純粋無垢
たまには心を鬼にしなければ行けない時がある。
自分が傷ついても、他人が傷ついても。
『にゃあ!』
気性が荒いルビーに引っかかれたのは、青鬼という名の俺。
「痛いぞ」
手の甲に立てられた爪に皮をバリバリ持っていかれ。
「にゃ……」
したことに気づいたルビーが申し訳なさそうに傷を舐めてくれる。
「ごめんにゃさい!」
「そんなことも言えるようになったのか!」
偉いぞと手を伸ばす、ルビーはギュッと目を閉じた。
叩かれると思われたのかもしれない。
「そんなつもりはないからな」
撫でている間に赤い傷が塞がり、元に戻る。
「助かったぞ」
「にゃあ……」
何をするかと思えば、女の人から貰っていた袋を大切そうに見せてくる。
「どうしたんだ?」
「にゃーにゃー」
中身を開けさせてもらうと蜂蜜の香りが。
確かにこれは上質な蜂蜜だと思う。
俺が使っていいものではないだろうが、ルビーは袋を取り返そうとはしてこない。
「にゃ」
「そうだな……」
あの人にはかわいいと言われていたルビー。
そして蜂蜜を唇に塗ると素晴らしいことになるとカゲから教えて貰っている。
「塗って欲しいんだな!」
リドルもそうなんじゃない?って肯定してくれた!
それはしてやれると蜂蜜を人差し指に付け、ルビーの口元に近づける。
そのままパクリと指が咥えられ。
「えっ?」
舌先でチロチロと蜂蜜を舐め取られてしまい、指が追い出されてしまった。
『にゃまーい!』
味を占めてしまったのか、にゃあにゃあと優しく爪を立ててくる。
「これはそういうのじゃないぞ?」
「にゃー」
今回は諦め、もう一口だけ蜂蜜をあげた。
「にゃっ」
「何か、考えないとな」
蜂蜜の袋を閉めてルビーに返しておく。
「さて、出かけよう」
ルビーを連れていつものクエストワーク!
「たまには剣を抜かないと感覚が鈍る」
『ちょうどいいのありますよ』
大トカゲが繁殖してしまい、やばいという依頼。
そこはいつも使う道だから怖いという話らしい。
「他の人間でもやれる」
「報酬が訳ありでしてね……」
「なんだ? それは」
「薄汚れた少女なんですよ、どうやら奴隷商人らしいです」
奴隷、単純に言えば格下で役に立つことはない。
だからって奴隷と呼んでいい訳でもない。
「皆さん奴隷商人には否定的でして……協力したがりません、少年ならまだ報酬としての需要が」
「そうだろうな」
「ここだけの話、その道を使う人は多いんですけどね、私も使うんですけどね」
「ああ、話が見えてきたな」
「これ以上トカゲが増えるとやばいので……」
戦えない人間でもトカゲは危険だからな。
「掃除しておこう」
報酬も少ない。
久々に良い内容の仕事にありつけたかもしれない。




