謎謎
一歩で玄関から出る。二歩で家を出た。
三歩で散歩ができるように、なったらいいな。
『出れそうか?』
「うおーー」
幽霊さんは進んでくるが、透明なガラスに当たったように目の前で仰け反る。
「いてて」
「そうか、それではこれを持ってその場を後にするとしよう」
「だ、だめ!」
後ずさりながら幽霊さんの動向を伺う。
壁を押すように白い手を伸ばし、プルプルと進む。
パリン。
何かが割れ、幽霊さんが飛び出してきた。
「……で、出れた!」
「良かったな」
「わーい!」
嬉しそうに手を上げるので、俺も手を伸ばしてハイタッチ。
「この青い物は返そう」
「もう首に掛けれないから、いらないや」
「……では貰おう」
首に掛けて輝きを確かめる。
とても良い色をしていた。
「似合ってる」
「そうか」
家に戻ろうとすると、幽霊さんはとても嫌がった。
「囚われるかも」
「一度出たんだ、また出たらいい」
「確かに」
中に入って出れるか確認する。
「出れた!」
「良かったな」
ルビー達が寝る部屋に戻って冷たい話をする。
「ねえ、名前教えて」
「リュウキ」
「私はね、私は……あれ?」
人差し指を顔に当て、考えている様子。
「んーー名前、忘れちゃった」
「忘れたのか」
「呼んでくれる人なんて、ずっと居なかったから」
「俺が呼ぶ、思い出してくれ」
しばらく動き回った幽霊さんは考えた末に分からないと教えてくれた。
「生まれ変わる感じで新しい名前がいい!」
「そうか?」
「さっさと名前プリーズ!」
「じゃあ、リドルで」
なんとなく浮かんだ名前を口に出してみた。
「リピートアフタミー!」
「リドル」
「ありがと、もう寒くない」
それから日が昇るまでダラダラと話をした。
リドルは自分のことをあまり話さないのか、俺の話ばかり聞いていた。
「知らないことばかり~うらやましーなー」
「そうか?」
「……はっ! この時間帯は劇場でリハーサルしてるんだよね!」
思い出したようにリドルがパチンと手のひらを叩く。
「見に行こ! みんな起こして行こうよ!」
「あ、ああ?」
流れに押されてカゲとルビーを起こした。
「なんだ……」
「うにゃあ」
嫌そうに起きた二人。
「行こー!」
「……」
「行こー?」
「…………」
リドルの声は聞こえないらしい。
「俺の、これはちょっと違うか」
オホンと咳払いをして間を取り直す。
『俺達のワガママに、付き合ってもらうぞ』
家を出て重い足取りの二人を押す。
劇場と言われる場所にリドルに誘われ。
着くとそこはカゲが教えてくれた舞台の所だった。
『あ、あれ……?』
何も存在しない劇場は、無をリハーサルしていた。




