35.商人さんは鼻血を流しながら現れる
「はぁ」
「マスター諦めてください」
椅子に座りテーブルに突っ伏し深々とため息を吐く我を淡々とした声をしたヘルガが咎める。
いや、お主のせいじゃよな? 我の今のため息の原因の八割はお主のオリハルコンのせいじゃからな?
ぐちぐちといらぬ事というか正論を考えていると魔力の揺らぎを感じ取った。
「来よったな」
遅れて魔力の揺らぎを感じ取ったらしいヘルガも僅かに体を強張らせながらもいつの間にか取り出した剣の柄を握っておる。
そんなヘルガが警戒する中、真っ黒な穴が唐突に現れる。
これはゲートと呼ばれる魔法で主に長距離の移動に魔界の住人が使う物じゃ。
そしてそのゲートから現れたの高そうな純白のスーツを着込んだ金髪の美形、マルコシアスだ。
マルコシアスはゲートを潜り姿を現すと深々と礼をしてきた。
「今回は商談のご依頼誠にありがとうございます。我が愛しの黒竜様! そのロリロリしい御姿! 眼福でございます!」
勢いよく顔を上げたマルコシアスの顔は興奮からか頬が赤く染まっておるし、目が爛爛と輝いておる。あと鼻息が荒い。
「ひぃ」
なんか興奮している様子のマルコシアスに気持ち悪さを感じ、我は椅子に座っているにも関わらず距離を取ろうと仰け反った。
視線が! 我の体を舐めるように向けられとるのじゃ!
このロリコン野郎が!
「き、気持ち悪い! 相変わらず気持ち悪いのじゃ!」
「褒め言葉ありがとうございます!」
「褒めとらんわ!」
はぁはぁと変態のような呼吸をし、鼻血を流しながら近づいてくるマルコシアスじゃが、こやつはこんなロリコン趣味をしていながら魔界でも上位の商会のトップ。いや、よく考えたら魔界の上にいる奴らは大体性癖が歪んどるような気がするんじゃが。
「マルコシアス様、今回はこちらからの依頼で来て頂いたのでは?」
我が一方的に怯えるだけで話が進まないと思ったらしいヘルガがさらに距離を詰めようとしてくるマルコシアスと我の間に身を滑らせて制止させる。
こうやって見ると出来る女に見えるんじゃがな。服装がパッとせんジャージじゃなければ。
「これはこれは、オリビア様のロリロリしさに思わず我を忘れてしまいました」
「ロリロリしいってなんなんじゃ……」
マルコシアスが鼻血を拭いながらよくわからん事をほざいとる。
「では名残惜しいですが仕事の話です。今回はお売りいただける品があるとか?」
「うむ、これじゃ」
我が異空間から以前回収した勇者連中の武器を取り出す。
聖女の杖やら魔法使いが使ってたロッド、更には戦士が使ってた大剣に勇者が使ってた剣、これはヘルガが叩き折ったがな。
その他、死んだ時に回収した防具とかじゃな。
「これらを買い取って欲しいんじゃ」
出来れば高値で売りたいのう。




