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全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
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アデル



「一緒に戦ったこともない仲間を仲間と呼んで良いと思うか?」


「それってどういう意味?」


「何をするか分からない奴ら、邪魔するかもしれない奴ら、そんな人間に仲間って言葉はもったいない」


「リュウキって極端だね……」






 街を出た俺達は深い森の中を突き進み、ある種の危険領域に足を踏み入れた。


 危険な存在が潜むと言われている領域は自然の魔力が生き物を狂わせる。


 実際、ザアザアと風すら吹いていないのに騒がしい。


『なに、ここ……』


 誰かがポツリと呟いた。



『ペルセポネ』


『え、えぇ!?』


 ペルセポネと呼ばれるここは、死んでも保険は降りないという。


 実際、目の前にドラゴンが降ってきた。


 文字通り地面に叩きつけられたドラゴンは木を巻き込んでドシンと俺達を揺らす。


 木が消えた空に黒いドラゴンが見える。


 段々と大きく目に映り始め。


『離れろ、俺は離れないけどな』


 周りが逃げる中、俺は剣を構えてドラゴンを受け止める。


 ドラゴンの硬い鱗に弾き飛ばされ、木に叩きつけられ。


 トドメの地面は酷く痛かった。


 それが良い!



『な、なんだよこれ! ドラゴンかよ!』


『そうだ』


『でも、やれたら金になるのは確かだ!』


 ヒュンヒュン飛ぶ魔法はドラゴンに効かない。


 そもそも、殺すつもりはないんだが。


『グオオオ!』


 ドラゴンの叫びに耳がキーンと冷える、次の瞬間にはドラゴンの体当たりで仲間が向こうにすっ飛んでいった。


『きゃー!』


 一応、俺はドラゴンと刃を交わしてチャンスを狙う。


『アデル、何をしている?』


『や、やるしかない!』


 斧を両手に突っ込んだアデルは足元を狙って斧を振り払う。


 硬い鱗にカキンと弾かれていた。




 不意にドラゴンが別の方向を向いて火を吐く。




 その火は遠くで転がっていた仲間を飲み込んだ。


 火は人を型取り、わざとらしく慌てふためいて動かなくなる。



『なっ……はっ!?』


『どうした?』


『どうしたとこうしたも、仲間がっ!』


『そんなことも、有り得たことだぞ』


 いつものように剣を構えてチャンスを待つ。


 そうこうしている間に別の仲間がドラゴンの小さな手に飲まれる。


『た、助けて!』


『い、今行く!』


 俺は行くなとアデルを止める。


『な、なんでだよ! 昨日までトランプしてた仲間なんだ!』


『もっと悪いことになる』


『見てられるか!』



 そう言って突っ込んだアデルはドラゴンの手痛い反撃を貰い、ゴロゴロと帰ってきた。


 斧を失い、片腕を砕かれ、よろよろ歯を食いしばって立ち上がる。



『ほらな』


『なんで、お前は、冷静に居られるんだよ……仲間が仲間が仲間が』



『仲間じゃ、ないからだ』


 こいつらと遊んだこと、仕事を手伝ってくれたこと、一度もなかったことだ。



『…………ッ!』


 ドラゴンは俺達を見据えて走り込んでくる。


『逃げろ、命が惜しいなら』


『それではお前も!』


『死なない――死なないって言ってるだろうが!!』


 死にたいとでも言うのか、ピタリと動かなくなったアデル。


 横に蹴り飛ばしてドラゴンの範囲から外す。


 ドラゴンの突進を受け止め、全力で弾き返す。



 力の流れが変わり、首を反り上げたドラゴンに長い隙が生まれた。



 この隙を狙って柔らかい喉元に剣を突き刺し、手の力だけでドラゴンの頭に反旗を翻す。



 刺した剣を抜きながら、大きく生えた虹色に輝く一本の角を掴んで根元に剣を突き立てた。



 ガツガツと突くたびにドラゴンが痛そうに唸る。


 傷の深さを確認した俺は剣を捨て両手で角を根元からへし折った。


『グッ、グアアアッ!』


 血が吹き荒れ、首を上げたドラゴンに空中へ放り出される。


 追撃されることはなく、バサバサと空に飛び立っていった。


 この角は魔力の結晶で、こんな方法でしか手に入らない。


『死なないって言っただろ』


『くそっ、あいつの骨を拾わなきゃ……』


 グズグズと横になって泣き果てるアデル。



『物事には優先順位がある。今はそいつらの為に生きて帰ることだ、拾う余裕はない』


『ああああっ……!』


 それからアデルは両手で持つ斧を二度と持てなくなった。


 同時に、俺について行きたいと言う人間は新人でも二度と現れなくなった。







 

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