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瑠璃光の復讐者(リベンジャー)~両親を悪徳貴族に殺され、妹と生き別れになった僕。運命の出会いをした美少女と共に機械巨人を駆り、世界を救う!~  作者: GOM
 第二部 僕は世界を救いたい。

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第20話(累計 第66話) カレリアの顛末、そして僕の誓い。

「お姉ちゃん達、待ってよぉ」


「こっちだよぉ、ラザーリさん」

「リリちゃん、そっちは危ないよぉ。はいはい、こっちなの。ラザーリさん」


「良かったですわね、ラザーリ様。今日は沢山の女の子が遊んでくれてて」

「うん、ママぁ」


 伯爵公邸の中庭。

 今日は、リリだけでなくナオミも一緒に、戦いで精神崩壊し幼児化してしまったラザーリと遊んでいる。


 ……伯爵様は公務が忙しくて、今日は居ない。リリと遊べるのを楽しみにしていたらしく、残念そうな顔をしていたんだ。


 かつて、自分を奴隷として弄んでいたラザーリを許したナオミ。


「こうなったら可哀そうなの。わたし、お兄ちゃんに出会えたから、もう過去は気にしていないよ」


 そう言って、ナオミはラザーリ、そしてカレリアの人々の事を全て許した。

 僕自身、かつては横暴な貴族達に対し怒りを覚え、両親の仇を残酷に殺した事もある。

 しかし、今は殺すまでも無く、正式な裁判の元で裁くことを望んでいる。

 死罪になれば被害者の怒りは幾分消え去るだろうが、彼らにも家族があり、事情があった。

 なら、生き恥を晒してもらったうえで、罪を償うべき。


 ……僕もナオミも、すっかりリリに『毒され』ちゃったのかな。つい、可愛そうになって許しちゃうんだよね。


「まったく甘いったらしょうがありませんですの、リリちゃんもナオミちゃんも。トシ同様にお砂糖一杯の紅茶みたいですわ」


 そう言いつつも、どこか嬉しそうな顔で茶を呑むエヴァさん。

 彼女も、リリによって心を救われた。

 そしてマスターを殺した僕を許してくれた。


「うふふ、ラザーリ様。すっかりご機嫌ですわね」

「うん、ママ。だって綺麗なお姉ちゃんたちがいっぱい一緒に遊んでくれるんだもん」


 レダさんも、慈愛の表情でラザーリと戯れる妹たちを眺める。


 ……ラザーリさん、正気に戻るのと今の状態。どっちが幸せなのかな? 罪と向き合うのは大変だから、これは神の慈悲なのか?


 ラザーリ、彼の過去を僕はレダさん経由で聞いた。


 彼はカレリアの裕福な豪商の息子として生まれた。

 家庭を(かえり)みない上に浮気をする父親に愛想を切らした母親は、ラザーリが幼いうちに何処かに消えた。


 母親似だったラザーリに父親は過酷な仕打ちを行い、思い通りにならないと最後には資産の一部を与えて家から追い出した。


 その後も、ラザーリの周辺には彼の持つ資産を狙って大人達が近づいてくる。


 ……大人の汚い面ばかり見過ぎて、壊れたラザーリさんは清い子供に希望を持った訳か。そして汚い大人の筆頭が支配階級たる貴族だったと。


 ラザーリは同じく貴族に不満を持つ者たちを集め、資金を使って作り上げたのが、カレリア民主労働党。

 後は党首として矢面に立ち、数々の名演説で市民の人気を得た。


「我々は新しい理想郷を建設しています。もう古い形の国は必要ありません。全て新しく清い社会にすべきなのです。かつての汚い社会の象徴たる貴族も貨幣も必要無いのです。新たなる社会形成を邪魔する者は全て敵です。親であろうとも社会の敵であれば密告をし、懲罰を与えなくてならないのです。過去を振り返らず、笑って新たなる社会を作りましょう」


 その末路がカレリアで行われた原始共産主義。

 貴族や彼らに従っていた大人達を全て粛清抹殺。

 この中には、ラザーリ自身の父親も含まれていたらしい。


 多くの技術や教育が失われ、何も知らない子供たちが運営する街。

 そんなカレリアが崩壊を迎えるのは時間の問題。

 子供を大事にするはずが、子供を輸出するという本末転倒から今回の破滅を迎えた訳だ。


「トシ様、そして伯爵様。貴方がたには、どう感謝しても感謝しきれません。わたくしが愛したラザーリ様が、このように笑顔でいられるのは皆さまのおかげですわ」


「いえいえ。これも偶然ですし、アホ娘リリのワガママが切っ掛けですので」


「あー。おにーちゃん。また、わたしの事をアホって言ったのぉ!」


 リリの怒り顔に、うふふと笑うレダさん。

 彼女にも思いや事情があり、僕らの敵に回った。

 しかし、最終的には自分達を切り捨てたノルニルには帰らない事を決めた。


「プロトお姉さまは、とても非情なお方です。エヴァちゃんの事を知っていてもワザと放置なさっていましたし、これまでも歴史の裏で暗躍していました。お姉さまは、絶えず人類のパワーバランスを保とうとしています。その為に、次は強い『力』を持たれたトシ様を直接狙ってくると思いますの」


「でしょうね、レダさん。神話級ギガス、そして二人、いやレダさんを加えれば三人の美しき女神を、僕は保有してしまいました。おそらく、共和国や貴族連合以上の力を、僕は個人で所有してしまったんです」


 向こうでは、さっきまで馬鹿にされたと怒っていたリリが「美しい女神……。おにーちゃんたら、恥ずかしいのぉ」と顔を真っ赤にしているが、今は放置しよう。


 ……リリとエヴァさんを乗せたヴィロー。最大パワーを手加減なしに使うなら、街どころか大陸一つを焼き払う事すら可能だからね。


「トシ様。わたくし、妹たちに危害を与える事は今も出来ません。しかし、このままプロトお姉さまが暴走して人々を傷つけるのを放置もできませんですの。プロトお姉さまを止めてくださいませんか? わたくしに出来ますことは、妹たちを害する以外は何でも致します」


「僕もレダさんに、これ以上の無理は言いません。頂いた情報自身は正確でしたし、貴方には大事なラザーリさんもいらっしゃいますからね」


 レダさんから、彼女が育った施設の事を聞いた僕ら。

 そこにいるであろう(量産型)たちには罪が無いから、絶対に傷つけないという約束の元で、調査隊の派遣を共和国に依頼した。


 しかし、その場所『ゆりかご』は先に貴族連合によって荒らされていた。


 ……カレリアには、『ゆりかご』から派遣されていたリリの妹たちが居たけど、全員僕たちが査察に入る前に逃げてたんだ。その時、リリをイヤらしい眼で見ていた人事委員長も一緒に逃げて、今も行方不明なんだよね。


 ただ、貴族連合も酷い被害を受けていたようで、共和国の調査隊は彼らの遺体だけを発見している。


 ……トラップでほぼ壊滅してた上に、ギガスらしき物によって殲滅されていたんだ。結局、何も手掛かりは無し。ここに、ノルニルの施設があった事は確かだったんだけど。


「プロトお姉さまは、何かを抱えています。その美しい能面の裏側に、人類に対する強い怒りを抱えていらっしゃる様な気がしますわ。人類、ヒトに対してわたくし達ノルニルは上位種であって、彼らに従う必要はないといつも言ってましたから」


 膝枕の上で幼い笑みを湛え、遊び疲れて眠るラザーリの顔を、慈母の表情で撫でるレダさん。

 リリ、エヴァさん、ナオミも、その様子を優しい笑顔で見守る。


「分かりました。僕がプロトさんを止めて、誰もが笑顔で暮らせる世界を目指します」


 僕は、目前の幸せを世界中に広げたいと思った。

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