表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
全てを受け止めていたら最強になっていた。  作者: 無双五割、最強にかわいい美少女五割の作品
65/200

幽霊









 謝る姿勢が全てを解決するわけではない。


 反省は良い事、成長に繋がる。まあ、しない方が良い。


『……』


 このように、カゲは何も言わずにルビーの隣に転がって寝てしまった。



 一人は暇だ。


 究極の一人は楽しかったが、持ち場を離れれない暇は究極の暇に近い。


 あぐらを組んだ膝に添えていた手が、不意に冷える。


 ひんやりと優しくない冷たさ。


 顔を上げると恨めしそうな白い女が浮いていた。


「……ッ」


 居るとは思っていなかった存在に距離を取りたくなる。


 冷える正体は女の手。


「誰だ」



『この街で、この部屋で、こんな夜で』



 女の唇は霧のように薄い。



『死装束を着せられ、今は死に小賊』



 クツクツと歌う女はスッと泳ぐように近づいてくる。



『殺しはしない、代わりの罪も着せない、話を聞かせて』



「話?」


「誰も来なくて寂しいの、盗み聞きさせて?」


 後ろに回った女が俺の方に触れてくる。


 残り香の代わりにやたらと寒い冷気が押し寄せる。


「肩揉み一話」


「そうだな、どんな話が良い?」


「暖かい話」


 剣で切り倒した木でキャンプファイヤーをやらされた話をしてみた。


「そういうのじゃなくて」


「違うのか?」


「甘酸っぱい恋の……」


「鯉か! 食べたことあるぞ、確かにあれは酸っぱかった」


「そうじゃない!」


 後ろから急にビンタされて振り返る。


「それも違うのか……」


「死んだのに人を殴ったのはこれが初めてよ! 甘酸っぱいことしてるから出てきたのに」


「よく分からないな」


「はあ? 謝って!」


 女にごめんなさいと謝ってみる。



「ごめんで済むなら、剣なんて必要なくてよ?」


「そうだな」


「正座しなさい」


 先程までの冷える怖さとは一転、支配的な怖さが広がる。


「期待を裏切った罪でお願いがあるの」


「罪を着せないって……」


「シッツ!」


 黙れと睨まれて静かにする。


「私、死んだの、殺されたの!」


「自殺と聞いているが」


「そんなわけ! ジェーンっていう女に殺されたのに! ありえない話だと思わない!?」


「で、お願いはなんだ」


 女はツンとした様子でユラユラ揺れる。


「ジェーンを、殺して!」


「俺に触れるなら殺しに行けばいいじゃないか」


「ここから離れれないの」


 幽霊なりの事情があるらしい。



「そうだな、捕まったらここで死んで仲良く話をしようか」


「仲間になってくれたら昔の話を沢山してあげる!」


「それは断る」


「なんでよ!」


 先客の正体が幽霊と分かったので、安心してここを出れる。


「軽く行ってくる」


「寂しいから、早くしてね」


 家を出てブラブラ歩いてみたが、夜は人通りが少ない。


 当たり前だが、衛兵くらいは見回りをしていた。


 殺しをする前に捕まえる側に話しかけるのは嫌だな。


 情報は欲しいので妥協する。


「ジェーンという女を知らないか?」


 振り返った衛兵に遅れて青いマントが揺れる。


『ここに来たばかりか?』


「そうだ」




『残念だったな、5年前に病気で亡くなったよ』











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ