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おない年の兄妹  作者: 沙悠那
SPICY APPLE PIE
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Episode16 パズルあわせ


 魁人くん、その直後に中村先生が帰宅して、和室がにぎやかになってきた。

「先生が幾美ちゃんと付き合ってたなんて。すごいよ、超サプライズだよ!」

「おいおい、学校でばらすなよ。キミーのことはそっとしておいてやってくれな」

「そんなことしませんよ」

 有未香はたった今、幾美ちゃんと中村先生のことを聞いて、相当驚いた様子だ。あたしだって先生みたいな大人と付き合ってるって知った時はほんとに驚いたもん。だけどふたりはすごくお似合いなんだよね。

「そっち座って。瑠花の隣あけてあるから」

 えっ、なんだろう。まだ誰かくる予定だったの?

 幾美ちゃんの後について和室に入ってきたのは。

 しょ、祥大っ!

「なんでここに?」

「俺が呼んだの」

 晴哉くんがにたっと笑う。

「ちぇっ、なんだよ。俺の好敵手がもう1匹現れやがったのかよ。遠海うぜー」

 舌打ちして毒を吐いているのは魁人くんだ。そうだ、魁人くんってば遠海学園の生徒を異常なほどに敵対視していたんだっけね。

 あたしの左隣に座っている魁人くんは、ぶつぶつ言いながら反対側に胡坐をかいて座った祥大のことを睨みつけている。

「ちっ、俺が女でもこいつにイチコロで堕ちてるわ。なんでそんなカッコいい顔してんだよ。こんちきしょーめ」

 のっけから訳のわからないことをぼやかれて、事情をよく知らない祥大はあたし越しに魁人くんの顔をみて、眉間を寄せ不審がっていた。

 祥大に視線を合わせられると魁人くんの顔つきが変わった。あたしを挟んでいさかい起こすのはよしてよ。って、なんで真っ赤になってんの? ちょっと魁人くん! 祥大は敵じゃなかったっけ。まさかそっち?! 変な気おこしたりしないでよー。

「だめだ、照れて10秒もたねえや」

 急になに言いだすかと思えば。皆が一斉に大笑いすると、笑いを取れたことに満足そうな顔をしていた。

 なんだ悪ふざけだったんだね。そう思って、ほっとしたら無性におかしくなってきた。

「おまえ人より反応にぶいぞ。けどさ、瑠花のそんな楽しげな顔、ひさびさにみたような気がする」

 隣に座る祥大は、テーブルの下でそっとあたしの手を握りしめてくれた。

 そういえばあたし、最近あまり笑ってなかったかもしれないね。




 幾美ちゃんと一緒に準備した今日のお鍋はキムチ鍋で。寒い日の夜にはぴったりの鍋だ。お腹を空かせた一同は夢中になって食べ始めた。

「皆ちょっといい? 今日このメンバーに集まってもらったのは、大事な話し合いをする為なんだ」

 そんなこと幾美ちゃんから一言も聞かされてなかったよ、ただ皆で鍋パーティーするだけかと。

「瑠花にだけ事前に知らせてなかったんだよね、ごめん。けど皆は瑠花のことを心配して集まってくれたんだよ」

「あたしを心配してって……」

 胸の中が重苦しく感じられて。

「それぞれの証言を合わせていくことで、ある事実が見えてきたんだよね。今日はそれを実証するための大事な作戦会議をするのが趣旨で集まってもらったの」

 幾美ちゃんからの発言に唖然となり。

「作戦会議?」

「おまえ学校で嫌がらせ受けてること、ずっと俺に隠してただろ?」

「……」

「瑠花ちゃんは、祥大に心配させたくなかったんだって。そうだよね瑠花ちゃん?」

 晴哉くんの問いかけに、こくりとだけ頷いた。

「最近瑠花の様子がおかしいんだって、祥大くん心配で晴哉を通してあたしに、学校での様子を教えて欲しいって頼んできたんだよ」

「そうなの祥大?」

「おまえあんまり笑わなくなったし、元気なかっただろ」

 祥大には何も言わなくても気づかれていたんだね。あたしのことをそんなにも心配してくれていたなんて、ぜんぜん知らなかった。すごく嬉しくて、そして感動した。

 ここにいる皆は親身になってくれている。あたしにとって大切な人ばかりだ。人嫌いになりそうだったあたしに、仲間の有りがたさを教えてくれる。


 皆の証言をひとつひとつのピースに見立てると、まるでジグソーパズルが完成していくみたいにある事実が浮かび上がってきた。

 それはまったくあたしの頭にはなかった衝撃的な事実で。




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