだよ零ちゃん。そんな訳ないでしょ。」


「はぐらかしても無駄だっての。俺もお前と同じなんだから。」


「……え?」


照は目を点にして俺を見てきて、横で聞いてた皇も驚いていたのが分かって、どうやら皇も照の力について知ってるようだし、一気に全部話していくとするか。


「零ちゃん、同じって……まさか。」


「俺もお前と同じ魔法が使えるんだよ。なんせ俺は6代目勇者なんだからな。」


「「なっ……!?」」


二人は俺が勇者である事を言った瞬間、周りにいた真莉亜たちを見回した。


「大丈夫だ。ここにいるみんなは俺が勇者だって事は知ってるぜ。もちろん、コイツもな。」


俺はシルヴィアの頭を撫でて答えると、照は今まで見せた事がないくらいに驚いた顔をしていた。

すると夏奈が俺にシルヴィアの事でまた聞いてきた。


「白崎君、その子って白崎君とはどんな関係なの?」


「こいつは俺が異世界にいた時の妹弟子だよ。名前はシルヴィアだ。」


「その子って、白崎君の妹弟子だったんだ。」


「あぁ。実力からしたら、恐らく桜姉たちに引けないくらい強いと思うぜ。」


「嘘でしょ…?」


夏奈はシルヴィアを見て驚いていて、真莉亜も桜姉の実力を知ってるから焦った顔をしてシルヴィアの顔を見ていた。


「話が脱線したけど、俺は照の力の正体を知ってるから。正直に話してくれ。」


「………」


「照ちゃん…もう……」


「……うん、そうだね。わかったよ零ちゃん、全部話すよ。その代わり、今から話すのは本当の事だから、絶対に笑わないでね。」


「わかった。約束するよ。」


俺は照に言われて絶対笑わないと誓ったところで、照は何度か深呼吸を繰り返して、あの時と同じように真剣な眼差しで話をしてきた。


「私ってね、こう見えて前世の記憶を持ってるの。」


「前世というと、今の自分じゃなくて前の自分って事なの?」


「うん。私の前世は、異世界の神様だったんだよ。」


「……ん、神様?」


俺は照が異世界の神様ってワードを聞いて、ふとティファニスさんとクロノア様と話していたあの時の事を思い出していた。


確かあの(ひと)たちが言ってた推測が正しければ、転生している可能性があるって言ってよな。

……まさか?


俺はあの二柱(ふたり)から聞いた事と似たような感じに見えてしまい、恥を掻くかもしれないけど念のために照に聞いてみる事にした。


「…なぁ、照……一つ聞いていいか?」


「いいよ。どうせそんなの作り話とか思ってるけど、本当の事なのよ。」


「いやそうじゃなくて、お前の前世の名前だけど、優越神フォルトナって名前じゃねぇよな?」


さぁどっちだろうなぁ…―――――俺が恥を掻くか、それともあっさりと探していた女神を見つけたか、果たしてどっちだ!


「――――――何で知ってるの…!?」


当たってた――――――――!!

ティファニスさん、探していた女神さん見つかりましたよ! しかも俺の従姉妹でしたよ!!


やべぇどうしよう……あっさり見つかってしまってこの後どうすればいいかな……

いやまだ待て、まだ本人の了承を貰わないといけないのと、優越神だったこいつの事情を聴かない限り次の行動が出せないからな。

ここは慎重に事を進めていこう。


「実は俺の召喚の時からずっと世話になってたティファニスさんと、最近知り合った時空神クロノア様の二柱(ふたり)から聞いた話でな、お前が話してた事が一緒だったから聞いてみたんだよ。」


「そう……ティファニスとクロノアが…」


照改め、優越神フォルトナは懐かしそうな感じでもあって、悲しそうな感じに見えた表情で俯きながらその二柱の女神の名前を言った。


「なぁ照、お前の前世を聴いてもいいか? 俺も何でお前が神界から姿を消したのかが気になってたんだ。」


「――――零ちゃんは、前世で私がやった事件を知ってる?」


「あぁ、転生のミスで大きな罪を犯した事は聞いてるよ。」


「私ね、あれが起きてから頭がどうにかなってしまいそうになったの。今まで完璧にやってきた事が、たった一つの大きなミスで壊れてしまったんだよ。」


「だからお前は周りに言葉を聞き入れないで、自分のやった責任を自分だけ償うかのように、神格を置いて転生をしたんだな。」


「……うん。」


成程、つまりフォルトナ(こいつ)は今まで完璧にこなしていた分、ミスをして大きく心が傷ついてしまい、さらに責任感が強いが故に転生して罪を償おうとしたって事か。

要は豆腐メンタルだったから誰も声が聞こえなくなっただけで、誰の励ましも聞こえてなかったのかよ。


「今でも彼女は私を恨んでいると思うし、いっそあのまま殺されに行った方が良かったんじゃないかって思ってるの。」


「まぁ前ならそうだったかもしれないけど、今なら多分素直に謝れば許してくれると思うぞ。」


「……何でそんな事が言えるの?」


「だってその彼女、ここにいるし。」


「「えっ?」」


俺が真莉亜の方を指さして教えると、複雑そうな顔をしていた真莉亜が二人を見ていた。


「もしかして…杏南(あんな)ちゃんなの…?」


「えっと、今は神崎真莉亜って名前だけど、本人で合ってるよ。」


照が“杏南”って名前で言ったのは、多分真莉亜の前の名前なんだろうな。

しかし自分で教えてやったのに言うのもなんだけど、これって簡単に教えてよかったのかな。(遅すぎる自覚)


……ま、いいか。(まさに悪魔)


「杏南ちゃん……ううん、真莉亜ちゃんは、私の事を恨んでるの?」


「昔だったら恨んでたけど、今は何も恨んでないわ。だってもし魔王として転生してなかったら、零君と出会う事なんてなかったと思うし、今の自分なんていなかったから、もう自分を責めないでください。」


「ま、真莉亜ちゃ―――ん……」


照は泣きながら真莉亜に抱きついて、真莉亜も多少驚いてたけど、優しい顔をして抱き締め返して、前に俺と真莉亜が保健室でやった仲直りの仕方と同じ形で仲直りのハグをした。


「皇、一応確認するけど、お前も照と同じなのか?」


「うん。私の前世はこの人の神徒をやってたの。私はずっとこの人の横で見てきていたから、どうしても一人にさせたくなかったの。」


「そしてお前も、照と同じように転生を行ったんだな。」


「うん。」


皇は今目の前で二人が抱き合っているのに対して、安心した表情で見ていた。


「よかったな。(あいつ)の呪いがなくなって。」


「うん。本当に良かった。」


自分の主人である照がようやく呪いから解放されて嬉しかったのか、感極まってもらい泣きをしていた。

俺はそれを見て、三人に少しだけ話す時間を作ってあげようと思って、夏奈とシルヴィアにアイコンタクトをして、それに気付いた二人は俺と一緒に立ってから部屋を後にした。


「しばらくは三人で話をさせてあげた方がよさそうだな。」


「そうね。それにしても、白崎くんや真莉亜ちゃんだけじゃなくて、まさか彼女も神様だなんて思いもよらなかった。」


「それは俺も同じだよ。最近その話を聞いて、俺も一緒に探しますって言ってからすぐに見つかるなんて思いもよらなかったよ。」


「灯台下暗しなんて、まさにこの事を云うんだね。」


夏奈の言う通り、今の現状に似合う言葉だと思うし、昔の人はよくこんな言葉を作ったなって改めて感心してしまったよ。

さてと、果たして本人はティファニスさんたちに逢いに行くのか、それとも今は逢わないでいずれ逢うって感じにするのか、どうするんだろうな。


「お兄様、この後はどうするの?」


「そうだな……今日はもう異能者狩りはしなくてもいいし、今日から明後日まで“夢の世界(シープ・ワールド)”に籠って、特訓でもしていこうかなって考えてる。」


「また特訓するの?」


「あぁ。今の体にも早めに慣らしておきたいし、どうしてもアレ(・・)を完成しておきたいんだよ。もうイメージはできてるからな。」


俺がアレって言ってるのは、異世界にいた時から唯一ずっと未完成で終わっていた技で、かつての俺じゃあそれは完成できなかったけど、今の俺なら完成できそうな感じに見えるし、色欲との戦いまでには完成させておきたいからな。


まぁ本音は疲れただけで、もう一人の協力者を探すのがめんどくなったからだけどな。


「白崎君があそこで組手をやるなら、私も香織も一緒にしようかな。」


「お前も一緒に来るのか?」


「うん。香織は学校だからもうすぐ帰って来るだろうし、帰ってきたら一緒に付いて行くね。」


「いいけど、無茶はするなよ。」


「う…うん。」


俺は夏奈の頭を撫でて言うと、夏奈は顔を真っ赤にしながらも頷いていて、それを見ていたシルヴィアが俺の横に立って、無言で頭なでなでを要求してきた。


「はいはい、シルヴィアも俺の組手に付き合ってくれよ。」


「うん♪」


シルヴィアは嬉しそうに頷いて、しばらくは二人の頭を撫でで待つ事にした。

それから外が暗くなって、神社に明かりが灯り出した時に香織ちゃんが学校から帰って来て、夏奈から一緒に“夢の世界”に行かないかって誘ったけど、香織ちゃんは今日は辞めておくと言って断って、仕方なから夏奈だけを連れていく事になった。


香織ちゃんが自分の部屋に行ってからすぐに後ろの障子が開いて、三人が一緒に外に出てきた。


「蟠りは解けたか?」


「うん。ごめんね、邪魔しないように外に出てくれて。」


「気にせんでいいぞ。それよりもこの後、夏奈も一緒に“夢の世界”に行って特訓をしようと思うけど、お前はどうするんだ?」


「私は行こうかな。二人はどうする?」


「私は言ってみようかな。ティファニスから貰った零ちゃんの報酬が気になるしね。」


「でしたら私は残りましょうか。聞いてた感じ、香織ちゃんは行かなさそうなので。」


「分かった。それじゃあ香織ちゃんと皇以外で行くとするか。」


俺は目の前に扉を出して、“夢の世界”に早速向かって特訓の準備に取り掛かった。

春は好きです。

暖かいから寝てしまうから。

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