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おない年の兄妹  作者: 沙悠那
CRANBERRY SODA
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Soda8(S-side)  すっきりしていく気持ち


 ずんずんと晴哉が俺のほうへと進んでくると、隣にいる瑠花との間に割って入ってきて、俺と瑠花に肩組みをし始める。

「さっきも言ったけど俺さあ、めっちゃ腹減ってんだよなー。うまいもん食いてえんだ。なんか食いにいこうぜ。そこでおまえらの言い訳話をさ存分に聞いてやるから。さあ急ごうぜ、祥大俺にうまいもんおごれよ」

 うまいこと言っておごられる気満々でやがる。まあ、晴哉の機嫌損ねずにすんだだけでもいいけどさ。

 いつもの調子いい時の晴哉の声だからさ。今朝からずっとこんな調子で晴哉はすこぶる機嫌がいい。そのことに感謝しねーとな。

「瑠花ちゃん、久しぶりだよね。俺はさあ、もう二度と瑠花ちゃんとは会えないもんかと思ってたからさ、また会えてマジ嬉しい。祥大のもんになっちまったのだけ、尺に障るけどね」

 おどけた声で言う晴哉に瑠花がうけて、コロコロと楽しそうに声をあげて笑っている。

 晴哉には肩組みされたまま、近くのファーストフード店へと、俺と瑠花は拉致られていく。


 オーダーした品をトレーに乗せ、瑠花が待つ席まで晴哉とふたり向かっていく。愛想いっぱいにこちらを気に掛ける瑠花が振り返った瞬間から俺の目を独占する。

「やっぱ可愛いよな瑠花ちゃん。抜け駆けして携番聞いてたおまえがマジむかつく」

「ちげーよ。食いながらちゃんと説明するから待てよ」

 晴哉に納得してもらえるのか、多少不安がよぎった。

「俺の父親の再婚相手ってのが、瑠花の母親だったんだ。だからさ、俺たちは晴哉に瑠花を引き合わせる前からの知り合いだったってこと」

「マジかよ。知り合いどころじゃねえよな、兄妹になったってことだろ。なんかそれすごくね? ドラマみてーで」

 晴哉の言葉に俺と瑠花は顔を見合わせた。

 ほんとにドラマみたいなシチュエーションだよな。

「今日こうして晴哉くんにちゃんと話すことができて、ほっとした。ずっとふたりで悩んでいたことだから。晴哉くんと有未香にはちゃんと話さなきゃって思ってて。でもまだ、有未香にはあたし、話せてないんだよね」

 憂鬱そうな顔で瑠花は俯いている。

「る、瑠花ちゃん。落ち込まなくてだいじょうぶだよ。彼女ならちゃんと理解してくれるって。それにおまえたち一緒に住んでるわけでしょ? そんなのに俺たち敵いっこないっしょ。いつかはくっつくの目にみえてんだからさ。瑠花ちゃん可愛いし、こんな子と一緒に暮らしてりゃ、祥大じゃなくても落ちねえわけねえし。な、もて男でクールな祥大ちゃん」

「おえ、おまえ、調子のりすぎだろが」

 瑠花は俺らのやり取りをみながらくすくすと笑っていた。

 そうだよな、こいつマジで可愛いんだよな。顔かたち以上に性格とか後からじわじわ分かってきたというか。

 最初は生意気で憎たらしかったり、負けず嫌いで挑戦的だったりしたけど、どっか抜けてて天然で、憎めないそんなやつなんだよな。

「祥大ちゃん、何とろんとした締まりねー顔してんだか。妄想とかしてんじゃねえぞ、だっせーな、おめえ」

「だせーとか言うなや。ばーか」

「ね、ね、瑠花ちゃん、こいつ今、すっげー変な顔してたよねー」

「うんうん、してた!」

 くそっ、ふたりでつるみやがって、俺をこけにしやがる。

 一緒になって笑ってんなよ瑠花。

 わかってんだろな、帰ったらまたお仕置きしてやるからな。

 首を洗って、いや違った。

 身体清めて待ってろよ。

 めいっぱい愛してやるからさ!




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