26.使い魔さんは頭を叩かれる
『カティ!』
『はい!ホーリーシールド!』
勇者にヘルガのイグニが叩きつけられそうになった瞬間、金髪の巨乳カティとやらが杖を振るい勇者の前に光の盾を作り上げた。
イグニの魔法はその光の盾へと直撃し、一瞬だけ進行を止める。
その一瞬の間に勇者達はイグニの射線から逃れるように動き、光の盾が消えた瞬間には安全圏へと移動しておった。
『ソラ、あれ人じゃね?』
『なに⁉︎ 巨乳か!』
『いや、人だよ。乳はない!』
『なら敵だ!』
赤い髪の女と勇者が駆けながらそんなことを言い合っておる。
なんじゃ勇者。乳がないと敵なのか?
ヘルガは確かにないが多分敵にすらならないぞ。
『〜っ!』
どうやらヘルガにもその声が聞こえたらしく剣の切先に再び火が灯る。炎が剣に発生し、周りを赤く染め上げておる。
明らかに怒りのせいでヘルガの奴も赤くなっとる。
再びイグニが剣から解き放たれ、地面。舐めるように疾る。
しかし、今度は勇者共は危なげなく躱す。フェイントもなくただ撃っただけじゃしな。じゃが勇者の周りにいたゴブリンやスケルトンは躱すことなどできずにあっさりと燃え尽きた。
『あの炎やべえ! 多分かすったら死ぬ』
『……見ればわかる』
勇者が焦ったような声を出すのとは対照的にとんがり帽子を被った虚乳の魔法使いが杖を振り上げる。
それだけで地面から幾つもの巨大な土の槍のような物が飛び出した。飛び出した土の槍は魔法を放っていたヘルガへと殺到する。それに気付いたらしいヘルガも魔法を中断し、魔法から剣へと切り替えて飛んでくる土の槍を切り裂く。
『どらぁぁぁぁぁぁ!』
そんなヘルガへと畳み掛けるように巨大なハンマーを手にした女が空中から襲いかかる。土の槍を斬るのに意識を向けていたヘルガの頭へと巨大なハンマーが振り下ろされヘルガの頭へと直撃する。
その衝撃でヘルガの両足が地面へと音を立てて埋まる。そう、埋まるだけじゃ。
『な、潰れねぇ⁉︎』
『痛いじゃないですか!』
戦士風の女が驚きの声を上げるがヘルガの奴も怒りの声を上げて自分の頭に叩きつけられたハンマーを手で掴み、力に任せて振り回してハンマーごと女を放り投げ捨てた。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎』
凄まじい勢いで放り捨てられた戦士風の女は木へと幾度もぶつかりながらも勢いを緩める事なく水平に飛んでいき悲鳴を上げ虹色の光を放ちながらモニターの画面端から姿を消した。
『たぶんこぶできたし』
ハンマーで殴られた部分をヘルガは軽く撫でながらそんな事を言っておる。
いや、普通ハンマーで頭を叩きつけられたら血くらい流すじゃろ? あいつ無傷なんじゃが……
『数が多いから調子に乗ってますね⁉︎』
地面から足を抜きながらヘルガの奴は怒鳴り、魔法使いの方を向くと剣を大地へと叩きつけた。
それだけで大地が裂ける。魔法使いは素早く魔法を使い空からへと逃げておるがその間にヘルガは地面から脚を引き抜いておった。
おお、飛翔魔法とはまたレアな魔法じゃな。あれはかなり習得が難しい魔法と聞くし。
我も翼を使えば飛べるが飛翔魔法は使えんからな。
そして魔法使いと違い、避けれなかったゴブリンやスケルトンが作り出された亀裂に悲鳴を上げながら落ちていく。
『力だけで大地を割るなんて!』
飛んで逃げた魔法使いがまた杖を振るい、今度は魔法使いの周りに小さな炎の球がいくつも浮かぶ。
多才じゃな。
『空中からなら逃げられない』
なんかドヤ顔を浮かべとる。
ま、普通に考えれば空から攻撃されたら同じ魔法使いじゃない限り反撃できんしのう。
そう、ヘルガが普通ならばな。
ヘルガが飛んでいる魔法使いを睨みつけ、片手で振り回していたタムナクトを両手で握り直していた。
『イグニ、発射』
魔法使いがヘルガに狙いを定めるように杖を振り下ろし、それに追従するように周りに浮かんでいた炎の魔法、イグニが射出されてヘルガへと襲いかかったのだった。




