44.ドラゴンさんは事態の深刻さを理解する
「ふむ、こうやって改めて見ると深刻じゃ」
我はモニタールームでソファーに座りながらダンジョン内で異常を示す警告音が鳴り響いているのを確認しながら若干冷や汗をかいていた。
ちなみにじゃがヘルガを寝かせてからまだ三十分くらいしか経っておらん。
そんな僅かな間にダンジョン内は異常事態ばかりじゃった。
「第一階層はゴブリンが激減しておるが場所によってはゴブリンや冒険者が無双しとるし、第二階層は第一階層のゴブリンが死に過ぎたせいで出た大量の死体のせいでアンデット系が大量発生しとるし、共喰いまでしとる。第三階層は魔剣を装備したモンスター化した鎧が手当たり次第に暴れまくっとる。あ、第一階層の罠までフリーズしよった!」
え、こんなほっといたらすぐに異常が出るような環境なのか? これを一人で管理しておったのかヘルガの奴……
こんなもん一人で細かく制御できるわけないじゃろが!
そりゃ虚な目をするわけじゃ!
「人手が足りん。とりあえずタマを呼んで第一階層から順に制圧じゃな」
なんで我のダンジョンなのに制圧せねばならんのじゃ?
まあ、やるのはタマじゃが。
しかし、タマを制圧に動かしても問題の一時的な先送りにしかならんな。ヘルガが復活してもこんな状態なら使い減りしない勇者族でも死ねる。肉体的にじゃなくて精神的にな。
使い魔のヘルガにとってはダンジョンとは職場。その職場が悪魔も真っ青なブラックな環境なわけじゃから早急に改善せねば!
これも上司の役目じゃよな!
なに? 今まで任せっきりにしてたのは誰だと? 知らんな!
「うむ、とりあえずは肉体労働担当と頭脳労働担当を増やすべきじゃな」
「くま⁉︎」
なんかタマが僕がいるじゃない! みたいな驚いた顔をしとるがこやつ、頭が悪そうじゃしなぁ。
肉体労働担当の中でも簡単なことしかできんし。
この前もゴブリンの数を減らして、倒したら魔石を回収してくるように言ったのにゴブリンを倒すのに夢中で魔石を全く取ってこなかったからな。
一個教えたら前に教えたことを忘れるタイプなんじゃよな。じゃからダンジョン運営にはまともに使えん。
「DPカタログから喚び出すのがいいんじゃろうな」
DPガチャで喚び出すのも考えたんじゃが運に任せるところが多すぎる。ヘルガ程運が悪いわけではないんじゃが、そんなところでリスクを背負う必要はないじゃろうな。
「会話できんと困るし、頭も多少回ってもらわんといかんし。となると自分でいじった方がよさそうじゃな」
DPカタログを広げて使い魔を作り出すページを開く。
そこには素体の情報や付けれるオプション、さらにステータスを弄れたりする。さらには外見もいじれるからこそダンジョンマスターの性癖が滲み出るわけなんじゃがな。
まあ、弄ればいじるほど消費するDPの量はとんでもない量になるからそう簡単には作れないんじゃよな。
「作るとなると我の理想を詰め込みたいからのう!」
作るなら理想を追い求めるべきじゃよな。
そのためなら借金しても割は構わない!
どうせ借金しとるわけじゃからな。借金ができる間に環境を整えておくべきじゃろう。
「最悪、クーファ姉上頭を下げるしか……」
我にはフィンブルス姉様の他にもう一人姉がおる。その名もクーファという。
フィンブルス姉様と同様にメチャクチャに強いわけなんじゃが性格はまだフィンブルス姉様よりは温厚じゃからな。
「とりあえずは使い魔を作ってみてからじゃな」
あ、タマに適当に冒険者蹴散らしとくように言っとくか。
「タマよ、これよりお主には第一階層でこっそり殺ってもらうぞ」
「くま!」
「派手にやらずに見つからないように冒険者をアサシンしとくのじゃ。ついでに調子に乗ってるゴブリンもアサシンしとけ」
「くま!」
了解と返事をしたような気がするタマを見送り、都合の悪いことを後回しにしながら我は理想の使い魔を作るべくカタログをいじるのじゃった。




