46.使い魔さんは初めから『ドジ』る
「……ろ」
なんか声が聞こえるんじゃが眠い。
眠いから動きたくないんじゃよ。
「……きろ」
うっさいのぅ。我は眠いと言っとるんじゃ! 体を揺するようにしてきた手を振り払って寝ようとする。
「起きろ、ご主人!」
「ごぶぅ⁉︎」
顔面をいきなり衝撃が襲ってきた。
痛くはないんじゃが衝撃にかなりびっくりしたんじゃ!
「なんじゃ⁉︎」
「おはようございます。クズ」
「寝起きからいきなり暴言を吐かれたんじゃが⁉︎」
殴られたらしい顔面をさすりベッドから起き上がるとあれ? 我がキャラメイクした使い魔が目の前にいるんじゃが? 我はまだ作ってないはずなんじゃが……
眼前にいるのは真紅の短い髪に、機械族の特徴である切長の金の瞳にしか見えんカメラ。そして機械族とは思えんほどの白い肌に白い手袋にオートチュクールのメイド服という我が設定した通りの姿じゃな。
「ようやく起きましたねクズ」
「お主、我の作った使い魔じゃよな?」
我、キャラメイク終了ボタン押した記憶がないんじゃがな。もしかして、寝返りを打った時に当たったのか⁉︎ 慌ててDPカタログを見ればマイナス150万という表記が……
やばい、やっちまった感が半端ない!
「ハイ、マス……クズに作られた機械族メイドでございます」
「言い直したが明らかに悪口!」
「ちっ」
「舌打ちまで⁉︎」
確かにデメリットスキルで『毒舌』って取っておったが凄まじく口が悪い。
そんなに酷くないかと思ったんじゃが結構酷い。これ他のデメリットスキルとかどうなるんじゃろうか?
「よし、とりあえずは名前じゃな」
使い魔としては創ったわけなんじゃが、名前がまだ付けられておらんからまだ繋がりが無いんじゃよな。
いや、無くても機械族じゃから魔力を動力源にして一人で動きそうなんじゃがな。
「ふむ、スピアとかどうじゃ?」
「貫かれたいと?」
「誰が痛い思いをしたいと⁉︎」
なんで名前を付けようとするだけで貫かれる話になるんじゃ⁉︎
とりあえずはスピアという名前を気に入ったかどうかわからないじゃが、なんか繋がりができた感じじゃな。
「当面お世話をいたします。クズ」
「なあ、世話する気ある?」
「とりあえずはこのダンジョンの現状把握から開始します」
我の質問は無視してスピアの奴はモニタールームへと向かい出した。あれ、なんでこやつはモニタールームの場所がわかっとるんじゃ?
「クズが寝ている間に周囲のマッピングは完了しています」
「口は悪いが優秀じゃな」
時間を無駄にせんのは素晴らしいのう。
「では行き……」
返事が返ってきたのでスピアについて行こうとしたら目の前のスピアがいきなり天地がひっくり返るように回転、瞬時に頭が地面の方に向き、そのまま滑っていくというよくわからない転け方をしよった。
「く、足払いとは卑怯な!」
「え、なんで⁉︎」
起き上がりながら打ち付けたらしい鼻を押さえ、四つん這いの状態で顔だけ我の方に向けてきたスピアは何故か恨み言を睨みながら言ってきた。
なんで、我が疑われてるの⁉︎
我、結構離れていたよね? あ、『ドジ』の効果か。




