61.ドラゴンさんは街を歩く
「ふむ、どう見ても、戦争が起こる前触れには見えんの」
「確かに殺伐とした様子が見られませんね」
スピアとともに街を一緒にしばらく歩いてみたが魔界で見られた。戦争前特有の殺伐とした空気が感じられん。
むしろ生き生きと活気のようなものが感じられる気がするし。本当に戦争なんて起こるんじゃろうか? もしや姉様のデマか?
精々、我ら二人を見てビクついては距離を取るくらいじゃし?
「といっても、あくまで我らが見て感じているだけじゃからの」
「確かに街には騎士の姿なども少ししか見られません」
スピアの言う通り街に居るのは騎士といった規則性のある装備を整えているものは少ない。むしろよく何で作っているのかすらわからん装備をしている冒険者の方が多く見られるというものじゃ。
そんな変わった装備ばかりしている冒険者の中でもスピアのビキニアーマーは群を抜いて変わっていて目立っているわけじゃが。
大体すれ違う連中の対バンはギョッと目を見開いて通り過ぎた後にイヤらしい視線を向けておるみたいじゃな。その後に我のデスベアーの着ぐるみを見ては顔を青くしてそそくさと離れて行きよるし。
「く、感知センサーがやたらと視線に反応してしまう」
「めちゃくちゃ視線集めとるからのう」
「いっその事クズを一人くらい見せしめで殺してしまいましょうか」
「あとあと面倒になるからやめておくのじゃ」
スピアの奴、機械族のくせに感情豊かじゃのう。さっきまでは羞恥じゃったのに今は殺意に切り替わっとるし。実際、止めなかったら絶対に殺そうとするんじゃろうな。惨たらしく報復を考えるなんて事が出来ないくらいに徹底的に。
そんな事をされたらこの街で遊…… 情報収集ができなくなってしまうでないか!
「となると次はもっと直接的に情報を収集するしかないのう」
「住人を一人拉致して拷問でもしますか?」
「物騒すぎじゃろ。それよりも情報を得るのに良い場所があるじゃろ?」
ダンジョンにやって来る冒険者。
あやつらはダンジョンのモニターで見ていたりしている限り冒険者ギルドとやらから依頼を受けたりしてきているようじゃからな。
そうなると街の何処かに冒険者ギルドとやらがあるということじゃろう。
「なるほど、ご主人。そこまで考えられていたとは。私、とても感心しました」
スピアの奴が我を見る眼に尊敬の色を浮かべておる。
なんか初めて尊敬されてるような気がするのう。いつもゴミを見てくるような目で見てくるし。
「私はてっきりご主人は街で遊びたいから来ていると思ってましたがそうではなかったのですね」
「……我だって少しは考えとるのじゃ」
危ない、めちゃくちゃ我の内心を理解されとる。バレんようにせんとせっかく尊敬されたというのに再び評価が下がりかねん。
我がちゃんと考えているのは連中は意外と情報通だと異世界の漫画に書いてあったからの! まあ、普通に考えればこんなモンスターがいる世界なわけじゃし、情報って大事じゃしな。
得た知識をちゃんと活用できたというものじゃな。漫画じゃけど。
「向かうのはこの街の冒険者ギルドじゃ」
絶対にトラブルに巻き込まれそうじゃがな! ワクワクしちゃうな!




