23.使い魔さんは満喫する
手にするタムナクトに魔力を注ぎ込んで振るう。
それだけで普通に剣を振るよりも広範囲に巨大な魔力の刃が放たれる。
まともな防具なんて持たないゴブリンやスケルトンなんてそれだけで両断される。
「はぁ、気持ちいい!」
私は恍惚とした表情を浮かべながらタムナクトを振り回す。
こうやって武器を振り回している間はダンジョンのコストとか借金とかの事を考えなくていい至福の時間だ。
勇者族という異質な存在である私はそう簡単には死なない。いや、例え死んだとしてもデメリットはあるけど復活することができる。
だからこそ私の鎧も急所部分を最低限守る程度の装甲しかない。
死んでも死なんのなら速さ重視で殲滅すればいいじゃろ?
と言ったのはマスターだ。
確かに重い鎧を着込んでちまちま攻撃を防ぎながら戦うよりも死んだら即復活して戦闘に戻れるようにしたほうが深く考えないでいいわけだし。
「ぎゃぎゃぁ!」
タムナクトを振り回している私の背後から隙ありと言わんばかりにゴブリン達が錆びた剣を振り回しながら襲いかかってきた。
声を上げながら飛び掛かってきたからバレバレだし、そもそも隙なんかない。あと汚いから寄るな!
背後に向かってタムナクトを握っていない方の手をかざす。
「フレイム」
短く詠唱した炎の魔法フレイムが発動。
かざした手のひらから炎の弾が放たれ、背後から襲い掛かろうとしていたゴブリンの顔面をこんがりと焼き上げる。
以前襲われた時はあまりの数にトラウマになったけど、こんなゴブリンやスケルトンの群れなんてマスターに拾われた時に味わった「死に戻りレベリング」に比べたらなんでもない!
あれは死んでも終わらない地獄のレベル上げだった!
フレイムを乱射し、タムナクトを振り回しながら前進しゴブリンを駆逐していく。
「そうですよ、あのレベリングに比べたらゴブリン狩りなんて楽勝なんです……」
「くま⁉︎」
「ぎゃ⁉︎」
マスターから受けたレベリングもとい虐待に近い環境を思い出して、感情が昂ったからか少しばかり魔力が漏れ出てしまった。
周りにいたゴブリンでも勘の鋭い奴や離れたとこで暴れているクマは気付いてるみたい。危ない危ない。
「ぎゃぎゃ!」
それでも数が多いから有利と考えたらしいゴブリン達は数の暴力でひたすらに私へと攻撃を繰り返す。が! 私も魔法とタムナクトを振り回す!
「狭い通路じゃないならゴブリンなんて雑魚!」
結果は量産されるゴブリンの死骸とスケルトンの骨の山。
「雑魚狩り楽しぃぃぃぃ!」
私はまた恍惚の笑みを浮かべながら炎の魔法を周囲へと振り撒き、モンスターの蹂躙を再開したのだった。




