10.使い魔さんは使い切る
「きましたまぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
天に向かって咆哮を上げるかのようにヘルガが叫び声を上げる。その大袈裟までな歓喜具合に我は眼を見開き驚く。
「ヘルガが最高レアを引いたじゃと⁉︎」
魔法陣の色は最高レアリティが確定の虹色。確率が0じゃないから最高レアが出たことはさして驚くことではない。確率が低いとはいえ入ってはいるのだから。
じゃが、それをヘルガが引いたということが驚きなのだ。
「ふふ、どうですマスター! これが私のLUCKの力! 私の底力な訳です!」
「お主…… 残りの人生の運を全部使ったんじゃないのか?」
「さりげなくバカにしてますよね⁉︎」
もしくはこの召喚魔法陣にバグがあるかだがそんなことはなさそうだな。眼前には虹色に輝き続けている魔法陣があるわけだしな。
ここまできて疑い続けるのも難しい。
「ちっ、よかったな」
「あの…… マスター。素直に喜べないんですけど」
「まあ、引いたものは仕方がない。残りの人生、絞りかすみたいな運で頑張って生きるがいいわ!」
「…… 泣いていいですか?」
本当にヘルガの瞳が潤み始めたからさすがにこれくらいにしておこうかのう
現実的に考えれば最高クラスのモンスターを手に入れれるわけだからな。かなりお得だ!
これで我には優れた部下がさらに増えるということだしさらに借金を返す速度が速 早くなったと考えるべきだろう。
「てばさっそく何が当たったかを見ようじゃないか」
「マスター今までの暴言を必ず後悔さしてみせます」
最高クラスのモンスターを引き当てたことからかヘルガの奴はやたらとドヤ顔である。
ヘルガが虹色に輝く魔法陣の前へと膝をつき魔法陣へと触れながら魔力を流していくと魔法陣がさらに輝きを増していく。やがてその輝きが魔法陣の中心へと集められていき、目も開けられないほどの光を放ち、弾けた。
「ぬぁぁぁぁぁ目が眼がぁぁぁぁぁぁ!」
凝視していた我の眼を焼き尽くさんばかりの輝きが襲い、というか網膜が本当に焼けた。我は眼を押さえつけながら転がり回る。
「なんですかこれ! 眼が見えないんですけど⁉︎」
我と同じように瞳を焼かれたらしいヘルガからも文句が上がる。
我はドラゴンの持つ自己再生能力で、ヘルガの奴はおそらくは回復魔法を使い眼を元に戻し、瞳焼いたほどの魔力の輝きを放った魔法陣へと再び視線を戻す。
「こ、これが最高クラスのモンスター!」
魔力の煙を体に纏いながらそれは魔法陣の真ん中にいた。
全身甲冑、とんでもなく分厚い鉄のような漆黒の鎧。
複雑な形状はしていないシンプルな形状
右手には円形の盾、左手には巨大な斧槍。
最強の生物である我も驚くほどの内包魔力じゃな。
じゃが、なぜかクマにしか見えんのじゃが……
「ふむ、これはなんじゃ?」
鎧を着るモンスターというのはなかなか珍しい。
じゃが鎧を着るクマというのは我も見たことがないぞ。
「どうですマスター! 私の呼び出したモンスターは! 強そうでしょう!」
心底嬉しそうにしているヘルガとは対照的に召喚された鎧クマは静かに佇んでいる。
そんな自分が喚びだした鎧クマを指差しながらそんなことを言ってくるわけだが我は少しばかりの不安が脳裏を横切りヘルガから僅かに距離を取る。そうドラゴン的直感じゃ。
「そうだな。我が悪かった。じゃさっさとあいつを連れてダンジョンの説明とゴブリンの間引きをしてくるんじゃ」
「はい!」
快活な返事をした後に鼻歌を歌うようにしてスキップをしながら鎧クマへと無防備に近づいていく。
その間に我はダンジョンマスターの力を使いヘルガが召喚したモンスターの種族と能力を確認する。
「これは……」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
我が種族を確認するのとヘルガがぶっ飛ばされるのはほぼ同時だった




