律義
仕事をするぞといつもとは違う方向でホウセンカを出る。
この辺の道だと信じつつ、リドルがポツリ。
『奴隷を手に入れてどうするの? まさか、あんなことやこんなことを……』
「ああ、そのつもりだ」
「うわ、サイテー」
ホウセンカに引き渡しておけば、ある程度の日々が保証されるだろう。
問題はそいつに歩める程度の実力があるかどうか。
俺があんなことからこんなことまで教えたらいい。
「なにあれ!」
こんなことっていうのは、トカゲ狩りとかだな。
美味しそうに草を頬張るトカゲのせいで草原が禿げている。
「ルビー、倒し方を教えよう」
「にゃ?」
剣を抜けと構えさせて動きを教える。
「トカゲというのは少なければ弱いが、多いと迅速な処理が要る」
「にゃにゃ?」
「……見てたらわかるか」
猛ダッシュで距離を詰めて飛び込みながら首元に剣を差し込む。
『ギギ……』
貫いたまま剣を振り上げ、近くのトカゲも死なせる。
簡単にできあがるトカゲ串。
「ルビー!」
「にゃあ!」
やり方が分かったのか、物凄い勢いでやってくれた。
刺せなくなったらその場でトカゲの死体に足を置いて引き抜く。
気づいたトカゲが飛び込んでくるが、貫くことは容易い。
ルビーは瞬く間にトントントンと息の根を止めていく。
「才能があるかもしれないなあ」
剣士として羨ましいと思いつつ、ルビーが頑張るまでサボることにした。
動くのも気持ちいいが、バッタバタと役目を果たす姿を見ていたい。
最後の一匹を仕留めるとルビーは肉を蹴り離して剣を収める。
「にゃ」
新たな領域に達したのか、首を振って静かにしていた。
「達人みたい」
リドルの言う通りだ。
「本当にそうかもしれない」
近くで焚き火を組んで皮を剥ぐ。
カゲから貰ったダガーで剥ぎながら剣に突き刺し、処理した肉をそのまま火にかける。
剥いだ皮は手元に収めておく。
「ルビー」
「にゃー!」
俺の近くに戻ってくるとピタリと正座する。
手を太ももに置くとグーを作った。
「そんな律儀にしなくてもいいんだが」
焼けたトカゲ肉をルビーに剣ごと贈呈。
「不味くはないぞ」
「にゃあ!」
右手に剣を握ったルビーがもぐもぐと顔を肉に寄せる。
たまに足をちぎっては美味しそうに歯を立てていた。
「にゃまい!」
「良かったな!」
食べ終えたルビーを連れてホウセンカまで戻る。
クエストワークに向かうとなにやら言い合う二人組が。
『依頼出したいんだけど!』
「この街の出身でないと依頼は出せません」
「はっ? なんで?」
「だから、部外者に権利はないと何度も……」
「殺して、アデル」
手を上げそうな男を背後から抑える。
「なんだ、貴様!」
「依頼ってなんだ?」
「お前には関係ない」
「お前には聞いてないぞ? なあ、教えてくれ、ソラン」
虹色のドレスはめちゃくちゃ分かりやすい。




