40.ドラゴンさん家は繁盛する
「のう」
「はい」
「これは予想通りなのか?」
「いえ、予想以上です」
驚愕の顔を浮かべながら我とヘルガが見ているダンジョン入り口部分が映されたモニターには大量の冒険者がダンジョンに入ろうとする姿が映されていた。
今まで閑散としていたのが嘘みたいな光景じゃな。
「魔剣ってそんなにレアなのかのう」
「どうなんでしょう」
マルコシアスが置いていった冊子に書かれていた人間界で人気と言われる魔剣。
ダンジョンの目玉として作ってみたわけなんじゃがそれが上手くいったらしい。
というか魔剣作りも予想より簡単に出来てしまったからのう。
「あれ、力技ですよね?」
「まあ、のう」
なぜかヘルガに責めるような視線を向けられる。
魔剣とは魔力に侵蝕された剣を指すわけじゃ。ちなみに魔力に侵食された武装を総じて魔装と呼ぶ。
つまり、高密度の魔力に長時間さらされた武器は魔剣になり得る。しかし、時間がかかる。普通はそんな高密度の魔力が長時間安定してある空間なんてないからのう。
じゃが、ドラゴンである我ならそれが可能じゃったりする。
なにせ最強の生物と言われるドラゴンじゃからな! 魔力の塊みたいな物じゃ。
確か爺様の話では名剣を飲み込んで忘れた頃くらいに取り出したらとんでもない魔剣になってたとか聞いたことがあるしな。
ま、我はそんなことせんがな。この人間の体で剣なんか飲み込んだら多分、体の中で刺さるじゃろうしな。
じゃから姉様達から言わせたら邪道と言われる方法を使うことにしたわけじゃが。
「小部屋に武具を置いて我が全開の魔力を放出するだけじゃしな」
「一分くらいで魔剣が出来上がってましたよね」
唯の小部屋を作り、そこに武具を放り込む。そして我が中に入り密閉状態にして高密度のドラゴン魔力を放出して部屋を満たしてやればあら不思議。一分やそこらで魔力を帯びた魔装が出来上がるわけじゃ。
「たまに魔物化しておったがな」
「あれはやばいですよ。剣だと思って柄を握ろうとしたら切り掛かってきましたし」
ただ、全ての武具が魔装に変わるかというとそうでもない。
十個やれば出来て一個。他は全部モンスター化したりしておる。じゃから現在、我がダンジョンには武器や防具類の魔物がめちゃくちゃ増えた。モンスター化した武具は全部ダンジョンに放出しとるからな。
おかげでDPも多少入ってきたし、小部屋に魔物化した武具を置いとくわけにはいかんから第三回層を追加して迷路みたいにしてそこに放逐しておいた。
「ちなみにあれは姉様がやれば余程の名剣じゃない限り剣が耐え切れずに砕けるらしいぞ」
「ドラゴンとして半端なのが幸いでしたね」
「のぅ、それ、悪口じゃよな?」
我、半端じゃないもん!
しかし、姉様が怖いのはモンスター化しやすいのを逆手に取ってオリハルコンの武具をモンスター化させたて屈服させてゲボクにしたことじゃな。あのモンスターは姉様の下僕の中でもかなり上位の奴じゃったし。
我もいつか強くてかっこいい武具をモンスター化させて従えたいものじゃな。
「じゃが、どこから魔剣の話が漏れたんじゃ?」
魔剣化に成功したのはまだダンジョンから外には出していないはずじゃ。まとまった数が出来たらヘルガに街にでも持って行ってもらってダンジョンから見つかったとかいう嘘を街に流して人を呼び寄せる予定じゃったんじゃが。
「あれですよマスター、結構な数のナイフ型の魔剣を第一階層のゴブリンのとこに置いたでしょ?」
「あー、あの試作品のやつな」
ヘルガに言われて思い出した。
確かに魔装が作れるという事でいきなり長剣は勿体無いから実験でナイフを魔剣化してみたんじゃったな。
結果、成功したんじゃがナイフ型の魔剣なんて大した使い道もなさそうじゃしゴブリン共の所に放り込んどいたんじゃった。
「あれを巡ってゴブリン同士で殺し合いがありましたよ」
「え、ナイフじゃぞ?」
ただのナイフ型魔剣で殺し合いって頭がおかしいんじゃないかの?
いや、ゴブリンじゃしな。頭悪いし。
「いえ、あのナイフ型の魔剣、切れ味が尋常じゃないんですよ。岩くらいならスッパリと抵抗なく切れますし。それでその魔剣を持ったゴブリンが外に狩りにでたところを冒険者に討伐されて、そのゴブリン以外にも魔剣持ちのゴブリンがこの洞窟から出てくる所を目撃されたからです」
「たまに外でDPが増えておったのはそれでか」
たまに纏まった量のDPが入ってくることがあったんじゃが、それは多分ナイフ型魔剣を持ったゴブリンが冒険者を襲うなりしておったからなんじゃな。
「あとはマスターが以前立てた看板が冒険者を呼び込んでます」
「ああ、追い込み漁の時の……」
あの時は名案じゃと思ったが今考えればあれはない。じゃがあれでくるのかー




