60.ドラゴンさん街に行く
「うむ、ここが我がダンジョンから一番近い街じゃな」
「そ、そうですね」
DPカタログからめぼしい服を購入した我は機嫌よく新たに手に入れた服を着込み、同じくGPカタログで冒険者ぽい服を購入し、着用させたスピアを連れてダンジョンから一番近い街へとやってきたのじゃった。
もちろん、我はドラゴンの姿ではなく、人の姿でじゃが。
ドラゴンの姿できて、人を驚かすのも楽しかったかもしれんがのう。というかヘルガの付けた首輪のせいでドラゴンの姿に戻れんし。
「魔界から人間界に来てからはダンジョンにこもりっぱなしであったが故に街などに行った事はなかったが、存外賑わっているものじゃな」
街に入ったばかりじゃが、通りを歩いて居るだけでも、活気があるのはよくわかる。そこら中で呼び込みのようなものが見られ、街の大通りには武器を背負ったり手にした冒険者らしき姿も見られるしの。
あれらの冒険者が我の作ったダンジョンに向かっているとするのであれば、まさにウハウハと言うものじゃな。
そして、今の我らはまさに見た感じ、冒険者といった形をしておるじゃろう。ドラゴンの我には必要は無いが裸でもなくいつも着ているようなローブでもない。まさに冒険者と言っていい服じゃな!そしてスピアにも冒険者の服を着せておるからどこからどう見ても、冒険者の2人組にしか見えまいて!
そのはずなんじゃが……
めちゃくちゃ視線を感じるんじゃがなぜじゃ?
「なんかやたらと注目されておるの。特にスピア、お主の方よく見られとらんか?」
「…… 当たり前でしょう。このダメご主人が」
なんかめちゃくちゃ怒っとるんじゃが。そんでもってめちゃくちゃ殺意が籠った視線を感じるんじゃが⁉︎
「何が問題なんじゃ? あ、あれか! 我等がここらでは珍しいとか?は! もしかして我等がとんでもなく美少女だからか⁉︎」
「いえ、私達が美少女なのは認めますが機械族も珍しくはありますが人の前に姿を見せることもありますし、ご主人もドラゴンが人化してるとは誰も思わないでしょうが尻尾がありますからね。精々ドラゴンを先祖に持つドラゴノイドと勘違いされる程度です! 普通ならね!」
あ、美少女なのは認めるんじゃね。
あとめっちゃ早口じゃな。
「だったら何が問題なのじゃ?」
「ゴミご主人が着せた私の服とゴミご主人の服のせいです!」
スピアはいつもの無表情ではなく、顔を羞恥に真っ赤に染めながら怒鳴った。
我が買った服に何か問題が?
「この見た感じからして娼婦と勘違いされそうな服装に決まっています!」
スピアの奴に我が着せておるのは真っ赤な下着のような鎧、いわゆるビキニアーマーと呼ばれるものじゃ。色の白いスピアには真っ黒なビキニアーマーは映えるのう!やはり数々の人形を愛でてきた我の審美眼に狂いはなかっと断言できるものじゃ!
「?冒険者なりきりセットの所で一番売れてると書かれとったやつじゃから買ったんじゃが何か問題があるのか?」
「大有りです!なんなんですかこの防具といいながら防御力のかけらもないような装備は!裸と変わり内ではありません⁉︎」
「それは我も思った」
なんせ腹とか剥き出しじゃからな。めちゃくちゃ腹筋を鍛えとるとか身体がドラゴン並に硬くないといかん気がする。いやそもそもドラゴン並みに硬かったら防具なんていらんじゃろうし。そして一番の疑問はなんでこんな下着みたな見た目のくせにアーマーなんじゃろうな?鎧じゃないのに。
「それになんなんですか! このゴツい首輪!」
スピアが更に怒鳴りながら、首元にはまる無骨で大きな首輪を指差しながら叫ぶ。多分、鉄製?
「それは経験値効率を上げるとかいう育成の首輪じゃ! セットで買ったら付いてきたんじゃ」
「セットで付いてきたからって装備させます?普通?」
付けといたのはスピアじゃがな。だがせっかく装備できるなら装備したほうがいいじゃろうに。首輪、我とお揃いじゃぞ。
「なら我のと交換するか?我ならそのビキニアーマーでも問題ないぞ?」
「なんで私がクマの着ぐるみを着ないといけないんですか!」
我が親切心からそう告げるとスピアの視線が我の身体を上から下まで見るように動いた。
我が着ているのは冒険者の新コーデとか書かれていたデスベアーと呼ばれるモンスターの着ぐるみじゃ。
めちゃくちゃリアルな着ぐるみで手についてる爪なんて凄いリアリティじゃぞ。
「何か問題があるのか?」
全く問題がわからない我は首を傾げながらスピアを見る。
そんなスピアはというと疲れた様子で、そして深々とため息を吐いた。
「……どう考えても犯罪の香りしかしないじゃないです。それにそんな形のご主人にこのビキニアーマーと首をなんか付けたら私が何か如何わしい事に使う奴隷を連れてると勘違いされてしまいます!」
「むしろ我はそのビキニアーマーの方がらくでよさそうなんじやが……」
結局、スピアの奴は顔を赤くして文句を言いながらもビキニアーマーを着続けたのじゃった。




