25.勇者さんは参戦する
「なんじゃあいつら?」
モニターに映し出された連中はボロボロの装備というか半裸みたいな格好で武器を構えていた。
あんな装備では少し攻撃を受けたら全裸になりそうなんじゃが……
あれか? 露出が趣味とか?
男の裸なんか見たくないからさっさと退場して欲しいものじゃな。
『ソラ、一人で突っ込まないでください』
なんかキラキラした杖を持ったこちらも半裸の女性、巨乳の長い金髪の女が多分勇者であろう男の後ろに追いつく。
『今までにないくらいのダンジョン災害なんだせ?慎重にいくべきだぜ』
巨大な剣を構えた短い赤い髪のやたらと筋肉質な女、やはり巨乳! が笑いながら男の隣に並ぶ。
『……早死にしたい?』
とんがり帽子を被り身の丈ほどある巨大な杖を持った青い髪の子供のような女がさらに後に続いてきた。
こいつもやはり巨乳! いや、あれは魔法であるように見せておるだけか、あれじゃな、いわゆる虚乳じゃな。
こやつらあれかさっきプチっと死んだ勇者パーティか。
一回蹂躙されたから防具がボロボロで変態みたいな格好をしとるわけじゃな。
そしてさっきの高威力の魔法らしきものを使ったのはこの勇者というわけか。
ゴブリンとかに潰されたくせに無駄に強い魔法が使えるんじゃな。
確か勇者は復活したら暫くの間は弱くなるんじゃなかったのか? ですぺなるてぃとかいうやつじゃ。
『勇者は常に前に立つべき! 行くぞぉぉぉ!』
勇者は剣を振り回して半裸で駆け出した! ゴブリンの群れの方に向かって。
なんか股間の衣服の隙間からチラチラ見えるのが不快なんじゃが⁉︎
勇者が考えなしで突っ込んだので残された女性達が置いていかれる形になった。しかし、しばらく考えた末に彼女達も勇者に続いて駆け出していた。
こやつらバカなのか⁉︎ 普通は装備を整えてから攻めるもんじゃろが!
それをあんな防御力皆無の状態で突撃とか無謀すぎるにも程があるじゃろう。
「ま、勇者がバカだから仕方あるまい」
勇者は敵じゃ。
死んでもよし。それがダンジョンマスターとしての考え方じゃからな。
「ヘルガ聞こえるか?」
『なんですかマスター?』
未だにゴブリンやスケルトンを魔法で吹き飛ばしているヘルガへと魔力の回路を繋ぎ念話の魔法で話しかける。
「お主の方にアホ、もとい勇者の馬鹿が突っ込んできておる。迎撃して叩き潰していいぞ」
『わかりました!』
念話越しにヘルガの嬉しそうな声が頭に響く。
そんなヘルガはと言うと片手で魔法をぶっ放しながもう片方に持つ剣の切先を勇者(仮)が突撃を仕掛けようとしている方へと向ける。
切先を向けられたゴブリン達は言葉に表せないような生命の危機を感じたのかその切先から逃げるように散開。自然と空いた空間、その先には剣を振り上げて駆けている勇者(半裸)の一段の姿があった。
『イグニ』
ヘルガが小さく呟いた魔法。
じゃが剣の切先に現れたのは巨大な焔の螺旋じゃった。
そしてヘルガのイグニが解き放たれ、地面を、木を溶解させ閃光を放ちながら突き進む。
あれ、熱いんじゃよな。
我がドラゴン状態の時でも食らったら火傷になるし。
ゴブリンなんか掠っただけでも死ぬじゃろう
イグニの効果範囲に僅かに入っていたゴブリンは我の予想通りに触れるだけで触れた箇所は溶解し、一瞬で灰へと変わる。
かなりの数のゴブリンやスケルトンを灰へと変換しているイグニじゃが全く威力は下がることなく突き進み、そして勇者へと迫り、襲いかかった。




