黄金の味
『にゃー? にゃー!』
なにかに気づいたルビーが嬉しそうに両手を上げていた。
「バカなお前でも、俺達のことは忘れていないようだな」
「にゃー! にゃーにゃー!」
「お前に免じて許そう、この中に最愛が居るなら」
なんの話をしているのか分からないが、ルビーのおかげで事なきを得れそうな雰囲気だ!
「にゃー!」
「時にお前、なぜここを通る?」
青年に聞かれた女性が蜂蜜の話をした。
「そうか」
青年が横に進み始めると周りの存在は居なくなっていた。
進んでいいということなら進もう。
ルビーは二人にめちゃくちゃ褒められていた!
「ありがとう!」
「にゃー」
しばらくして蜂の巣を発見する。
丸っこい巣の周りには蜂が飛び回っている。
「蜂の巣を取ったことは?」
俺の記憶によれば、かなり前に数回だけ経験したことがある。
「あるが、そのまま取らせてもらった」
「は、はぁ?」
「取り方が分からなかったんだ」
「ふ、普通は文明の力に頼りますことよ、おほほほほ」
言葉を乱させるほどおかしいことを俺はしていたらしい。
「これで煙を生み出して、蜂を弱らせてから安全に巣を取る」
シュッシュと火を付けて投げられた玉はモワモワと煙を昇らせ、途中の蜂の巣を包み込む。
「その後は巣を切り取って蜜の部分だけ抜き取る」
「だが、巣の中にはまだ蜂がいて危ない」
「リスクはつきもの」
それから解体の一部始終を見ていた。
思った以上に素早い作業で蜂に襲われる前に蜜を強奪していた。
煙玉を受け取って二手に別れる。
「にゃああ……」
ルビーが俺達と行きたそうに手を伸ばす。
「はいはい、私達と一緒に」
「うーー」
残された俺とカゲは蜂蜜を探しに歩いた。
「こんな玉、カゲはいらない」
「それもそうだな」
リドルがどうして?って聞いてくる。
「見てたら分かる」
巣を発見した俺達は手を繋ぐ。
姿を消して巣に直接、カゲから得たダガーを突き立てた。
「き、消えた!?」
「カゲは姿を隠すことができる、凄いよな」
「へええ……」
バリバリと巣を半分に切り落とし、剥き出しになった蜜を眺める。
キラキラと光るそれは黄金に似ている。
「味見するか?」
人差し指で蜜をネトりとすくったカゲは、指ごとパクリ。
「あ、あまい……」
甘さに震えているカゲとは対照的に、リドルは懐かしそうにしていた。
「いやー、こんな高級品が簡単にとれるってすごいね」
「そのうち、蜂を飼い慣らして蜜を作るようになったりしてな」
「そんなまさか、ありえるわけないよー」
カゲは蜜をじっくり堪能していた。
「エムも」
「いらないぞ」
「残念だ」
「一口もらおう」
口まで伸びていた人差し指をカゲの代わりに舐めてみる。
『む、むむ……』
カゲは不満そうに人差し指を咥えていた。




