第15話(累計 第61話) 雷帝の出陣。
「トシ殿。話は既に聞いているとは思うが、例の雷撃を使う神話級ギガス。ここ数日、貴族連合の都市を襲いまくっていたが、その際に上空を舞う姿を目撃をされたそうだ。赤褐色で四本腕だとか」
「今度もイシュヴァーラ同様に空を飛ぶ神話級ギガスですか。重力制御魔法とかを使う遠距離攻撃タイプでしょう。間合いにさえ入れれば、今のヴィローの敵では無いですが、転移魔法などで突如襲われては迎撃も間に合わないですね。どう対処すべきか……」
最近のラウド。
連日の話題は、今日は何処の街が襲われたとかだ。
貴族連合のカレリア制圧部隊が全滅した数日後から開始された空爆。
それは深夜、いきなり貴族連合内の都市上空に現れては数発の雷撃を街中に落としていた。
突然の攻撃に、さしもの貴族連合や秘密結社「ラハーシャ」も対応不能。
攻撃を行ったギガスがカレリアの手の物と判断したらしく、もうカレリアに手出しをする者は、貴族連合にはない。
対抗策がない以上、このまま嵐が過ぎ去るるを待つつもりらしい。
……僕も偵察飛行で被害地を見てきたけど、酷い有様。ヴィローが都市上空を飛んでも対応されないくらい被害が酷い。今の貴族連合には神話級機体は無いし。けど、あれじゃ、どれだけの人が死んだか……。街中に住む人は、大半が貴族とは無関係なのに。
「じゃが、今度は共和国から査察部隊がカレリアへ送られる事が決定した。これまでの異常事案が多く重なり過ぎて、もはや止められないというのは、共和国の士官殿から聞いた話じゃ。カレリアからワイロとして子供を貰っていた者は、皆辞職に追い込まれたとと聞くぞ」
……子供を喰い物にするのは、誰でも許せない! 共和国も絶対の正義じゃないのは、僕も知っていたけど。
最近は、共和国からの情報も積極的に集めている伯爵様。
自分から貴族連合側の情報を流すと同時に行う事で、全ての情報が手に入る。
今の世界、情報を手に入れるかどうかは大事。
事前に敵の手の内を知れば対応も楽になるのだ。
……商売でも戦いでも、敵と己を共に知るのは大事だよね。
「そういうことで、トシ殿に新たなミッションを与える。これより共和国カレリア査察部隊の護衛任務を頼む。実際、共和国側からも依頼が来ておるのじゃ」
「御意。任務、謹んで受けたまわります。積極的防衛ですね。おそらく、次に狙うはここ、ラウドか、共和国の査察部隊でしょうし」
「うむ。今のところ、カレリアからはヴィロー殿の動向を聞いてくるばかり。ナオミちゃんの強奪が恐ろしかったのか、水生成魔導具の代金は支払わぬとだけ、言っておる」
今までは敵の動きが見えなかった。
何処を襲うかが分からなかった。
しかし、今度は確実に狙うターゲットが分かっている。
「えっとね。つまりその雷神さんは、今度はラウドじゃなくて共和国の査察部隊さんを襲うってことなの?」
「たぶんね、リリちゃん。伯爵様。わたし達も同行し、確実に敵を殲滅しますわ」
リリもエヴァさんも、かなり乗り気。
……けど、多分リリの妹か姉が多分乗っているんだろ?
「エヴァさん。ご提案はありがたいですが、敵のギガス。神話級である以上、貴方やリリの姉妹が乗っているのではないですか? この間、カレリアに姉妹がいたと話していましたし」
「そこは納得済みよ、トシ。倒さなければ、殺されるのはコッチ。とりあえず、コクピット外して達磨にしちゃえば、なんとかなるでしょ? トシとヴィローなら出来るわ」
「うん。おにーちゃんなら絶対に勝てるし、わたしの姉妹も必ず助けてくれるの!」
「ああ、そこは頑張ってみるよ」
リリにはなんとかするとは言ったものの、おそらくカレリアにいるリリと同型、ノルニアの姉妹は僕たちに敵対の意思がある。
おそらくではあるが、神話級機体もノルニアをカレリアに送って来た組織からのものだろう。
……あんな機体が最初からあるなら、使っていただろうし。元々のカレリア領主はB級ギガスを駆っていたというのは伯爵様も話していたね。
「では、三人とも。宜しく頼む。帰ってきたら、極上スイーツを準備しておくから、楽しみにしておくことじゃ、リリちゃん、エヴァちゃん」
「ありがと、アルおじちゃん」
「いつも、ありがとう存じますわ、伯爵様」
「了解です。では、ナオミの事をくれぐれも宜しくお願い致します」
僕らは新たなるミッションを受け、旅立ちの準備をした。
◆ ◇ ◆ ◇
「ラザーリ様。今度は共和国も襲うのですか?」
「ああ。今、当地に査察部隊が迫っている。カレリアの現状を見られれば、汚い大人共は子供たちを狙って制圧に来るだろう。それは絶対に許すわけにはいかない。なに、レダらノルニルの子らが居る限り、ボクは負けない」
今晩も出陣の準備をするラザーリ。
レダは、ラザーリの身を案じるも、今や彼にとってレダ以外は全て敵。
所属する共和国ですら撃退する相手だった。
「毎晩すまないね、レダ。ボクの乏しい魔力じゃデーヴェーンドラを起動する事は出来ない。キミにはいつも苦労をかけるよ」
「いえ。いつも申しておりますが、レダは絶対にラザーリ様の元を離れません」
ラザーリは格納庫に立つ、宝冠を被り赤褐色の装甲を持ち、四本腕の神話級ギガスを見上げる。
「さあ、行こう。ボクらの希望を叶えるために」
「はい、ラザーリ様」
整備をしていた量産型ノルニルの妹たちに見送られ、デーヴェーンドラは空に浮かぶ。
「デーヴェーンドラ、発進!」
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